第19回 冬の衣替え心得 服の捨て方、増やさないワザ 地曳いく子「日日是混乱2 ハッピーレイヤード大作戦!」
混乱の日々の中でも、小さなハッピーをミルフィーユのように積み重ねていきたい。BBAの自由なファッション&日常を数センチ豊かにするヒントを、スタイリスト・地曳いく子が綴ります。
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photo:地曳いく子/design:アルビレオ
衣替えで考えた「今に生きている意味」
立冬を過ぎた途端にいきなり冬!
佃の公園の木々も、紅葉する前に落葉し始めてしまいました。秋はどこに行ったのでしょうか? 街のイルミネーションも輝き出して、北風も寒い。慌てて冬物に衣替えをしている私です。まさに「人生の衣替え実践編」ですね。
そこで、衣替えついでに、今までの服(人生?笑)をもう一度見直すというか、考え直すことにしました。最初に考えたのは、「今に生きている意味」です。
誰でも老いて見られたくはないので、ついつい自分が若い頃のスタイルや服にとらわれがちです。でも、それはもう、「過去」のスタイルや服です。
過去にとらわれることが、実はいちばん老けて見えると私は思います。昔の重くて硬くて高かった服より、今の軽く着やすいカジュアルな服で軽やかに生きるほうが素敵です。
「昔の服」は「昔の自分」。感謝しつつ、別れを告げてもよいのではないでしょうか?
お別れすべき4つの服
「そんなことをいきなり言われても無理。どの服も愛着や思い出があるし」とおっしゃるあなた。そんなあなたに、実際に服を処分するときに、「こんな服はもういらない」という具体例をいくつかあげてみますね。
1 気分が上がらない服
とにかく「気分」が大事です。いくら昔好きだった服でも、今、着てみて気分が下がる服は、あなたとの縁がもう終わっています。恋人と一緒ですね(笑)。
2 今の自分が太って見える服
なんとなく太って見える服ってありませんか? 数年前には大丈夫だった服も、今年着てみたらなんだか変な感じ、スタイルよく見えない。これはあなたの体型がちょっとだけ変わったか、時代のスタイルが変わったかで、変に見える服です。
そんな服も、もう着なくてよいです。着こなしでどうこうしようなんて考えなくてよいです。10分考えてどうにもならない服は、どうにもならない服です。時間の無駄です。これからの人生、あなたが太って見えたくなければ処分してくださいね!
3 修理や修繕やケアが必要だけど、そのままの服
穴が空いている、ボタンが取れている、シミがついている、丈を直していないパンツなど、今のままでは着られない、修理や修繕の必要なまま、クローゼットにしまっていた服、毛玉のついたままのセーターもそうです。きちんとケアをしないまま放っておいたということは、もうその服にあなたの愛はないのです。大好きな服なら、そのまま放置していません。そんな服もお別れの時が来ています。
4 仕舞いっぱなしになっている、いただいた服やアクセサリー
いただいたものも、捨てにくいものの一つですよね。この先、というより、今日、明日にでもつけたいもの以外は、いただいたご恩だけ大切にして処分しましょう。どうしても罪悪感を覚える時は、それを身につけた写真を撮って、いただいた相手にLINEなどで「ありがとうございました」と送るのも手ですね。
服の処分方法 ~メルカリや寄付をあまり勧めない理由
まず、よほど向いている方以外は、メルカリなどでの処分は考えないでください。割引交渉などのやり取りに心を痛めたり、配送方法でクレームを受けたりとなかなか大変です。梱包や発送も面倒です。そういったことが苦もなくできる方以外は、手を出さなくてよいと思います。手数料や、発送料を引いた金額に唖然とすることもありますしね。
「アフリカなどの国に寄付」も私はあまりお勧めしません。以前見たテレビ番組で、「善意で送られた古着が現地で廃棄されている」というレポートを見てショックを受けました。
寄付する古着によりますが、ボロにするような古着を送られても迷惑ですよね。自分が捨てるのが嫌で、捨てる罪悪感から「寄付」という善意の行動にすり替えたとしても、大量に送られた古着の一部は役に立つどころか、現地で廃棄処分、その処分費用も莫大になっているという現実をもう一度見つめてみましょう。
もったいないなら自分で着る、着ないなら捨てる! です。
どうしても処分したい服を、燃えるゴミの日に出すのが嫌な方は、せめて各自治体の資源ごみの日に出してください。ベルメゾンでは不要な服を引き取ってくれる宅配買取サービス(kimawari)があります。段ボール1箱で100円くらいにしかならない引き取りですが、捨てるよりはマシかもしれません。
できるだけ服を増やさない方法
さて、かなりの服を処分しても、人間、生きている限りは尼寺にでも行かない限り、服は増え続けるのが現実です。それでも、少しでも増える速度を落とす方法がいくつかあります。
1 まず、ハンガーを増やさない
もう、ハンガーを増やしたら負けです。ワンシーズンの間に着られる服には限りがありますが、ハンガーの数を増やさなければ、何か買ってきたらその分、古い服を捨てざるをえなくなります。以前、本にも書きましたが、「ベンチ入りできるスタメンの選手」(服)の数は限られているのです。
2 収納を増やさない
同じ理由で収納場所、収納ボックスなどを増やさない。服が増えて収納に困ったら、その分捨てる。収納上手は溜め込み上手(?)なのかもしれません。
私は今回の衣替えで、衣装ケースを2つ捨てました。ハンガーも20本捨てました。
今の自分が、未来の自分を作るのです。私も頑張ります!
冬のワンピース
またまた手前味噌で申し訳ありません。
近頃ヘビロテしているのが、ネイビーのロングワンピース。実はこれ、昨年「エクラプレミアム通販サイト」で大変好評をいただいた私のコラボワンピースです。コンサバになりすぎない梨地風の素材と、たっぷりしたボリューム感が特徴です。軽くてバランスが良く、肩で着られるデザインなので、どんな体型の方でも着こなしやすいデザインです。
今年は更に、共布ベルトをプラスし、長い丈もご用意し、お好きな丈を選べるようにと昨年からアップデートしました。ストンと着るほか、ウエストマークした着こなしも楽しめます。色は濃い目のネイビーの他にベージュ。寒い季節にはハイネックのインナーとスパッツなどを合わせれば、かなり長く着られると思います。
銀ブラのついでに「GUCCI VISIONS」展へ
先月のことになりますが、グッチ銀座最上階の「グッチ銀座 ギャラリー」で、GUCCIの歴史を振り返るエキシビション「GUCCI VISONS」のプレビューを見てきました。
バッグなどGUCCIのクラフトマンシップを学べる展示や、Lady Gagaなどセレブが着用したドレスの展示。過去のアーカイブが展示されたコーナーでは、「ああ、これ、ニューヨークで買って持っていたジャッキーバッグだ」とか、母が銀座並木通りで買ったスカーフを発見したりと、懐かしい気持ちにもなりました。
スカーフのフローラ柄をオブジェ化したガーデンでは花に囲まれ、『不思議の国のアリス』のアリスになった気分。ガーデンを抜けて気持ちの良いテラスに上がると銀座の景色が楽しめます。ディズニー創立100周年を記念した和光のミッキー時計(期間限定でミッキーマウスデザインに模様替えされた時計塔)も見えました。夕暮れから夜景へと移りゆくネオンも素晴らしいと思います。
2024年春まで開催予定。銀座にお立ち寄りの折はぜひ。無料です。
表参道のイルミネーションとディオールのポップアップショップ
毎年美しいイルミネーションで楽しませてくれる表参道ですが、今年は、246号青山通りとの交差点に、これもまた美しいディオール(DIOR)のホリデーシーズンショップが期間限定のポップアップイベントとして出現しました(期間:11月18日~12月25日)。
今シーズンのテーマの一つである、フリーダ・カーロにちなんだコレクションや、冬のギフトにぴったりなバッグや小物が展示された店内は、南米を思わせる、越冬のために長い距離を越える蝶々のデコレーションに彩られています。冬を乗り越え新しい年を感じさせるコンセプトは素晴らしいものです。
黄金の木が現れた中庭もあります。ギフトも見つけられるディオールのポップアップショップで新しい年を体感してください。
シン日本酒! 一期一会
寒くなり、日本酒も新酒の季節になりました。近頃、日本酒の銘柄にあまりこだわらなくなり、出されるものを黙って美味しくいただく主義になった私ですが、先日、行きつけの月島の立ち飲み日本酒料理屋「さか月」で出会ったのは、新政酒造の「涅槃龜」。
その時ご一緒した方が、前日秋田にある新政酒造さんで飲んだという入手困難な幻のお酒が、行きつけの「さか月」に偶然、入荷していたのです。旬のお料理と美味しくいただきましたが、驚いたのが、私の大好きなNo.6というお酒と同じ酒造メーカーだったこと。
名前に疎い私ですが、好きな味の日本酒は同じところで作っているのだなとびっくりしました。素敵なシン日本酒、一期一会でした。
自分にギフト お茶目なセーターヘビロテします
「自分の機嫌は自分でとる」宣言をしている私ですが、イルミネーションを見ているうちに自分にもギフトを送りたくなりました。
で、運良く手に入れたのが、アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)とUNIQLOのコラボのセーター。イギリスというかグレートブリテンのトラディショナルなセーターの袖口に、アニヤのアイコンキャラの目玉ちゃんがあしらわれたセーターです。
かなりハッピーになれるこのセーター。大人のユーモアというかお茶目な感じが大好きで、この冬ヘビロテ間違いなしですね。
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連載【日日是混乱2 ハッピーレイヤード大作戦!】
毎月1回月曜日更新
地曳いく子(じびき・いくこ)
1959年生まれ。スタイリスト。「non-no」をはじめ、「MORE」「SPUR」「Marisol」「eclat」「Oggi」「FRaU」「クロワッサン」などのファッション誌で30年以上のキャリアを誇る。スタイリングのみならず、洋服のプロデュースからTV、ラジオと幅広く活躍中。著書に『50歳、おしゃれ元年。』『服を買うなら、捨てなさい』『日々是混乱 これが私のニューノーマル』『ババア最高!+60からのHappyおしゃれ』(槇村さとるさんとの共著)『ババア上等! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室』『60歳は人生の衣替え』など多数。新刊は『50代からの大人ひとり旅』。
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