三人称(ドンピシャ×賽助×ぺちゃんこ)雑談・特別回(3)─賽助『今日もぼっちです。』刊行記念
初のエッセイ連載を振り返る
──賽助さんへ。単行本に収録されたエッセイの中で思い入れのあるものを教えてください。
賽 二人が挙げてくれた話は思い入れあるな。
P あ、そう。
賽 やっぱり子供のころに結構強烈に残ってるんだよね。特に野球部の経験とかは、今思っても、別に何の足しにもならなかったなっていうふうに思ってて。
P 部活の経験って、大体プラスになってることが多いはずだと思うんだけどね。
賽 何だったんだろう、あの野球部の一年間って。何にも自分の中に残ってないんだもん。野球をやってた人ってさ、やっぱり自分のひいきのチームがあったりするじゃない。でも俺、その後野球好きになってないし。
D/P なるほどね。
賽 だから逆に記憶に残ってるの。あの経験は何だったんだろうみたいな。あとは、リアル型脱出ゲームに一人で行ったことや、初めて占いに行ったことなんかは、エッセイ連載に書くからやろうと思ったことでもあるから、やっぱり思い入れがあるかな。
D そうか、エッセイ連載のために自分で行動した部分が結構あるんだね。
賽 だから、連載が終わっちゃってさ、最近は〈三人称〉のトークイベントもできないじゃない。そうすると、どこかに行って何かやろうという気にあまりならないんだよね。
D やっぱりならないもんよね。だって、うちら三人とも本当、基本どこにも行きたがらないもんね。
P そうだよ。
賽 そう。だから、やっぱり機会があるって大事なのよ。
D いや、大事よな。
賽 このままだとまずいよね。何もない人生になっちゃう。
D 欲しいね、エッセイ連載。
P 賽助先生の人生のためにも、連載は必要ね。
賽 ということで次の質問は、「エッセイ連載」についてですね。
WEB連載のタイトルバナー。漫画家・山本さほさんによる描き下ろし。
──賽助さんへ。HBでの連載「ところにより、ぼっち。」は、賽助さんにとっての初の連載でした。大変だったことや新しい発見などありましたでしょうか。
賽 さっき話した、エッセイに書くために行動したことがあるってことにつながるんだけど、結局、書くことがなくなるんだよね。特に連載の後半がそうだった。
D さすがにね。
P ストックがなくなるのね。
賽 自分の人生で、何があったかっていうのも思い出せなくて。
D そうよね。
P 覚えてない感じがちらほら文章に出てるもんね。「~だったと思います」みたいな。
賽 そう(笑)。
D いや、そうだろうなと思ったわ。逆にこっちは強烈に覚えてるんだなっていうのも、やっぱり読んでいて分かるし。
賽 そうそう。だから、連載中は思い出す作業が結構大変だったかな。それこそ、いろいろ写真を引っ張り出したりとか。このエッセイの中で、大学浪人中に、お付き合いしていた人と映画を一緒に観に行って、俺が『リーサル・ウェポン4』をチョイスしたって話があるんだけど、その方は今はご結婚されていて、連絡先も知っていたんで、これ、いつのことだったか覚えてる? って直接聞いたり……。
P それすごいよね。
D すごいね。
P だって、違う映画も観に行ってたって言われて、先生、全く覚えてなかったんでしょ?
賽 そうそう(笑)。だから、思い出す作業って、やっぱりちょっと大変なんだなと思ったな。二人もやってみるといいと思う、思い出す作業。
D いや、俺もね、今回読みながら自分のこともいろいろ思い返してみたけど、難しいなと思ったよ。やっぱり断片的にしか思い出せなくて。
賽 何か出来事があったっていう瞬間だけは覚えているんだけど、その空間とか、誰がいたかとかは、あまり出てこない。でも、難しい一方で、おもしろかったのも事実。いたな、あいつみたいな。思い出すのって、結構いいです。
D なるほどね。
賽助さんと鉄塔さんとの違い
──ドンピシャさん、ぺちゃんこさんへ。〈三人称〉の鉄塔さんと、作家・賽助さんとで違いを感じるとしたら、どのような部分でしょうか。
D 鉄塔と賽助で?
P どうだろうね……基本は一緒だけど、やっぱり、作家としての賽助は、いつも以上に何か考えて物事を書いてんだなっていう気がするな。
D そうだね。
賽 いつも以上っていうのはどういうこと?
P いや、鉄塔さんが動画だったり雑談配信で、みんなが分かりやすいようにかみ砕いて説明するっていう部分はあるけれど、賽助先生のときはベクトルが違うって感じよ。
賽 なるほどね。でも、そうなのかも。賽助として書くときって、自分としても何かかしこまっちゃうところがあるんだよね。
D 確かに。そういう部分、文章にも見えるような気がする。
賽 二人はどうかな……? 君らは〈三人称〉とは別に、「koe(コエ)」っていうメロコアバンドをやってるじゃない。そちらの活動をするときって、自分たちの中で何か違う感覚ってあるの?
P 基本変わんないから。
D そうね。ああ、でもまあ、ちょっとまじめになっちゃうのかな。
賽 バンドメンバーと一緒のときと〈三人称〉のときとで、テンションとか話し方って違う?
D 俺はそこまで変わらないかも。
P 俺は〈三人称〉よりは物静か。
D うん、ぺーさんは結構おとなしい。
賽 やっぱりそうなんだ。実はぺーさんのこと、バンドのほうでは大丈夫なのかなってちょっと思ってたのよ。
P メンバー同士、知らない仲じゃないから、まあまあどうにかできてます(笑)。
賽 なるほど、まあまあ。結論としては、鉄塔より賽助のほうが「固い」ということね(笑)。
──ドンピシャさん、ぺちゃんこさんへ。賽助さん(鉄塔さん)と十年近く関わる中で、「この人、ぼっちをこじらせてるな」と感じたことはありますでしょうか?
P どう? 正直、この十年ぐらい鉄塔さんと一緒に活動してきたけど、ぼっちだなっていう部分は、俺らにあんまり感じさせないじゃない?
D 確かにそれはある。
賽 なるほど。
P 強がってるのか何なのか分かんないけど……。実際、〈三人称〉の動画を見てる人からも、鉄塔さんってぼっちだったの? みたいなコメントが来たりするじゃない。
D そうね。
P だから、〈三人称〉の鉄塔さんからは、この本に書かれている賽助先生のぼっち感って、それほど強くは伝わってこない部分なのかもしれないな。
D 確かに、確かに。
賽 なるほどね。
D エッセイに出てくるエピソードをいろいろ読んでると、かわいそうだなって思ってくるもんね。もう本当、つらいよなっていうような。
賽 そっか。「かわいそう」なんだ。
P だから、そこからいい育ち方して、よかったねっていう感じ。
賽 なるほど(笑)。でも、確かに十年ぐらいは三人で一緒に活動してるわけで、そういう意味では、それ以前の「ぼっち」な感じとは違うっていうのはあるかな。
P そもそも俺たちって、そんなに必要以上に絡まないじゃない。この本にも書いてるけどさ。
D そうね。鉄塔さんは一人を好むタイプだし。
賽 君ら二人もそうだけどね。
D まあ、そうね。お互いそんなに踏み込まないから、感じない部分なのかも。
P 他の人たちから見たら、一人で何日も家にいるとか、「うわ、ぼっちだな」って思うかもしれないけど、俺ら全員そうだから。
賽 そうね……。
D そうなの……。
P そうなのよ……。
D うちらも結構やばいんだよな、正直。
P だから〈三人称〉にとって、いわゆる「ぼっち」って特別なことではない。
賽 なるほどね。
賽助『今日もぼっちです。』刊行記念
三人称雑談・特別回
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