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Cat Books/猫本

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猫の本、猫が出てくる作品、猫にまつわる話、をまとめています。
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#試し読み

本と猫を愛する会社員のリアルな書店開業記|井上理津子/協力 安村正也 『夢の猫本屋ができるまで Cat’s Meow Books』(1)

ホーム社の既刊から、いま読んでいただきたい本をセレクトして紹介する「ホーム社の本棚から」。7月からは井上理津子/協力 安村正也『夢の猫本屋ができるまで Cat’s Meow Books』(2018年)を全5回でお送りします。 この夏開店4周年を迎える、三軒茶屋の「Cat’s Meow Books」は、会社員でもある安村正也さんが開いた猫本専門書店。本好きといっても関連業界の経験はなかった安村さんが、50歳を前になぜ書店を始めることになったのか。本書は、書店に精通しているノ

美しきヒョウの母子|写真集『サバンナのネコ』ミニギャラリー5

本書のくわしい内容はこちら ☆好評発売中 第1回 / 第2回 / 第3回 / 第4回 / 第5回 / 第6回 次回の更新は4月9日(金)です。 【写真集『サバンナのネコ』ミニギャラリー(全6回)】

イエネコの起源、アフリカンワイルドキャット| 写真集『サバンナのネコ』ミニギャラリー4

本書のくわしい内容はこちら ☆3月26日(金)発売! 第1回 / 第2回 / 第3回 / 第4回 / 第5回 / 第6回 次回の更新は4月2日(金)です。 【写真集『サバンナのネコ』ミニギャラリー(全6回)】

すくすく育つ子ライオン|写真集『サバンナのネコ』ミニギャラリー3

本書のくわしい内容はこちら ☆3月26日(金)発売! 予約受付中 第1回 / 第2回 / 第3回 / 第4回 / 第5回 / 第6回 次回の更新は3月26日(金)です。 【写真集『サバンナのネコ』ミニギャラリー(全6回)】

くつろぐチーターの母子|写真集『サバンナのネコ』ミニギャラリー2

写真集『サバンナのネコ』(井上冬彦著)から、より抜きショットを全6回でお届けします。 東アフリカのサバンナに暮らすネコの仲間たちに魅せられ、32年間64回の撮影に通ったからこそ捉えられた、稀少な瞬間、愛らしい表情の数々。 第2回目は幼い子チーターとそのお母さんの、幸せいっぱいのひとときをご覧ください。 本書のくわしい内容はこちら ☆3月26日(金)発売! 予約受付中 第1回 / 第2回 / 第3回 / 第4回 / 第5回 / 第6回 次回の更新は3月19日(金)です。

サーバルとの奇跡的な出会い|写真集『サバンナのネコ』ミニギャラリー1

3月26日(金)に発売の写真集『サバンナのネコ』(井上冬彦著)から、より抜きショットを全6回でお届けします。 東アフリカのサバンナに暮らすネコの仲間たちに魅せられ、32年間64回の撮影に通ったからこそ捉えられた、稀少な瞬間、愛らしい表情の数々。最初に登場するのは、本書のカバーも飾っているサーバルです。 本書のくわしい内容はこちら ☆3月26日(金)発売! 予約受付中 第1回 / 第2回 / 第3回 / 第4回 / 第5回 / 第6回 次回の更新は3月12日(金)です。

北澤平祐 ぼくとねこのすれ違い交換日記 第3話「ねこを袋から出せ/Let the cat out of the bag」

本連載が書籍化します。 北澤平祐『ぼくとねこのすれちがい日記』2021年6月25日発売 【ぼく】6月17日  当初は温かく見守ってくれていた義母だったが、こかりのぐうたらぶりや、ぼくのイラストレーター業の閑古鳥の鳴きっぷりを目の当たりにして、最近その眼差し温度がすごい勢いで下がってきた。いずれ絶対零度の視線で氷漬けにされてしまう前に、ぼくらは重い腰を上げて8畳間の我が城に帰ることにした。  ホワンにとっては初のお引越しだ。ペット用キャリーバッグなんて買えないので、紙袋にタ

村山由佳 もみじの言いぶん 第5話「わからせる」

 腹立った時はな。無理に我慢したらあかん。  遠慮して、言いたいこと飲みこんで、おなかに溜めといたところで、あとから大爆発すんねやったらおんなじこっちゃろ? それやったら、ふだんから小爆発でガス抜きしといたほうがなんぼかマシや。  大事なことはな、「今うちは怒ってんねんで!」いう事実と、「こっから先は絶対譲ったげへんで!」いう境界線を、いやっちゅうほど相手に思い知らせたるこっちゃ。  言うてもわからんようなら、わかるまで断固として口きいたれへん。背中向けて、呼ばれても無視し続

村山由佳 もみじの言いぶん 第3話「花は咲く」

 若い時分はうち、ほんまによう遠出しとった。  放浪癖っちゅうのかいな。家から一歩出たとたんに、散歩やら旅やら区別つかんようになりさらして、時間も日にちも忘れてほっつき歩いてまうねん。  今考えたら、かーちゃんめっちゃ心配しとったやろなと思うけど、反対にうちのほうが待たされることかてぎょうさんあったから、おあいこやん、なあ?  年とってからはもう、外へは全然出ぇへんようになってしもたし、たまに抱っこしてもろて外の世界を眺めるのんは、なかなか愉(たの)しかったで。  今年もそろ

村山由佳 もみじの言いぶん 第2話「ずっと一緒」

 うちのかーちゃんな。言うたら何やけど、アカンタレやねん。うちがそばにおらんようなってすぐの頃なんか、べそべそ、じめじめ、ほんま鬱陶(うっとう)しかってん。  皆さん、知っとる? あのボトル型のネックレス。中に、〈これってもしかして天使の骨やないん?〉いうくらい神々(こうごう)しいうちの骨を納めたあのネックレス。  ガラスやし、あの女のこっちゃからカクジツに落として割るやろ? ふだん家におる間は、危なかしゅうて身に着けられへん。  せやけど、な、これやったら心配要らんのんちゃ

村山由佳 もみじの言いぶん 第1話「安眠妨害」

 どちらさんも、ご機嫌さん。もみじですー。しばらく留守しとってかんにんやで。  ここな、最近のうちの居場所。  かーちゃんととーちゃんが毎日、前を通るたんびに、 「もみちゃん、おはよ」 「今日も可愛(かい)らしねえ」 「行ってくるわな。すぐ帰るから待っときや」 「おやすみ、もみじ。夢に出てきてな」  て、しょっちゅう話しかけてくるから、ぜんぜん淋しないねん。ちゅうか、むしろ安眠妨害やっちゅうねん。正味の話。  あとな、二人とも気づいてないみたいやけど……  ベッドの上、こっか

村山由佳 猫がいなけりゃ息もできない 第10話「今この瞬間こそが、人生でいちばん若い」

 ともあれ、猫の話だ。  作家生活10年目にかなりの無理をして手に入れ、自力で開拓して緑の楽園にした広大な農地と、全身全霊を傾けて造りあげた家、そして農場に不可欠の動物たちを、旦那さん1号のもとに残して房総鴨川を後にする時──私は、前にも書いたとおり、小柄な三毛猫を1匹連れていた。  それが、今も我が家にいる最長老17歳の〈もみじ〉さんである。  なんとなく敬称付きで呼んでしまうことが多いのは、人間に換算したら85歳くらいの大先輩だからなのだが、連れて出た当時はまさか、ここ

村山由佳 猫がいなけりゃ息もできない 第9話「催眠誘導」

 子どもの頃から私は、自分の態度や言葉によって誰かの気分を害してしまうことがこの世の何より苦手だった。原因がたとえ自分でなくても、相手が怒っているという状況、それだけでいたたまれなかった。  だから、目の前に不機嫌な人がいると、悪いことなんか何もしていなくても謝ってしまう。何とかして機嫌を直して欲しいと思うあまり、慌てて先回りしては下手に出てしまうのだ。  夫婦の間でもそうだった。  別々の人間がひとつ屋根の下で暮らしていれば、こまごまとした対立が起こらないほうがおかしいのに

村山由佳 猫がいなけりゃ息もできない 第8話「たとえば一緒に暮らすひとが、筋金入りのミミズ好きだったら」

 誰にだって苦手なものはある。私にだってある。  ミミズだ。蛇だったら素手でつかめるし、ゴキブリだろうがクモだろうがへっちゃらだけれど、ミミズだけは5センチを超えるともう駄目である。こうして文字にするだけでも鳥肌が立つし、庭いじりをしていていきなり遭遇すると、ぐえっと変な声をあげると同時に数メートルは飛びすさってしまうくらい無理である。  たとえばの話、一緒に暮らすひとが筋金入りのミミズ好きだったとして(いやだあー)、ミミズの魅力や手触りの素敵さをどんなに滔々と語られたとして