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連載 千早茜「こりずに わるい食べもの」

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舞台は京都から東京へ。大好評の食エッセイシリーズ第3弾! illustration 北澤平祐
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東の食の海原へ|千早茜「こりずに わるい食べもの」第1話

20年以上住んだ京都を離れ、はじめての東京ひとり暮らし。さて、何を食べようか? 偏屈でめん…

生クリーム絶対主義
|千早茜「こりずに わるい食べもの」第23話

 二年ほど前から、自分の中の生クリームに対する愛情をひっそりと疑っている。  ちょうどマ…

雨と神様の物語|千早茜「こりずに わるい食べもの」第22話

 雨の日はココアとビスケット。  いつの間にか、そうなっていた。私は気圧の変化に弱いので…

ぬぐい菓子|千早茜「こりずに わるい食べもの」第21話

 東京の住処のまわりにはパン屋が多い。知り合いのパン好きが「そこはパンの聖地ですよ」と言…

香箱蟹とそぼろカレー|千早茜「こりずに わるい食べもの」第18話

   去年の冬の始めのことだ。東京でも香箱蟹を食べられるところがあるよ、と誘われて、炭火…

夜の江戸ピクニック|千早茜「こりずに わるい食べもの」第19話

「せっかく東京に来たのですから、東京らしいものを食べにいきましょう」と担当T嬢が言った。…

夢の食事|千早茜「こりずに わるい食べもの」第17話

 私はものすごく静かに眠るらしい。寝返りもほとんど打たず、呼吸もしているかしていないかわからないくらいひっそりと眠るので、床を共にした人に「死んでいるんじゃないかと思った」と怯えられる。友人と旅行をしても同室に泊まると心配をかけてしまうので、人より先に眠らないようにしているくらいだ。  そんな私が先日、眠っているときに「ゔ―!!」と唸り声をあげたらしく、恋人が仰天して目を覚ました。急な体調不良かと思い「どうしたの⁉︎」と声をかけると、私はひどく不服そうな顔で「鰻が食べられな

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ブラックランチボックス|千早茜「こりずに わるい食べもの」第16話

 最近、弁当を作っている。週に二、三回ほど、作りたいときにしか作らず、誰かのための義務に…

恋と「サッポロ一番」|千早茜「こりずに わるい食べもの」第15話

 新年の抱負を決めなくなって久しい。    もともと神仏には祈らない主義だ。初詣にも行かな…

乾物のつぶやき|千早茜「こりずに わるい食べもの」第14話

  二月末に東京に引っ越してから、度重なる緊急事態宣言で新しい土地での外食はほぼしないま…

食べものの重み|千早茜「こりずに わるい食べもの」第13話

 数日前から右肩が痛い。首がうまくまわらない。肩はあがるが、重いものを持つとピーンと糸が…

ケーキの故郷|千早茜「こりずに わるい食べもの」第12話

 ここ最近パフェにかまけているが、もともとは洋菓子好きだ(パフェも洋菓子ではないかという…

包んで包んで兵馬俑|千早茜「こりずに わるい食べもの」第11話

 渡辺ペコの『にこたま』という漫画が好きだ。各章の題名が食べものや料理名で、おいしそうな…

ロシアンルーレットで食欲爆発|千早茜「こりずに わるい食べもの」第10話

 注射が嫌いだ。静脈注射も筋肉注射もどちらも大嫌いだ。わけのわからない汁を体内に注入されるのが気持ち悪いのだ。まだ血を抜かれるほうがいい。  予防接種会場とか地獄だ。そんな嫌なことを列を成して待つという状況に耐えられない。小さい頃は学校だろうが病院だろうが脱走した。しかし、大人はそうはいかない。このコロナ禍においては特に。  今夏、新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた。一回目も二回目も最高気温三十四度の猛暑日だった。マスクが本当につらい。ごくごく水を飲みながら会場に行き

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