姫と騎士修行(後編) 千早茜「なみまの わるい食べもの」#8
[第2・4水曜日更新 はじめから読む]
illustration:北澤平祐
デビュー戦当日は狼煙をあげたいような快晴だった。しかし、私は「またかよ……」と自宅のトイレで肩を落としていた。また、月のものによる絶不調。直木賞の待ち会のときの悪夢がよみがえる。大事な用事の日はだいたい体調が悪い私の人生。
もうこれは宿命だと諦めて、戦用に作りおきしていた稲荷寿司を食べ、鎮痛剤を飲んで出発した。どんよりと曇った心で舞浜駅からモノレールに乗り換え、つり革に手を伸ばした途端、はっとな