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千早茜「なみまの わるい食べもの」

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一度読んだらクセになる味わい。直木賞作家にして稀代の食いしん坊、千早茜の人気エッセイ「わるたべ」シリーズ最新作。定期連載化にあたってマガジン名を「なみまの わるい食べもの」に改称… もっと読む
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記事一覧

愉快などら猫 千早茜「なみまの わるい食べもの」#6

[第2・4水曜日更新 はじめから読む] illustration:北澤平祐  去年の暮れに、小さな家族…

白雪姫の歯形 千早茜「なみまの わるい食べもの」#5

[第2・4水曜日更新 はじめから読む] illustration:北澤平祐  秋になると、長野から林檎…

肉のお花畑 千早茜「なみまの わるい食べもの」#4

するどい言葉と繊細な視点で、食と人生の呪縛を解く。人気エッセイ「わるたべ」がHB連載に帰っ…

かがやく馬 千早茜「なみまの わるい食べもの」#3

するどい言葉と繊細な視点で、食と人生の呪縛を解く。人気エッセイ「わるたべ」がHB連載に帰っ…

せりの街 千早茜「なみまの わるい食べもの」#2

するどい言葉と繊細な視点で、食と人生の呪縛を解く。人気エッセイ「わるたべ」がHB連載に帰っ…

なみまの原木 千早茜「なみまの わるい食べもの」#1

するどい言葉と繊細な視点で、食と人生の呪縛を解く。人気エッセイ「わるたべ」がHB連載に帰っ…

「わるい」懊悩 千早茜「ときどき わるい食べもの」

[不定期連載 はじめから読む] illustration:北澤平祐 「わるい食べもの」の連載がはじまったのが二〇一七年十一月、もう六年も前のことだ。その間にコロナ禍があり、京都から東京への引っ越しもあった。「わるい食べもの」の単行本は三冊が刊行された。世の中も、私の環境も変わった。  実はここ一年ばかり、気になっていることがある。「わるい食べもの」は正直であることが信条だ。なので、黙っていると隠しているようで落ち着かない。書いてしまいたい。  私はもう暴食をしていない。

初体験の夏休み 千早茜「ときどき わるい食べもの」

[不定期連載 はじめから読む] illustration:北澤平祐  食べものの味がしないという経験…

引っ越しの条件 千早茜「ときどき わるい食べもの」

[奇数月更新 はじめから読む] illustration:北澤平祐  引っ越しをすることになった。 …

お桃さま 千早茜「ときどき わるい食べもの」

[奇数月更新 はじめから読む] illustration:北澤平祐  いっとう好きな果物は、緑の葡萄…

家路が遠い 千早茜「ときどき わるい食べもの」

[奇数月更新 はじめから読む] illustration:北澤平祐  東京に住んで二年が経った。その…

炙りたい剥きたい 千早茜「ときどき わるい食べもの」

[奇数月更新 はじめから読む] illustration:北澤平祐  私の台所には魚焼きグリルがない…

石見銀山編 千早茜「ときどき わるい食べもの」

[不定期連載 はじめから読む] illustration:北澤平祐  上空からでも、緑の鮮やかさがわ…

冷蔵庫の卵 千早茜「ときどき わるい食べもの」

[不定期連載 はじめから読む] illustration:北澤平祐  直木賞を受賞してから四ヶ月が経った。そのあいだ、幾度となく「忙しいでしょう」と言われた。「受賞直後の一週間の記憶が飛ぶ」とか「受賞すると必ず体を壊す」とか、まことしやかに恐怖の忙しさが語られてきた賞だ。なんの謙遜も必要ないだろうと「はい、ものすごく」と力を込めて言ってきたが、だんだんその度合いを正確に伝えたくなってきた。  リモートでミーティングする恋人の様子を眺めていたら、チーム内で一から五の数字を