見出し画像

第7回 BBAを救うテクノロジー 地曳いく子「日日是混乱2 ハッピーレイヤード大作戦!」

混乱の日々の中でも、小さなハッピーをミルフィーユのように積み重ねていきたい。BBAの自由なファッション&日常を数センチ豊かにするヒントを、スタイリスト・地曳いく子が綴ります。
[毎月1回月曜日更新 はじめから読む

photo:地曳いく子/design:アルビレオ


ありがとうAirTag! BBAにAirTagは必需品の巻

つい先日、ショルダーバッグを電車に置き忘れました。大好きなバンド「女王蜂」のライブ後、ライブ仲間とはしゃいで少し飲みすぎたためです。幸い、家の鍵やiPhone、クレジットカードや現金などは、以前(第5回)ご紹介したアニヤ・ハインドマーチのクロスボディポーチに入れていたので無事に家に入れましたが(飲んでいる時もずっとポーチを斜めがけしていてよかったです)。

貴重品は入っていなかったとはいえ、ノイズキャンセリングイヤホンや、買ったばかりのスマホバッテリーチャージャーが入っていたお気に入りの+J(プラスジェイ)のショルダーバッグだっただけにやはりショック。

翌日、都営地下鉄の忘れ物保管係や、飲みすぎた王将、立ち寄ったコンビニなどすべて連絡しましたが出てきません。いつもポシェットに入れているAirTag (エアタグ)をバッグにも入れておけばよかった……。

AirTagとはApple社が出している五百円玉くらいの大きさの追跡Tagで、iPhoneやMacコンピューターなどと連動させることで、場所を追跡できる優れもの。離れた場所でも、他の人のiPhone のBluetoothと連携してかなり正確な場所を伝えてくれます。近くなら、小さいですが音を鳴らして場所を確定させることも可能。

後悔しつつポシェットの中身を整理してみるとAirTagがない! もしかしてバッグの中に落ちているかもと、「探す」のアプリで探してみたら、なんと京王線沿線のかなり離れた場所に私のバッグがあることが判明しました。地図上では民家みたいだし、「どうしよう」と思いつつ女王蜂ライブ仲間(以下、蜂仲間)のLINEに報告すると、皆さん心配してくれました。

数日後、仕事で集英社に。久々に行った集英社で、セキュリティ用の入館証をなくしたバッグに入れていたことを思い出し、暗い気持ちで裏受付の係の人に申請すると、「地曳さん、顔認証で入れますよ」と。えっ? いつから顔認証? 入館証の写真を撮ったのってもう30年くらい前だし無理じゃない? と試してみたらなんとクリア! すごいぞテクノロジー。

AIが30年前の私の顔を認証するなんて、とビックリしながら打ち合わせを済ませ、「地曳さん、もう歳なんだから飲み過ぎ注意ですよ」と勧告を受けながらもう一度AirTag「探す」アプリを開いてみたらなんと! 私のバッグは集英社近くの小石川運動場にあることが判明。私のバッグ使われているの? と心配しながら蜂仲間のLINEに報告すると、「そこって飯田橋の警視庁遺失物センターではないですか? 私、以前行ったことがあります」。すぐにレスがありました。

幸い打ち合わせが早く終わり、遺失物センターの営業時間内だったので、集英社からタクって(千円かかりませんでした)すぐに向かいました。申し込み用紙にバッグの特徴などを記入して係の方に「昨日まで別の場所にあったみたいですが、今日、AirTagがここだと教えてくれました」と伝えると、「ああ、AirTagが入っているんですね、今日こちらにきたばかりなら、まだ登録されていませんが、iPhoneを貸してください、鳴らして探します」と。iPhoneを渡して20分くらい待つと名前を呼ばれ、私のバッグが無事に戻ってきました。

ありがとう、日本の警察。ありがとうAirTag。

結局、私が都営新宿線に置き忘れたバッグはそのまま京王線の果てまで行き、京王線の係の方に拾われて明大前の京王線・井の頭線お忘れ物取扱所に保管、届け出がないので警視庁遺失物センターに回ってきたとのことでした。まるでバッグが私のそばまで来てくれたようで、不思議な気持ちになりました。

それから、さらにAirTagを買い足し、すべての持ち物に入れました。

お悩み相談室(「地曳いく子のババア上等!悩み相談」)にいただくお悩みで、お年を召したご両親の行動を心配される方、是非、クリスマスプレゼントにAirTagをオススメします。HERMESのAirTagホルダーもありますよ!

五百円玉くらいのAirTag、4000円程度。購入して自分のiPhoneの近くでバッテリー保護フィルムを抜くとすぐに同期できます。1年ほどで寿命がきてしまう電池も、アプリにローバッテリーのお知らせが来て、簡単に替えられます。

この秋冬はハイカットスニーカーで乗り切ります

最近、手に入れた2足のスニーカーはY-3(ワイスリー)とUGG(アグ)。共に厚底でクッション性が高く、疲れにくい。すべり腰で万年腰痛の私には嬉しい仕様です。しかも、足元に適度なボリュームが出てなんだかナウい感じ(笑)。

Y-3はもうナウさの塊のようなブランドで、シルエットも、履くと横にボリュームが出るかなりトレンドな形。

Y-3のスニーカー。

モコモコブーツで有名なUGGが出したスニーカーは、お仕事でUGGのプレスに行った時に一目惚れ、ヌーディーなベージュで春先まで活躍しそうです。細身パンツやロングのワンピースなど、何にでも合わせて毎日交代でヘビロテしています。

UGGのスニーカー。

はっきり言ってお値段は可愛くない(笑)。下手するとレザーブーツくらいはしちゃいますが、腰がもう少し良くなるまではスニーカーの日々。ひと昔と違って、腰痛でも歩いたり動いたりしたほうが足の筋肉が落ちづらいらしく、担当医にも「荷物を持たずに歩いたり、水中で軽い運動をして、脚力のほかに背筋や腹筋を鍛えて、自前の“筋肉ガードル”でずれた脊髄を治していきましょう」と言われたばかりですし、この2足で歩きまくります。

そろそろ、アクセサリー復活?

表参道にオープンしたMARIA BLACK。

以前からセレクトショップなどで気になっていたジュエリーブランド、MARIA BLACK(マリアブラック)の旗艦店が表参道の裏手にオープンしました。

オープニングパーティにお邪魔したら、欲しいアクセサリーばかりで大興奮。モダンでいてオーガニック、私たち大人がつけるのにちょうど良いデザインとお値段。コロナのマスク生活でこの3年間、あまりアクセサリーをつけず興味も湧かなかった私でしたが、久々に「欲しい!」と思うアクセサリーに出会いました。

オープニングに合わせて来日していたデザイナーのMARIAさんとも少しお話しできましたが、素敵で気さくな方で、「お写真お願いできますか?」とお願いしたら、すかさず親指と人差し指でハートマークを作っていました。そんな彼女のお人柄が、シンプルだけどキュートなデザインのジュエリーを作るんだなと思った夜でした。

デザイナーのMARIAさん。

やっぱり歌舞伎最高!

團十郎だんじゅうろうさん、新之助さん、襲名おめでとうございます。

実は私は、平成の「三之助」と言われた新之助の名前だった頃からの團十郎さん(海老蔵さん)ファン。11月の襲名公演も昼夜合わせて3回行きました。

歌舞伎十八番おはこの一つ「助六(助六由縁江戸桜すけろくゆかりのえどざくら)」もさることながら、「勧進帳かんじんちょう」も先代の團十郎さんの台詞せりふ回しに寄せてさらにバージョンアップ。なかなかに感慨深い公演でした。

また、後半夜、(坂東)玉三郎さんが、なんと白玉役で出た回も見ることができて、(片岡)仁左衛門さんのうますぎる脇役に感涙。

玉三郎さんの白玉を初めて見たのはもう何十年も前の昭和50(1975)年7月、歌舞伎座で見たのが最初です。その時の助六は猿之助、今の猿翁さん。その後、孝夫さん、今の仁左衛門さんにもハマり、昭和58(1983)年3月には、孝夫助六、揚巻玉三郎さんも見ました。それ以来、玉孝(玉三郎さんと孝夫さん)追っかけになりました。

今回、玉三郎さんがそのときの白玉の初々しい感じを見事に再現されていて、なんだか涙が出ました。

蝶々の柄の帯は、40年前と同じ帯のような気がしました。もちろん今回の助六の團十郎さん、揚巻の(尾上)菊之助さんも完璧な演技、完璧な美しさでしたが、幼い頃より歌舞伎を、半世紀見ていると色々と感じます。

新之助を襲名した勸玄かんげんさんの「外郎売ういろううり」も、歌舞伎の新しい未来を見たようでした。化粧したお顔は新之助というより小さい海老蔵! もうこれから「小海老」と呼んで応援したいです。新之助、来月の「毛抜けぬき」も楽しみ。それでなくても大きい毛抜きと磁石! ワクワクです。歌舞伎って本当に楽しいですね。


現代美術家・村上隆さんの祝幕(いわいまく)。歌舞伎十八番の海老蔵の特徴的な表情を見事に描き切り、彼は本当に歌舞伎と團十郎さんが好きなんだろうなと思いました。

<前の話へ  連載TOPへ  次の話へ>

連載【日日是混乱2 ハッピーレイヤード大作戦!】
毎月1回月曜日更新

地曳いく子(じびき・いくこ)
1959年生まれ。スタイリスト。「non-no」をはじめ、「MORE」「SPUR」「Marisol」「eclat」「Oggi」「FRaU」「クロワッサン」などのファッション誌で30年以上のキャリアを誇る。スタイリングのみならず、洋服のプロデュースからTV、ラジオと幅広く活躍中。著書に『50歳、おしゃれ元年。』『服を買うなら、捨てなさい』『日々是混乱 これが私のニューノーマル』『ババアに足りないのは愛!+60からのHappyおしゃれBOOK』(槇村さとるさんとの共著)『ババア上等! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室』など多数。
Twitter:@FukuBot
Instagram:@ikukoluv

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

更新のお知らせや最新情報はTwitterで発信しています。ぜひフォローしてください!