HB ホーム社文芸図書WEBサイト

HB[エイチ・ビー]は、集英社グループの出版社・ホーム社の文芸サイトです。2017年11月にウェブサイトを立ち上げ、2020年にnoteへ引っ越しました。小説やエッセイを中心に、毎日をより楽しく過ごすための、さまざまなコンテンツをお届けします。

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連載 村山由佳「記憶の歳時記」

歳を重ねたからこそ、鮮やかによみがえる折々の記憶。12の季節をしっとりつづる、滋味深きおとなのエッセイ。 毎月第2・第4金曜日更新

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【文月】誕生日の攻防(後編) 村山由佳「記憶の歳時記」

歳を重ねたからこそ、鮮やかによみがえる折々の記憶。12の季節をしっとりつづる、滋味深きおとなのエッセイ。 [毎月第2・4金曜日更新 はじめから読む]  今でも変わらない私の基本的な性質──「ひとに過剰な期待をしない」「モノを愛でても執着はしない」という淡泊さは、考えてみれば母親のそうした(いささか極端な)教育による副産物なのだろうと思う。  何しろ母はいっぺん怒ると手がつけられない人だったので、娘の私は自衛手段として〈よい子〉にならざるを得なかった。そうして、母だけでなく誰

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【文月】誕生日の攻防(前編) 村山由佳「記憶の歳時記」

歳を重ねたからこそ、鮮やかによみがえる折々の記憶。12の季節をしっとりつづる、滋味深きおとなのエッセイ。 [毎月第2・4金曜日更新 はじめから読む]  下の兄と十年も離れて長女の私が生まれた時、父は当初、奈津と名付けようとしたらしい。  夏の初めの七月に生まれたから、〈奈津〉。素敵な名前なのにどうしてそれにしなかったのかと尋ねたら、苗字と合わせた時に画数がよろしくないと易者に言われたのであきらめた、との話だった。  それを聞いた時は内心、画数なんてどうでもいいから〈奈津〉が

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【水無月】いつかなくしたもの(後編) 村山由佳「記憶の歳時記」

歳を重ねたからこそ、鮮やかによみがえる折々の記憶。12の季節をしっとりつづる、滋味深きおとなのエッセイ。 [毎月第2・4金曜日更新 はじめから読む]  早くどこかに部屋を借り、腰を落ち着けたかった。勝手に飛び出してきた鴨川の家には、愛猫〈もみじ〉が待っている。夫はもちろんちゃんと世話をしてくれているけれど、きっと寂しい思いをさせているに違いない。  それなのに私は、ひと月ほどの間、東京のウィークリーマンションあるいは山梨や北海道のホテルなどを転々としていた。準備している小説

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【水無月】いつかなくしたもの(前編) 村山由佳「記憶の歳時記」

歳を重ねたからこそ、鮮やかによみがえる折々の記憶。12の季節をしっとりつづる、滋味深きおとなのエッセイ。 [毎月第2・4金曜日更新 はじめから読む]  応募した作品『天使の卵』が「小説すばる新人賞」の最終候補に残っているとの連絡をもらったのは、一九九三年の初夏のことだった。高校教師だった最初の夫と結婚して三年目の二十八歳、南房総鴨川の小さな借家に住んでいた頃だ。 「一度会ってお話できないかしら」  電話をくれたベテラン女性編集者のSさんに言われ、トヨタのタウンエースを運転し

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連載 賽助「続 ところにより、ぼっち。」

大好評のHB連載「ところにより、ぼっち。」が帰ってきた! ゲーム実況グループ「三人称」の一員としても活躍する作家・賽助が、ぼっちな日々を綴ります。[毎月第2・4火曜日更新]

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第21話 海が見たい!|賽助「続 ところにより、ぼっち。」

大好評のHB連載「ところにより、ぼっち。」が帰ってきた! ゲーム実況グループ「三人称」の一員としても活躍する作家・賽助が、ぼっちな日々を綴ります。 (※第1話と最新話は無料公開) illustration 山本さほ ***  梅雨もすでに終わっているのに連日の雨予報。そんな中で、雲の隙間から空が覗くように晴れた日、僕はふと「海が見たい!」と思いました。  思えば昨年の夏も「夏らしいことがしたい!」と思っていたので、ここ十数年、あまり夏らしいことをしてこなかった反動がきて

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第20話 料理教室|賽助「続 ところにより、ぼっち。」

大好評のHB連載「ところにより、ぼっち。」が帰ってきた! ゲーム実況グループ「三人称」の一員としても活躍する作家・賽助が、ぼっちな日々を綴ります。 (※第1話と最新話は無料公開) illustration 山本さほ ***  ここ数年かけて、ゆっくりと太っています。   コロナ禍により、体を動かすきっかけとなっていた和太鼓グループが活動休止となり、汗をかかなくなってしまったのが一番の原因でしょう。また、コロナ禍に『オンラインフード注文&配達プラットフォーム』が流行し、出

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第19話 ロシア|賽助「続 ところにより、ぼっち。」

大好評のHB連載「ところにより、ぼっち。」が帰ってきた! ゲーム実況グループ「三人称」の一員としても活躍する作家・賽助が、ぼっちな日々を綴ります。 (※第1話と最新話は無料公開) illustration 山本さほ ***  2022年6月12日現在、ウクライナとロシアの戦争は続いています。  僕はロシア政府の行動を全く支持しませんし、一刻も早くウクライナの人々の生活に平穏が訪れることを祈るばかりです。  今年になって、過去にロシアへ赴いた時のことをよく思い出すようにな

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第18話 記念式典その2|賽助「続 ところにより、ぼっち。」

大好評のHB連載「ところにより、ぼっち。」が帰ってきた! ゲーム実況グループ「三人称」の一員としても活躍する作家・賽助が、ぼっちな日々を綴ります。 (※第1話と最新話は無料公開) illustration 山本さほ *** 前回のあらすじ 鉄塔に関する小説を書き、「鉄塔」という名前でゲーム実況活動をしていたら、『送電線建設技術研究会 北陸支部 創立60周年記念式典』という鉄塔業界の記念式典にゲストとして招待されました。 共にゲストとして招待されたのは、以前『音楽ナタリー』

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新刊情報

編集部の新刊をご紹介します。

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江原啓之さんと考える、これからの時代のより良い看取りとは? 『きれいに逝かせてください』 8月5日(金)発売

「がんばらなくていいよ。自分が逝きたいときに逝きなさい」──逝く人、診る人、看取る人の立場から、スピリチュアリスト・臨床医・作家が考える後悔しない看取りのバイブル! この本についてコロナ禍において改めて注目されるようになった「看取り」。 感染拡大下の病院では、家族が面会に行くことが難しくなり、看取りのプロセスに直接立ち会うことができないという事態が起きました。 そして今、改めて看取りをめぐること、すなわち、どう看取りたいのか? どう看取られたいのか? という問いが、家庭及び

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宇野常寛『水曜日は働かない』 6月9日(木)配信開始 #電子書籍

働かない、飲み会に参加しない等、何かを「する」でなく、「しない」ことから見えてくる幸福──。今、そしてこれからの日本で、よりよく生きるための考察を続ける宇野常寛さんのエッセイ集『水曜日は働かない』が、電子書籍でも読めるようになりました。6月9日(木)より配信開始しています。 第1章・第1話が試し読みできます。 ホーム社の電子書籍作品想田和弘『なぜ僕は瞑想するのか』など、新しい視点をもたらすホーム社の電子書籍作品をブクログの本棚にまとめています。こちらもあわせてご覧ください

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ウンコいってきまーす! と言えないきみへ 文・湯澤規子/絵・金井真紀『ウン小話 世界一たのしくてまじめでちょっとクサい授業』6月24日(金)発売

ウンコに注目すると、教室の学びはSDGsやあらゆる分野にひろがる! 小学生から大人まで楽しめる、驚きと発見だらけのウンコ教育読本。 この本について“どうして生きるうえでとても大切なウンコなのに、学校ではだれも話さなくなったんだろう”(本文より) 著書『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』が話題となり、「人糞地理学者」としてワークショップや講演にもひっぱりだこの湯澤規子教授が、子どものために書き下ろした、深くて楽しいウンコ教育本ができました。 小学4年生のクラスを舞台にし

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水曜日が休みになると1年365日がすべて休日に隣接する 宇野常寛『水曜日は働かない』5月26日(木)発売

この本について水曜日が休みになると1年365日がすべて休日に隣接する ──その真実に気づいた「僕」は「急ぎすぎ」で「がんばりすぎ」なこの国の人々に提案する。「水曜日は働かない」べきなのだと。毎週水曜日を「自分を大切にするための時間」に充てることにした著者の日常を綴った、笑えてそして思わず考えさせられるエッセイ集。本サイト人気連載を書籍化。 働かない、飲み会に参加しない等、何かを「する」でなく、「しない」ことから見えてくる幸福論、第1部「水曜日は働かない」(13篇)。批評家と

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連載 ほしおさなえ【10年かけて本づくりについて考えてみた】

活版印刷や和紙など古い技術を題材にした小説を手掛ける作家・ほしおさなえが、独自の活動として10年間ツイッターに発表し続けてきた140字小説。これをなんとか和紙と活字で本にできないか? 自主制作本刊行に向けての模索をリアルタイムで綴る記録エッセイ。

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第9話 印刷と製本 後編|ほしおさなえ「10年かけて本づくりについて考えてみた」

活版印刷や和紙など古い技術を題材にした小説を手掛ける作家・ほしおさなえが、独自の活動として10年間ツイッターに発表し続けてきた140字小説。これをなんとか和紙と活字で本にできないか? 自主制作本刊行に向けての模索をリアルタイムで綴る記録エッセイ。 illustration/design 酒井草平(九ポ堂) *** 3 いざ打ち合わせへ!  ここまで決まったところで、印刷を担当する緑青社の多田さん、製本を担当する美篶堂の上島さんとの打ち合わせをおこなうことになりました。今

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第8話 印刷と製本 前編|ほしおさなえ「10年かけて本づくりについて考えてみた」

活版印刷や和紙など古い技術を題材にした小説を手掛ける作家・ほしおさなえが、独自の活動として10年間ツイッターに発表し続けてきた140字小説。これをなんとか和紙と活字で本にできないか? 自主制作本刊行に向けての模索をリアルタイムで綴る記録エッセイ。 illustration/design 酒井草平(九ポ堂) *** 1 本の綴じ方!  九ポ堂の酒井草平さんと本文の組み方を相談したあと、本の綴じ方、本文と表紙に使用する紙について相談するため、印刷を担当する緑青社の多田陽平さ

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第7話 九ポ堂訪問と本のデザイン|ほしおさなえ「10年かけて本づくりについて考えてみた」

活版印刷や和紙など古い技術を題材にした小説を手掛ける作家・ほしおさなえが、独自の活動として10年間ツイッターに発表し続けてきた140字小説。これをなんとか和紙と活字で本にできないか? 自主制作本刊行に向けての模索をリアルタイムで綴る記録エッセイ。 illustration/design 酒井草平(九ポ堂) *** 1 九ポ堂訪問  収録する作品もほぼ決まり、いよいよ制作の準備に。この日は、これまでいっしょに140字小説活版カードを作ってきた九ポ堂を訪問しました。目的はふ

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第6話 連載のはじまりと作品選び 後編|ほしおさなえ「10年かけて本づくりについて考えてみた」

活版印刷や和紙など古い技術を題材にした小説を手掛ける作家・ほしおさなえが、独自の活動として10年間ツイッターに発表し続けてきた140字小説。これをなんとか和紙と活字で本にできないか? 自主制作本刊行に向けての模索をリアルタイムで綴る記録エッセイ。 illustration/design 酒井草平(九ポ堂) *** 4 作品選びどうする?  わたしの方は、エッセイの執筆と並行して、本に掲載する140字小説を選ぶ仕事がありました。わたしの140字小説は、Twitter上には

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連載 宇野常寛「チーム・オルタナティブの冒険」

その夏、「僕」はある地方都市に暮らす高校生だった。愛すべき仲間たちとの変わり映えのない、退屈な、しかし心地よい閉じた楽園が、ある事件をきっかけにゆるやかに崩れていく。|毎月1回水曜日更新

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第7話 海へ 宇野常寛「チーム・オルタナティブの冒険」

その夏、「僕」はある地方都市に暮らす高校生だった。 愛すべき仲間たちとの変わり映えのない、退屈な、しかし心地よい閉じた楽園が、ある事件をきっかけにゆるやかに崩れていく。 「これは想像力の必要な仕事だ」──それは、世界を変える魔法の呪文。冒険のはじまりを告げる、狼煙のような言葉。 [毎月1回水曜日更新 はじめから読む] design : Akiya IKEDA  中間テストが終わると、僕たちの学校は夏休みに入った。この学校の夏休みは一応、40日ある。しかしお盆が明けると、名

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第6話 庭の日 宇野常寛「チーム・オルタナティブの冒険」

その夏、「僕」はある地方都市に暮らす高校生だった。 愛すべき仲間たちとの変わり映えのない、退屈な、しかし心地よい閉じた楽園が、ある事件をきっかけにゆるやかに崩れていく。 「これは想像力の必要な仕事だ」──それは、世界を変える魔法の呪文。冒険のはじまりを告げる、狼煙のような言葉。 [毎月1回水曜日更新 はじめから読む] design : Akiya IKEDA  井上が不意に僕の下宿に見舞いに現れたのが月曜日で、僕は翌日の火曜日から学校に復帰した。そして井上の言った通り、由

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第5話 仮病とお見舞い 宇野常寛「チーム・オルタナティブの冒険」

その夏、「僕」はある地方都市に暮らす高校生だった。 愛すべき仲間たちとの変わり映えのない、退屈な、しかし心地よい閉じた楽園が、ある事件をきっかけにゆるやかに崩れていく。 「これは想像力の必要な仕事だ」──それは、世界を変える魔法の呪文。冒険のはじまりを告げる、狼煙のような言葉。 [毎月1回水曜日更新 はじめから読む] design : Akiya IKEDA  写真部にカバパンが現れて由紀子を連れてきて、その由紀子が友達の女子二人を連れてきてから2週間が経った。  由紀

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第4話 ヒデさんのオートバイ 宇野常寛「チーム・オルタナティブの冒険」

その夏、「僕」はある地方都市に暮らす高校生だった。 愛すべき仲間たちとの変わり映えのない、退屈な、しかし心地よい閉じた楽園が、ある事件をきっかけにゆるやかに崩れていく。 「これは想像力の必要な仕事だ」──それは、世界を変える魔法の呪文。冒険のはじまりを告げる、狼煙のような言葉。 [毎月1回水曜日更新 はじめから読む] design : Akiya IKEDA  カバパンが由紀子を連れてきたその日から写真部は──いや、僕たちのグループは──あの二人を中心に回り始めた。  ま

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