特殊設定ミステリの先駆者・西澤保彦が仕掛ける、ミステリ小説『走馬灯交差点』が3月24日(金)発売!
大森望さん(書評家・翻訳家)推薦! 次々と起こる不可解な殺人事件と“特異体質”をもつ一族が交差する、怒濤のどんでん返しミステリ。
漫画家・石江 八さんが手掛けるスタイリッシュなカバーも必見!
この本について
【著者のことば】
ホラー映画によくあるPOV(主観ショット)のような趣向を小説で出来ないか? と思ったのが本書執筆のきっかけです。どういうふうに仕上がったのかぜひ確認してください。お楽しみいただけると幸いです。
――西澤保彦
【推薦のことば】
特殊設定ミステリのパイオニアが仕掛ける怒濤のどんでん返しラッシュ。いったい何が起きているのか? 不朽の名作から27年、西澤保彦がふたたび“人格転移の殺人”に挑む。
――大森望さん(書評家・翻訳家)
大晦日の夜に起きた殺人事件を追う刑事・山名隆夫。捜査中、彼は何者かによって橋に突き落とされてしまう。意識を取り戻した隆夫だったが、なんと目の前には“自分の幽霊”が――!?
いまの時刻は午後三時半。辺りは、まだ明るい。けれど、それが幽霊であることは疑い得ない。
霊感なんてものとは本来無縁のはずのおれがこれほど、はっきりとしたかたちで心霊現象を体験するというのも驚きだが、それ以上に衝撃的な事実がある。
欄干の傍らに浮かんでいる中年男性の幽霊はどう見ても山名隆夫……他ならぬこの、おれ自身なのだ。(本文より)
高和県在住の大学生・染谷朝陽、父・直道、母・博子、祖母・裏田豊子、曽祖母・忽滑谷シズ/高和県警の刑事・山名隆夫、娘・興津凜花、凜花の夫・俊輔/レストランのオーナーシェフ・上茶谷蓮、息子・圭以、娘・小園手毬/黒猫・メイズ……。
“特異体質”の一族が交差する、不可解な殺人事件の真犯人はいったい「誰」なのか!?
書評
驚きとたくらみに満ちた特殊設定ミステリ/大森望
今村昌弘『屍人荘の殺人』から、夕木春央『方舟』、荒木あかね『此の世の果ての殺人』、白井智之 『名探偵のいけにえ』……。日本のエンターテインメント小説界は、ここ数年、特殊設定ミステリが花盛りだが、このジャンルのパイオニアと言えば、『七回死んだ男』の西澤保彦。1990年代後半から2000年代前半にかけて、時間ループ、瞬間移動、生体コピー、超能力などを扱った野心作を矢継ぎ早に発表、あらゆるパターンの“特殊設定”を極めてきた。
その西澤保彦の書き下ろし新作長編『走馬灯交差点』は、“生まれ変わり”(というか、死んだあと、故人の人格が生者の肉体に憑依する転生)が可能な特異体質の家系が存在するとしたら――という特殊設定を前提にしたミステリ。永遠の名作『人格転移の殺人』(1996年)から27年ぶりに“人格転移”テーマに再挑戦した作品ということになる。
もっとも、オーバーテクノロジーの産物である謎の機械によってクローズドサークル内の六人が人格転移現象に巻き込まれるゲーム的なパズラーだった『人格転移の殺人』と違って、本書は現代(2021年末~2022年初め)の実社会の物語(高知県ならぬ“高和県”が主な舞台)。完璧に考え抜いた“転生”計画の歯車が狂い、思いがけない人物の中で意識をとりもどした主人公(?)は、なんとか事態を収拾すべく奔走するが……。
このメインプロットのほかに、何者かに橋から突き落とされて“幽霊“となった元刑事が自分の死の謎解きに挑むパートや、殺人事件の犯人を追う警察小説的なパートも挿入され、小説は複数のプロットが錯綜しながら進んでいく。
作中でいったいなにが起きているのか、途中までさっぱりわからないのが本書の最大のポイント。ある意味これは、いったいどんな特殊設定なのか、そのルールを探す本格ミステリだとも言える。特殊設定ミステリが大流行するいま、この分野の草分け・西澤保彦が挑戦する、驚きとたくらみに満ちた特殊設定ミステリだ。
目次
CROSS1〈朝陽〉(試し読み)
CROSS2〈隆夫〉
CROSS3〈博子〉
CROSS 4〈凜花〉
CROSS5〈兄妹〉
CROSS6〈豊子か、シズか〉
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書誌情報
西澤保彦『走馬灯交差点』
2023年3月24日(金)発売
定価:1,980円(10%税込)
発行:ホーム社/発売:集英社
装画:石江 八
体裁:四六判ソフトカバー 360P
ISBN:978-4-8342-5370-2
著者プロフィール
西澤保彦(にしざわ・やすひこ)
1960年高知県生まれ。アメリカ・エカード大学創作法専修卒業。95年『解体諸因』でデビュー。『七回死んだ男』や〈匠千暁〉シリーズ、〈腕貫探偵シリーズ〉などSF要素のある本格ミステリ作品で人気を博す。近著に『夢魔の牢獄』『偶然にして最悪の邂逅』『スリーピング事故物件』『パラレル・フィクショナル』『異分子の彼女 腕貫探偵オンライン』などがある。