2023年に刊行した本を振り返る
こんにちは、文芸図書編集部です。
今年も残すところあとわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
この一年、みなさんは心に刻まれる素敵な本と出会うことはできましたでしょうか。
2023年のふりかえりとして、今年編集部が刊行した本を一挙ご紹介いたします。年末年始の読書ガイドにぜひお役立てください。
帰ってきた 聞き出す力 吉田豪
ベストセラー『聞き出す力』のシリーズ第3弾です。電子先行の“幻の一冊”が、著者&ファン待望の紙版刊行となりました。吉田豪だからこそ知り得た著名人の痛快エピソードと、相手からいかに面白い話を引き出すか、職業としての「プロインタビューアー」の極意が明らかになる、読み応えある一冊です。
※2024年1月に『聞き出す力 FINAL』が刊行される予定です。
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猫はなぜごはんに飽きるのか? 猫ごはん博士が教える「おいしさ」の秘密 岩﨑永治
気に入って食べてくれるものが少ない、好きだったはずのフードに見向きもしなくなる……そんな猫の食事に悩んでいる飼い主さんにおすすめの一冊。日本とアメリカで獣医学を学び、日々ペットフードメーカーで猫の栄養学を研究する「猫ごはん博士」こと岩﨑永治さんならではの視点で、「肉食」である猫ゆえの食性から、「ハンター」としての習性まで、様々な面から猫が感じる「おいしさ」を解説していきます。また、巻頭の診断チャートでは「猫が思うようにごはんを食べてくれない」原因を3タイプに分類し、猫の食飽きを解決するための対処法を紹介します。さまざまな面から猫についての理解を深めることで問題解決にぐんと近づき、おうちの猫と今以上に良い関係を築いていけることでしょう。
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老舗書店「有隣堂」が作る企業YouTubeの世界 ~「チャンネル登録」すら知らなかった社員が登録者数20万人に育てるまで~ 有隣堂YouTubeチーム
開設約2年半で登録者数20万人超(現在26.7万人)の、地味で真面目な老舗書店の「普通ではない」企業YouTubeはいかに生まれたのか? その裏側について制作チーム自らが語るビジネス書です。
語り手は、制作チームのひとりであり、生配信など動画にも出演している有隣堂広報マーケティング部の渡邉郁氏。登録者数や再生回数が全く伸びなかったチャンネル開設当初の話から、チャンネルリニューアルの決断、失敗してしまった動画企画など、現在に至るまでの紆余曲折について余すところなく語っています。
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生命の旅、シエラレオネ 加藤寛幸
西アフリカのシエラレオネで、エボラウイルス病のこどもたちの治療にあたった「国境なき医師団」の小児科医による渾身のノンフィクションです。あっという間に生命が奪われていく壮絶な現場で出会ったのは、家族をなくしながらも必死に耐えて明るさを失わず、他のこどもの世話を買って出るこどもたちでした。
前任地の南スーダンでの活動によるPTSDに苦しみ、生きる意味を見出せなくなっていた著者は、彼らによって次第に再生へと導かれて行きます。
第20回開高健ノンフィクション賞最終候補作。
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バンギャルちゃんの老後 オタクのための(こわくない!)老後計画を考えてみた 藤谷千明/蟹めんま
「老後はオタク仲間で一緒に住もうぜ!」「家族にとらわれず、気の合う友だち同士で暮らしたい」...…近年、女性たちを中心によく挙げられるこうした「理想の老後」は実現可能なのか? アラフォーのライター藤谷千明さんと、漫画家の蟹めんまさんのコンビが、介護業界に体当たりで取材をして探ります。オタクにかぎらず、親の介護や自分の老後が不安なみなさんにおすすめします。
▼刊行記念トーク企画 藤谷千明×蟹めんま×トミヤマユキコ「バンギャルとオタクの(こわくない!)老後のはなし」もぜひご覧ください。
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走馬灯交差点 西澤保彦
大晦日の夜に起きた殺人事件を追う刑事・山名隆夫たかお。捜査中、彼は何者かによって橋に突き落とされてしまう。意識を取り戻した隆夫だったが、なんと目の前には“自分の幽霊”が──!?
次々と起こる不可解な殺人事件と“特異体質”をもつ一族が交差する、怒濤のどんでん返しミステリです。
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こじらせ恋愛美術館 ナカムラクニオ
読売新聞書評欄で宮部みゆき氏が激賞、産経新聞やプレジデントオンライン など多くのメディアで紹介された、話題の「こじらせ」美術シリーズ。第2弾のテーマは「恋愛」です。自身も美術家として活動し、美術解説やアートイベントにもひっぱりだこのナカムラクニオ氏が、芸術家への愛あふれる肖像画とキャッチコピーをはじめ、画家の代表作や、その人生を象徴する場面、カギとなるアイテムなどを豊富なイラストで表現し、視覚的要素満載でわかりやすく解説します。
▼刊行記念トーク企画 ナカムラクニオ×望月昭秀(縄文ZINE)「“こじらせ”から考えるアートと縄文の世界」もぜひご覧ください。
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最強!カレー道 10歳から学べる食の本質 水野仁輔
「東京カリ〜番長」や「カレーの学校」の活動で知られる人気のカレー研究家である水野仁輔さんが、子供のために日本の国民食・カレーについて、味覚、歴史、経済など、あらゆる角度から掘り下げて解説します。「カレーの辛さのひみつ」「カレーでお金もうけをする方法」など、実際の小学生たちから「読みたい」とリクエストを受けた内容も盛り込みました。 マンガと対話文と解説で読みやすく、食の本質を楽しく学べる1冊です。
▼水野さんが先生となって開催したワークショップ「カレーの小学校」のレポートもぜひご覧ください。
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今日もぼっちです。2 賽助
賽助さんの人気エッセイ『今日もぼっちです。』の第2弾です。
YouTubeチャンネル登録者数64万人超(2023年12月25日現在)のゲーム実況グループ・三人称の「鉄塔さん」としても大人気の作家・賽助さんは、今作では、ひとりドライブや陶芸体験、料理教室など、ぼっちを積極的に楽しむ日々を綴ります。また、演劇経験を見込まれてドラマ出演のオファーが舞い込んだり、鉄塔好きが認知されて業界関係者に注目されたりと、どんどん広がる活動の様子も見逃せません。さらには漫画家・浅野いにおさんとの意外な関係も!? 自虐要素満載の前向きなぼっちエッセイ。
※紀伊國屋書店グランフロント大阪店サイン本お渡し会は盛況のうちに終了いたしました。
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侵略日記 アンドレイ・クルコフ(著)/福間恵(訳)
小説『ペンギンの憂鬱』『灰色のミツバチ("Gray Bees")』の著者で、2014年のマイダン革命を『ウクライナ日記』に書き記したアンドレイ・クルコフが、2022年2月に始まったロシアとウクライナの戦争について、国内避難生活のさなかに書いたノンフィクションです。戦争の激化していく同年7月までの日々が、作家の観察眼で生々しく綴られています。戦時下のウクライナの貴重な記録。ロシア文学者・沼野恭子による解説「〈記憶の保管庫〉としての日記」を収録しています。
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子どもたちに映画を! キネコ国際映画祭ができるまで たひらみつお
映画に魅せられた著者が、当初わずか5人の観客からスタートしたキネコをさまざまな困難を乗り越えて、10万人集客する一大国際イベントに育て上げるまでのインサイドストーリーです。波瀾に満ちた30年の歩みと子ども映画の魅力を、余すところなく語ります。映画と子どもを愛するすべてのひとに届けたい。
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記憶の歳時記 村山由佳
デビュー作『天使の卵─エンジェルス・エッグ─』がベストセラーとなり、南房総・鴨川でのゆたかな自給自足暮らし。出奔、そして離婚、東京での綱渡りの日々。軽井沢で一目惚れした個性的すぎる中古物件での新生活、2度目の離婚と3度目の結婚──。 そんな村山由佳の大胆で破天荒な生きざまと、作家としての 30年を支えてきたものとは? 季節・猫・モノをキーワードにひもとく、極彩色の記憶たち。人気作家になって抱えた葛藤、編集者との関係、20年隠してきたある猫の秘密、過去の恋愛の数々など、いま初めて明かすエピソードも必読の、金言に満ちたエッセイ集。
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この世が危ない! 江原啓之
コロナ禍、ウクライナ侵攻、元首相暗殺など想像もできなかった問題が重なり、物価高騰は歯止めがきかず、様々な陰謀論が飛び交い、政府への疑惑や不満は募る一方と、この世はますます混迷を極めています。
先の見えない「この世」に不安を抱えるすべての人々に向けて、現世、霊界の立場からよりよく生きるための道筋を照らします。
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チーム・オルタナティブの冒険 宇野常寛
地方都市で起こった謎の事件をめぐる高校生たちのひと夏の冒険譚。その夏、「僕」はある地方都市に暮らす高校生だった。愛すべき仲間たちとの変わり映えのない、退屈な、しかし心地よい閉じた楽園が、一人の女性教師の死をきっかけに崩壊していく。
謎の美しい転校生、親友の失踪、変わり者の教師などが誘う想像力の冒険。
いかがでしたか。気になる本がありましたら、ぜひお近くの書店またはオンライン書店にてお買い求めください。
今年も一年ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
【今年刊行した本を振り返る2023】