三人称(ドンピシャ×賽助×ぺちゃんこ) 雑談・特別回(2)─賽助『今日もぼっちです。』刊行記念
賽助少年のエピソードがやばい
──ドンピシャさん、ぺちゃんこさんへ。『今日もぼっちです。』の中で、お気に入りのエピソードを教えてください。
D 俺はね、好きなのが「野球少年」。
P あれな。
D そう。自分に野球の才能があると思っていたって話。実際にはなかったんだけど、実は剛速球を投げられるんじゃないかと思っている賽助少年が……。
P やばいよね。
賽 まあ、想像するよね、自分なら絶対できるはずなんだと。小さいころ、そういうこと考えてたりしなかった? ぺーさんは実際あったわけじゃん、才能が。
P スポーツはわりとできるほうだった。俺はサッカーをやってたのね。でもやっぱりあれよ。
賽 何?
P 最初、小さいチームにいたときは自分は上手いと思っていたんだけど、大きいクラブチームみたいなところに入ったときに、もっと上手い人は全然いるんだな、みたいに感じたことはあったよ。
D なるほど、上を知ったということね。
賽 そうか……上手い人は上手い人なりにいろいろあるんだね。ドンさんってスポーツは駄目だったほうでしょう?
D どっちかというとね。
賽 こうやって(腕を回しながら)走ってたんでしょう。
D そう。カーブを走るときは、腕を回さないと駄目だった。
賽 回すことできれいにカーブが曲がれるみたいな。
D そう(笑)。でも小学校のときはわりと運動神経がいいほうで通っていて、周りよりちょっと速く走れて、リレーの選手に選ばれたりもしたから、そこそこできると思ってた。球技に関しても、最初はあまりできなくても、そのうち多分上手くなるんだろうなみたいな感覚はあったんだけど……中学になって思い知らされたね。
賽 中学になると如実に出てくるよね、差が。
D/P 出る。
D 足の速さなんか全然大したことないんだって思い知らされる。腕を回して走ったりすると、やっぱり馬鹿にされるわけ。小学校のときは、誰も何も言わなかったのに。
賽 中学になった途端に馬鹿にされたの?
D そう。「えっ、何で腕回すの?」みたいな。
賽 中学になると厳しくなるんだね。
D そう。球技もやっぱり周りのほうが上手いの。「俺、全然できねえじゃん」っていうのは感じたね。
賽 ぺーさんは中学のときも結構できるほうだったわけだよね。
P そうだね。中学ぐらいでもできる側だったと思う。運動神経はよかった。
賽 できない側の人のことどう思ってたの?
P 正直、何も思ってない。
賽 特に何も?
P うん。できないからって、別に馬鹿にするような感じではない。運動神経がいいとか悪いとかっていうジャンル分けを、特別こっちからはしなかったよ。
賽 あっ、そうなんだ。
D なるほどね。
P だから、もしかしたら、スポーツができない側が過剰に感じているのかもしれないな。そちらが思ってるほど、こちらは思ってないのよ。
賽 そうなのか。できない人はやっぱり〈持たざる者〉で、〈持ってる者〉は、スポーツができるという有利なものを一つ「持っている」から、〈持たざる者〉に対して何かを思う必要がないってことなんだろうな。
D 多分そうだろうね。反対に、できない人は大体、できる人に対して嫉妬してるからね。
賽 マジでそのとおりだと思う(笑)。
D 「野球少年」の話に戻るけどさ、賽助少年が初打席に立ったとき、サインとか全然知らないわけでしょ。
賽 全然知らないの。
D あるある。俺も野球をやってたから分かんのよ。確かにサインを全然知らなかったなと。
賽 あれ、いつ教えてたんだろう?
D いや、俺も分かんなかった。お前、全然サイン見ないなって言われたことがあったの。でも、そのサインをいつ教わった? というのは正直あった。そもそも、ルールすら把握してないっていうところがちょっとあって。
賽 分かる。俺も野球の細かいルール、多分知らないと思う。
D 把握しきれてないのよ。でも、野球の才能はあると思ってる。
P サインどころか、ルールを覚える段階にすらいけなかったんだね。
D うん。だから「野球少年」はちょっと共感できる部分もあって、いいなっていう感じ。でも結局、バッターボックスに立っても「打つな」って監督に指示されたっていうのは。
P つらいよな。残酷よな。
D そう、残酷よ。
賽 そうだね。勝負事だから、勝ちたいんだろうなとは思ったよ。
P 仕方がないことなんだけどさ……。
賽 ぺちゃんこさんは、気になった話はありました?
P 俺はね、「連鎖理論」がよかったな。あの絶妙な気持ち悪さ、まさに鉄塔さんって感じがした。鉄塔さんに、世の中は本当にそういう理論で動いているんですよって言われて、一旦はそうなのかなって思うんだけど、冷静に考えると、こいつ何言ってんだ? みたいな感じになること、結構あるよね。
D はいはいはいはい(笑)。
賽 「連鎖理論」は、自分が子供のころに思いついた世の中の理(ことわり)で、自分の存在があらゆる事象に影響を及ぼしている、という理論なんだけど。
P あれよかったな。
賽 そういったことって考えたりしなかったの? 子供のころ、あっ、この世界の成り立ちに気づいちゃった! みたいな。
D いや、あんまりなかったね。
P そこまではいかなかったかな。
賽 そうなんだ。そういうものかな。
P あの理論、昔から、ずっと考えてたの? 自分がいなかったら周りも影響を受けて違ってただろうって……。
賽 ぼんやりとは考えてたんだよね。俺がいたことにより、何かあっちで楽しいことが起こってる。でも、俺がいなかったらあの人たちも違う人生になってるよね、とは思ってたの。
D なるほどね。
P それ、すごい考えだと思うよ。だって、教室の中で、向こうですごくワイワイしてる様子をさ、賽助少年は隅っこで見てるわけじゃん。それで、俺がいなかったら、あのワイワイな感じはないかもしれねえんだぞって思ってるわけでしょう?
賽 そうそう、そうそう。
P すごいよ(笑)。
賽 要は、バタフライエフェクトだよね。日本でのチョウのわずかな羽ばたきが、巡り巡って海外で嵐になるよみたいな。
D 考えたことなかった。
賽 この理論、今でもあんまり間違ってないとは思ってるんだけど。
P いや、直接関わってるなら分かるけどね。賽助先生が本を出してなかったら、この雑談はないわけじゃない。
賽 まあそうね。
P 先生が直接関係しているんなら分かるんだよ。でも、直接関係しないもの全てに対して、自分が影響を及ぼすなんて考えられるっていうのは、これはむしろ一つの才能だよ!
D 才能だね。
賽 でも、考えてみて。例えば俺がいなかったら、出席番号がみんな変わって、隣の席に座る人も変わる。そうすると、毎日隣の人と話す言葉とか内容が変わるでしょ。つまりは、俺がいたかいないかで、みんなの人生が変わるわけよ。
D なるほどね。
賽 そういうことよ。
P いや、なるほどねっていう気持ちにさせるのが危ないのよ!
賽 そうか、つまりは、俺に対して「何言ってんだ」ってなることも含めて、「連鎖理論」がよかったと。
P そう。あれはね、本当に絶妙な気持ち悪さがあったよ。
賽 なるほど、分かりました。ありがとうございます。
賽助『今日もぼっちです。』刊行記念
三人称雑談・特別回
●「三人称」チャンネル
ニコニコ動画 https://ch.nicovideo.jp/sanninshow
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCtmXnwe5EYXUc52pq-S2RAg
●和太鼓グループ「暁天」
公式HP https://peraichi.com/landing_pages/view/gyo-ten
●koe official channel
YouTube https://www.youtube.com/channel/UC4fuN2PD6oE4dfUa0c8RG4g
※3rd single「RUSH」ダウンロード販売サイト一覧 https://linkco.re/UVM9MpsA