第15回 猛暑を乗り切るサバイバルアイディア 地曳いく子「日日是混乱2 ハッピーレイヤード大作戦!」
混乱の日々の中でも、小さなハッピーをミルフィーユのように積み重ねていきたい。BBAの自由なファッション&日常を数センチ豊かにするヒントを、スタイリスト・地曳いく子が綴ります。
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photo:地曳いく子/design:アルビレオ
もう毎日毎日本当に暑いです。地球に文句を言っても仕方がないのですが、私たちが若かった頃の暑さとは桁違いに暑いです。この原稿を書いている今、東京は36度! なにこれ、ほとんど体温ですよね。30度くらいで大騒ぎしていたあの頃が懐かしいです。
そこで今回は、そんな猛暑を少しでも快適にサバイバルする方法をいくつか考えてみました。
1000円~2000円で楽しむトロピカルフラワー
以前は、友人が住んでいることもあり、年2回は行っていたハワイ。コロナで海外に行く気持ちが途絶え、次にハワイに行けるのはいったいいつ? と、南国に想いを寄せていた時、銀座のユニクロ(ユニクロTOKYO、かつてプランタン銀座があった場所)1階のユニクロフラワー、ここで見つけたのが1束390円の立派な赤いヘリコニアです。しかもユニクロフラワーは3束買うと990円なので、これを2束とグリーンを1束買っても1000円以下でした。
ハワイに遊びに行っていた頃、着いた日にマーケットでトロピカルフラワーを買って部屋に飾っていたのを思い出しました。
早速買って帰り、窓辺に飾り、アイスティーをパイナップルジュースで割って作ったトロピカルアイスティーを飲み、ハワイ気分を満喫しました。
インスタグラムの友人たちとハマっている、以前この連載でもご紹介したことのあるFLOWER(ロスレスブーケ)でも「おまかせトロピカルフラワーブーケ2000円」を発見し、早速注文しました。比較的暑さに強いトロピカルフラワーなので、クール便ではなく、普通に宅配便で送られてくるため、送料込みの2000円(税別)! しかも、いつもはクール便のため、対面で受け取らなければならない花の宅配便ですが、宅配ボックスに届けられていました。お任せなので、私が普段は買わないようなピンク系のブーケでしたが、リビングに飾ったら涼しげで良い感じになりそうです。
円安で気軽にハワイに行けなくなっても、トロピカルフラワーが昔の4分の1くらいの値段で家に飾れるのなら、「まっ、いっか」という感じです。
強い日差しに負けない肌作り
暑すぎるだけではなく、強すぎる日差し。流石の私も近所のジムに行くために日焼け止めを塗り、つばが広い麦わら帽子を引っ張り出しました。
それでもシミが気になる! そんな時に友人に薦められたのが、SINN PURETÉ(シン ピュルテ)のディープダイビングVCセラムです。
SINN PURETÉは、ヒトデ由来の成分を配合したオーガニックでユニークなコスメです。以前から愛用していたのですが、今回試したディープダイビングVCセラムはその名の通り、ビタミンCが肌の深くまで入り込む感じ。レシチン系とは違い、朝晩使えることも気に入りました。
以前から使っていたローションの後にVCセラムを使い、その後にAGコンセントレイトセラムで蓋をするように保湿すると、しっとりしてかなり良い感じです。珊瑚を食べる海の厄介者ヒトデ、それを最新テクノロジーで基礎化粧品にしちゃうってなんだかすごい。
手作り簡単ローズマリースプレーで家中リフレッシュ
数あるハーブの中でも一番好きなのが、ローズマリー。ローズマリーのスプレーを作って家中かけまくっています!(笑) その爽やかな香りは暑い今の季節にもぴったりです。
作り方はすごく簡単。IKEAで購入した100円くらいのスプレーボトルに水道水を入れ(ここがポイント、濾過した水だと塩素が抜けるので腐りやすくなります)、そこに無印良品で買ったローズマリーのエッセンシャルオイルを3〜4滴垂らしてスプレーの蓋を締め、数回振るだけ。市販のものを買うより何十倍もお得にできてしまいます。
朝起きて窓を開けたらすぐに、ベッドの上のみならず部屋中にスプレー、カーテンにもスプレー、仕事で気分を変えたい時もスプレー、服のシワにもスプレー。
そんな感じで使いまくっています。皆様もお好きな香りのハーブエッセンスでスプレーを作ってみてはいかがですか? くれぐれもエッセンシャルオイルは控えめに、数滴止まりで。オイルが濃くなると、布などシミになることがありますから。
27年ぶりのデイヴィッド・ホックニー展へ 暑い夏こそ涼しい美術館へエスケープ
現代美術というと、「私、わからないから」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。私は、ただ絵を見て感じれば良いと思います。「この色が好き」とか「綺麗」とか「なんだか気持ち悪い」とか。私たちは美術評論家ではありません。暑さしのぎに立ち寄った美術館で、見て大好きになるアーティストができても素敵ですよね。
東京都現代美術館(江東区)で2023年7月15日から11月5日まで開催中の〈デイヴィッド・ホックニー展〉のプレス内覧会に行ってきました。今回は新作がメインでしたが、90メートルを超えるiPadで描かれたという大作は圧巻で、暑い東京の夏を忘れさせてくれる素晴らしい展覧会でした。
ホックニーといえば、私たち世代には綺麗な青色のプールや、友人を描いた肖像画の作品が思い浮かびますが、彼がLA時代に作成したプールシリーズは、ほんの数年間だけだったそうです。プレス発表会で説明してくれた若い美術館員は、その時代をリアルには知らないとのこと(笑)、月日が経つのは恐ろしいです。また、彼女は現代美術の魅力として、今私たちが生きている現代の風景を、アーティストがそれぞれのキャンバスに表すことと言っていました。印象派の絵に描かれているのは、もはや過去の風景ですよね。まさに今の時代の風景を現代のアーティストと共有できる幸せを感じました。
今回、日本初公開となるホックニーがiPadを使って描いた大作もそうです。マティスの切り絵の作品にも似た印象の、シンプルですが力強い巨大な作品群は、iPadが初めて発売された日(2010年)に手に入れてからiPadを使って制作されました。「春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年」は、大型の油彩画1点とiPad作品群からなるシリーズです。
また、同じ題材を使って2020年にiPadで作成された「春の到来 ノルマンディー 2020年」は、コロナ禍の終焉を願い、きたるべく春と、新しい時代を予感させる希望に満ちた作品です。ホックニーは同じ題材を手法を替えて何度も作品にしています。
ピカソもそうですが、マティスやホックニーなど、今までの画風を捨てて、新しい手法に挑戦し、全く新しい作品を生み出す作家に私は感銘を受けます。
皆様も暑すぎる夏はぜひ美術館へ。東京都現代美術館のそばには美味しいインド料理、タイ料理、ベトナム料理のお店もあります。美術館内の地下に併設されたレストランも美味しいですし、2階にあるカフェでは美味しいスイーツも楽しめます。美術館のミュージアムショップも楽しいですよ。
掲載した作品の写真はプレス向けに許可されて撮影したものです。無断転用はご遠慮くださいね。
「デイヴィット・ホックニー展」展示風景、東京都現代美術館、2023年 ©️David Hockney
連載【日日是混乱2 ハッピーレイヤード大作戦!】
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地曳いく子(じびき・いくこ)
1959年生まれ。スタイリスト。「non-no」をはじめ、「MORE」「SPUR」「Marisol」「eclat」「Oggi」「FRaU」「クロワッサン」などのファッション誌で30年以上のキャリアを誇る。スタイリングのみならず、洋服のプロデュースからTV、ラジオと幅広く活躍中。著書に『50歳、おしゃれ元年。』『服を買うなら、捨てなさい』『日々是混乱 これが私のニューノーマル』『ババアに足りないのは愛!+60からのHappyおしゃれBOOK』(槇村さとるさんとの共著)『ババア上等! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室』など多数。新刊は『60歳は人生の衣替え』。
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