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賽助×渡辺優【並行宇宙を生きるふたりのぼっち 全5回】 (4)占いとプロレス、そして猫

人気ゲーム実況者であり作家の賽助さんと、作家の渡辺優さん。『今日もぼっちです。』『並行宇宙でしか生きられないわたしたちのたのしい暮らし』刊行記念対談4回目です。
構成=編集部/撮影=山口真由子
▶︎ 対談を1回目から読む

占いとプロレスの親和性を発見する

渡辺 賽助さんが行かれた占いで、プロレスの話をされたというエピソードがあるじゃないですか。私、同じ人に占ってもらったことがあるかもしれない。

賽助 えっ、ほんとですか。

渡辺 その人自身もプロレスやっていませんでした?

賽助 いや、その人はプロレスやってないと思います。僕が行ったのは池袋なんですが。

渡辺 あ、じゃ違うか。占いに行ったら、チラシを渡されて、「今度プロレスやるんで、よかったら」みたいに言われたことがあって。言われる内容もちょっと近い感じで、生活習慣のレクチャーをされたんです。あなたは発酵食品が足りていないから味噌汁を飲んで、とか。

賽助 占いで?

渡辺 ご飯をちゃんと決まった時間に食べなさいとか。

賽助 占いで?

渡辺 お腹が空いた時に食べるような生活ではいけませんと。

賽助 占いかなそれは。真っ当ではありますけどね。

渡辺 そういう地に足が着いたことを言ってくれる感じがちょっと近いような気がして、もしかしたら同じ人かなと思ったんですけれど。

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賽助 今、占い師いっぱいいますからね。占い、よく行かれます?

渡辺 そのときが初めてか、2回目くらいです。

賽助 僕も人生で2回ぐらい。興味本位で行ってみたら、女子プロレスラーを紹介してあげるみたいな話をされたんでした。案外、占いとプロレスって近いところにあるのかもしれないですね。

渡辺 突き詰めて考えると、エンターテインメントとして楽しむというところで。

賽助 確かに。プロレスってある種、ショー的要素がありますもんね。占いも、言ったら怒られるかもしれないけど、ちょっと近い。

渡辺 信じることで楽しむという点では。確かに占われているときも、ちょっとこう、協力するような感じが……。

賽助 そうですね。「こうなんでしょ」と言われたときに、ちょっと違うけど、でもまぁそこは大人だし、ここは相手の技を受けようみたいな。

渡辺 やってくれているんだから。

賽助 時間割いてやってくれているんだから、顔を立てようみたいな。そうか。新しい発見をしました。

渡辺 プロレスと占いの新発見。

わたしたちは猫となら打ち解けられるのか

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写真右:賽助(さいすけ)
東京都出身、埼玉県さいたま市育ち。大学にて演劇を専攻。ゲーム実況グループ「三人称」のひとり、「鉄塔」名義でも活動中。また、和太鼓パフォーマンスグループ「暁天」に所属し、国内外で演奏活動を行っている。著書に『はるなつふゆと七福神』(第1回本のサナギ賞優秀賞)『君と夏が、鉄塔の上』『今日もぼっちです。』がある。
Twitter:@Tettou_

写真左:渡辺優(わたなべ・ゆう)
1987年宮城県生まれ。宮城学院女子大学卒業。2015年『ラメルノエリキサ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。著書に『自由なサメと人間たちの夢』『アイドル 地下にうごめく星』『悪い姉』『並行宇宙でしか生きられないわたしたちのたのしい暮らし』(12月16日発売)などがある。
Twitter:@watanabe_yu_wat

賽助 猫がかわいいっていう話は、おっしゃるとおりだなと思いました。

渡辺 賽助さん、2匹飼っていらっしゃるんですよね。本当にうらやましい。子供の頃から飼っていらっしゃるんですか。

賽助 いや、子供の頃は僕が喘息持ちというのと、うちには犬が苦手なおばあちゃんと猫が苦手なおばあちゃんという二大巨頭がいまして、ずっと飼えなかった。大人になって、30代後半、もうあんまり人生浮き沈みもなさそうだし、このタイミングで猫なんじゃないかと。そこから初めて飼いました。

渡辺 希望が湧きました。30代後半になったら飼えるようになるかもしれない。

賽助 ただ、周りからは「猫を飼ったらもう終わりだよ」ってすごく言われました。

渡辺 へえー。始まりじゃないんですね。

賽助 僕の中では始まったんですけど、世間一般的には終わりに向かっているみたいです。

渡辺 最初から打ち解けられました?

賽助 全然。最初はずっと物陰にいて、ご飯も食べてくれなかった。こっちも音出すと悪い気がして、僕もずーっと静かに動かない、猫も動かないというのを1日、2日やっていましたね。あのときは正直ちょっと心折れそうになった。でもしばらく暮らすと、向こうも悪いやつじゃないと思ってくださるみたいで、どうにか。

渡辺 なるほど。初対面はしょうがないんですね。

賽助 時間をかければ、猫ならどうにか大丈夫だとわかりました。猫のいいところは、近寄ってくることですね。あんまり人って近寄ってこないじゃないですか、寄ってほしくもないけど(笑)。

渡辺 わかります、猫に近寄ってきてほしい。この辺歩いてほしい。

賽助 寄ってきますよ。歩きますよ。あれは本当にすばらしいことです。

渡辺 家に猫2匹、それだけで幸せですね。

賽助 帰ったとき、家の中に温かいものが居る。あれは本当にすごいことです。猫以外の動物も好きなんですか。

渡辺 猫以外は普通ですかね。ちょっと怖い気持ちもあるんです。人間以外の動物が近くにいる状態がなかったので、友達の家で犬とかいると、これが知性をもった生き物なのか……と動揺してしまう。

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賽助 子供の頃、ペットは飼われていなかったんですか。

渡辺 ザリガニとカブトムシと金魚くらいで。なので、人間じゃない生き物って基本的に手のひらサイズの認識だった。

賽助 そのあたりは、あまり何かを考えてなさそう。

渡辺 でも犬とかって明らかに考えているじゃないですか。このサイズの生き物が考えて動いてる……えっ!? みたいな。猫を飼ったら、この感覚を克服できるんですかね。

賽助 猫を飼っても、何を考えているかはいまいちわからないままです。でも、何となく信頼されてる感はあるんですよ。

渡辺 あー、めっちゃいいですね。

賽助 人がこう、家にいたらちょっと嫌だと感じると思うんですけど、猫だったら全然いい。素敵なことです。

渡辺 いつかきっと飼いたいです。

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▶︎ 第5回:人生のトライアンドエラー問題

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