愉快などら猫 千早茜「なみまの わるい食べもの」#6
[第2・4水曜日更新 はじめから読む]
illustration:北澤平祐
去年の暮れに、小さな家族が増えた。猫である。数日間あずかったことはあるが、猫という種と暮らすのは初めてだった。それも齢十歳、人間に換算すると私より年上の雄猫だ。そう簡単に懐くまい、と覚悟していたが、三日ほどで小さな家族は「アー!」と鳴いて私の膝にのった。
猫は気まぐれと知人の猫飼いから聞いていたので、もうのるまいと思っていたが、毎日「アー!」と要求して膝にのる。食事中でも、仕事中でも、休憩中で