第9回 309号室 三十三歳はコインロッカーを使わない〈前編〉 鈴木涼美「ノー・アニマルズ」
新宿歌舞伎町でホストとして生きる33歳の春樹。世間から乖離した街の中で、10年以上疑問を持つことなくこの場所の価値観だけを飲みこみ生きてきたが、最近は難しいことばかりが気になるようになった。そして半年前に勝手に家を出ていった女も、春樹の頭の中に居座り続けていて……。
2025年に取り壊しが決まっている老朽化マンションで暮らす住人たちの小さな破綻と孤独を描いた、鈴木涼美初の連作短篇小説。
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©︎OKANOUE Toshiko「幻想」Court