医療と宗教の両泰斗が提唱する最新の社会モデル! 長谷川敏彦/鎌田東二『超少子・超高齢社会の日本が未来を開く 医療と宗教のパラダイムシフト』12月13日(金)発売
この本について
日本の総人口は数十年後に1億人を割り、50歳未満が40%にまで減少し、多死時代を迎えると言われています。本書は、公衆衛生や医療人類学などが専門の長谷川敏彦さんと、宗教学や哲学が専門の鎌田東二さんが、そうした未来に向けて新しい社会モデルを展望する一冊です。
二人の邂逅は1970年の大阪で、鎌田さんが脚本を手がけたロック・ミュージカル「ロックンロール神話考」がきっかけでした。当時、長谷川さんは大阪大学医学部の学生、鎌田さんは演劇青年として活動されていました。ほどなく二人は意気投合し、以来、互いに異なるフィールドから、未来を見据えた活動を続け、そしていま、近代医学の限界を認識し、医療と宗教の新しい関係性を模索するために徹底的に語り合いました。
本書の刊行の背景には、現代日本が直面する超少子・超高齢社会という課題があります。また、繰り返し発生する大規模自然災害時の心のケアの問題も無視できません。長谷川さんと鎌田さんは、それぞれの専門分野からこの問題に取り組み、未来を切り開くためのビジョンを示しています。具体的な提言としては、AIを活用したADL(日常生活動作性能)向上の取り組み、地域風土記の作成や地域コーディネーターの配置などが挙げられます。これにより、医療システムの改革や福祉の新しいあり方、地域社会の再生をさぐり、持続可能な発展を目指すとしています。
目次
まえがき 「異聞ミロク伝」鎌田東二
第一部
出会いは心斎橋のロック・ミュージカル/アメリカでの留学生活/ハーバード大学で当代一流の学者の授業に潜入する/ニューエイジ・サイエンスとヒッピー・ムーブメント/公衆衛生学と医療人類学/医療行政官になる/医療システムの実態
第二部
デビュー作『水神傳說』を神社に奉納/祖母からの教え/オオクニヌシ・ファミリーの系譜/「オニ」のオントロジー
第三部
医療システム改革と医療政策研究/阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件/東日本大震災とスピリチュアルケア/地域医療の革新/人口遷移とケアサイクル/多死時代における医療のあり方/能登半島地震からの警鐘/医療と宗教のパラダイムシフト
付:鎌田東二作 歌謡詩劇「ロックンロール神話考Ⅱ 2024 末法篇」
あとがき 長谷川敏彦
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著者プロフィール
長谷川敏彦(はせがわ・としひこ)
大阪大学医学部医学進学課程卒業、米国で外科専門医の研修を受ける。ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程卒業。アメリカのニューエイジ・サイエンスを日本に紹介する。1986年に旧厚生省に入省し「がん政策」「寝たきり老人ゼロ作戦」を立案。国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長、国立保健医療科学院政策科学部長として「健康日本21」「医療計画」「医療安全」等に関与。日本医科大学医療管理学主任教授を経て、2014年に未来医療研究機構を設立。その後、過去40年間の日本の医療制度改革の歴史分析を英語で出版、日本医師会公衆衛生委員会にて健康の新定義(2018年)、健康格差の答申(2020年)に参与。
鎌田東二(かまた・とうじ)
1951年、徳島県生まれ。専門は宗教学・哲学。上智大学大学院実践宗教学研究科・グリーフケア研究所特任教授等を経て、京都大学名誉教授。天理大学客員教授。京都伝統文化の森推進協議会会長。主著に『神界のフィールドワーク』『翁童論』『南方熊楠と宮沢賢治』『悲嘆とケアの神話論』ほか。神道ソングライターとして、『この星の光に魅かれて』(2001)、『なんまいだー節』(2003)、『絶体絶命』(2022)等をリリース。石笛・横笛・横笛・法螺貝などの演奏についてはCDブック『元始音霊 縄文の響き』(2001)などがある。