第20回 新しい年、新しい場所、新しい事 地曳いく子「日日是混乱2 ハッピーレイヤード大作戦!」
混乱の日々の中でも、小さなハッピーをミルフィーユのように積み重ねていきたい。BBAの自由なファッション&日常を数センチ豊かにするヒントを、スタイリスト・地曳いく子が綴ります。
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photo:地曳いく子/design:アルビレオ
本当によくわからない気候だった2023年も終わろうとしています。例年とは違う気温差で、あまりきれいに紅葉することがなかった桜の木もすっかり落葉して冬仕様に。でも、その枝をよく見ると、枝には来春花を咲かせるための蕾の新芽が。
今年の葉を落としてこそ新しい花を咲かせる準備ができる。なんだか色々と考えてしまいました。
冬至を過ぎれば、陽は日に日に長くなっていきます。まさに、「冬来たりなば春遠からじ」ですね
新しい年を迎えるにあたって、どこか新しい場所に行き、何か新しいことを始めてみませんか? 還暦を過ぎて毎日が慣れ親しんだルーティンワーク化、行くところも見るものも同じ、まあそれはそれで良いのかもしれませんし、温故知新も良いのですが、私たちが好むと好まざるとに関係なく、世の中は動き移り変わっています。
2023年11月にオープンした麻布台ヒルズに行ってきました。
思っていたよりかなり巨大、まさに街です! 最寄りの神谷町駅の目の前に聳え立つビルの数々、「なんだ、すぐ目の前じゃない?」と油断してはなりません。ビルのエントランスを入ってから、お目当てのお店に行くまでが遠い。いくつかのビルが通路で繋がれているのですが、麻布台という名前の通り地形が坂になっていて、そこに建物が立っているため、ビルを移るたびに自分が今、何階にいるか分からなくなる感じ。方向感覚に自信があった私ですら、何度もビルのスタッフに尋ねる始末でした。
エントランスを入ってからお目当てのお店に辿り着くまで、15分以上、歩いたりエスカレーターを上がったりしました。訪れる予定のある方は、絶対に歩きやすい靴で行くことをおすすめします! ちなみにこの日のスマホの万歩計は1万歩超え。健康に良いぞ麻布台ヒルズ(笑)。「緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街」がコンセプトなだけはありますね。
その中から、五感を刺激してくれた気になるお店を何軒か紹介しますね。
1 新しい食の形「オーガニックベジタリアンは美味しい」はもはや常識
Alchemy(アルケミー)は、2011年にバリ初のオーガニック・ジュース・バーとして始まり、今では健康に良く、美味しいレストランを展開しています。すべての食材が環境に配慮されたヴィーガン料理で、パスタにかかったチーズに見える食材も豆乳でできていたりします。バリ島のポピュラーな料理ナシゴレンをウィーガンで作っていたり、リッチな味わいのアイスクリーム、チョコレートなどのデザートまで、世界中の美味しい料理をヴィーガン仕様で再現していると思いました。
家で作る料理は野菜が中心ですが、たまに焼肉や鶏肉を食べるインチキベジタリアンの私も満足の美味しさ。新しい時代の味を体験できます。もちろんシグネチャーアイテムのジュースも美味でした。
2 驚くほどおいしいコーヒーに感激
普段は紅茶派の私ですが、コーヒー店アラビカ(%ARABICA)のコーヒーにはびっくりしました、降参です。
カフェラテをいただいたのですが、すごくリッチでまろやか、香り高く、一口飲んだだけで「なんだこれ?!」と驚きました。
香りを楽しむためにも是非、蓋を開けてお召し上がりください。
ヒーター完備のお外のテラスで星空を見上げながらいただくのもおすすめです。お土産にいただいたコーヒー豆は素晴らしくフレッシュで、翌朝、豆を挽き、ドリップして入れてみたら、まるで生きているように豆が膨らみ素晴らしい香りが部屋中に立ち込めました。麻布台ヒルズに2店舗入っています(ガーデンプラザB1階、タワープラザ4階)。
3 大垣書店とファミマ!!、書店とコンビニの新形態
その品揃えにびっくりしたのが大垣書店。本のセレクトが私たち大人向けです。まさに活字を読む世代にジャストフィット。世の中におしゃれ書店は数あれど、そのほとんどは、店内でコーヒー片手に立ち読みするような若いオサレなヤングがターゲット、謎のラインナップです。
その点、大垣書店は違います。わかってらっしゃいます、私たち活字好き世代の好みを。
私の文庫もマニアックなセレクトで感激&感心。宝島社から出ているバッグのムック本もありました。もう担当者にお会いして直接お礼を申し上げたいくらいです。
併設されているのがコーヒーショップではなく、渋いバーというのも気に入りました。トークショーも開催できるみたいです。もし2024年に実現したら皆様いらしてくださいね。
その奥にあるファミマ!!が、未来仕様すぎて泣きます。
普通のファミマ!!の品揃えはもちろん、なんと専用のボトルを1本購入すれば汲み放題の炭酸水!(もちろん水も選べます)
「何? これは夢なの?」炭酸水好きの私は、これまで飲むたびにゴミになるペットボトルにちょっと罪の意識を感じていましたが、これで買い悩む必要がありません。
しかも普通の炭酸水のほか強炭酸水も選べて、同行したナウなヤングの担当者はその美味しさにびっくり。フレッシュな炭酸水って美味しいんですね。帰宅してからその炭酸水で作ったジン&ソーダは最高でした。
他にナッツやグラノラなどは欲しいだけ買える計り売りのコーナーもあって、もう本当に全国のファミマ!!もファミリーマートもこうなれば相当嬉しい! これからのコンビニの形態だと思いました。
4 ギャラリーもあります。
神谷町駅から直結した入り口すぐそばにある、「麻布台ヒルズギャラリー」では、2024年3月31日まで「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」が開催されています。
私たちを取り巻く環境、たとえば机に置いた紙に鉛筆で何か書くと、机の下から地面、地球までつながる(?)的なことを考えさせ、感じさせてくれる展示です。普段何気なく過ごしている日常や環境が、実は宇宙にまで関わりがあることを気づかせてくれるのは、現代アートの醍醐味といえるでしょう。特に、暗闇で光に照らされ舞い踊る水滴のラインのインスタレーションは、もう何時間でも見ていたかったくらい素晴らしいものでした。
2024年2月には、森ビルとチームラボによる「地図のないミュージアム」(森ビル デジタルアート ミュージアム : エプソン チームラボボーダレス)もお台場から移転して、オープンを予定しているらしいです。こちらも楽しみですね。
新しいファンデーションで「新しい顔」
ヒルズネタのほかにはコスメネタも!
あの懐かしいinoui(インウイ)が帰ってきました。
私が30代のバリバリ働いていた頃、ちょっとハイセンスな大人のブランドとして愛用していたのが資生堂のインウイ。シックな赤いパッケージのスティックファンデーションや、アイシャドウを愛用していました。使うだけで「立派な大人気分」になれる、そんな素敵なコスメでした。
そんなインウイが懐かしいパッケージの雰囲気はそのままに、中身は2023年仕様でリバイバル! 大人用コスメとしてカムバックしました。早速銀座にあるThe Ginzaに直行。
まず試してみたのが、クリームファンデーションです。洗練されたテクスチャーで、使っているだけで上質な気持ちになります。艶感もちょうど良い。顔の大きい面積を覆うファンデーション選び、実はかなり重要です。ご愛用のものとはいえ、ずっと同じものを使い続けるとそれに慣れてしまい、いつの間にか今の時代の顔から外れていくことがあると思います。新しいファンデーションはちゃんと新しい顔、新しい質感にしてくれます。
思い切って、新しいファンデーション、新しい顔で新年を迎えてみませんか?
以上、2024年新しい年を迎えるにあたって、試してみたい、新しい事をいくつかご紹介してみました。
思い切って新しい場所に出かけてみる、今の時代の空気を感じてみる。気候もそうですが、街も物事もいつも変化しています。まさに諸行無常です。
すべての事柄は常ではないのです。私たちが子供の頃に読んだSF小説や漫画の世界が現実になりつつあります。くれぐれも、地上に戻ってきて玉手箱を開けてしまった浦島太郎にならないように。玉手箱を開けないコツは、「今」の現状を把握するということです。
いくらガラケーが好きでも、ガラケーの通信サービス3Gが終了してしまえば嫌でもスマホに変えざるをえませんよね。2023年の気候もそうですが、「異常」と思えることもそれが続けば「通常」になります。今までの常識や経験は参考程度にして生きましょう。新しい時代はもう始まっているのですから。
皆さま、良いお年をお迎えください。
2024年も素晴らしい年になりますように。LOVE
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連載【日日是混乱2 ハッピーレイヤード大作戦!】
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地曳いく子(じびき・いくこ)
1959年生まれ。スタイリスト。「non-no」をはじめ、「MORE」「SPUR」「Marisol」「eclat」「Oggi」「FRaU」「クロワッサン」などのファッション誌で30年以上のキャリアを誇る。スタイリングのみならず、洋服のプロデュースからTV、ラジオと幅広く活躍中。著書に『50歳、おしゃれ元年。』『服を買うなら、捨てなさい』『日々是混乱 これが私のニューノーマル』『ババア最高!+60からのHappyおしゃれ』(槇村さとるさんとの共著)『ババア上等! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室』『60歳は人生の衣替え』など多数。新刊は『50代からの大人ひとり旅』。
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