20世紀初頭のパリを豪華絢爛によみがえらせた傑作耽美小説 橋本治『マルメロ草紙』普及版
この本について
2005年の着手から2013年末の刊行まで、小説家・橋本治と画家・岡田嘉夫が、手間を惜しむことなく作り上げた究極の耽美世界。2013年、わずか150部の限定豪華本として刊行された幻の作品を、全テキストと一部挿画を収録し、普及版として刊行します。
時は二十世紀初頭の巴里。ブーローニュの森近くの瀟洒な館で暮らす大実業家エミール・ボナストリューと慎ましやかな夫人のシャルロット。その妹で、貞淑な姉とは対照的な生き方を求め、華やかなパリで女優を目指すナディーヌ。
ある日、館に陽に灼けた美しいショーマレー中尉が招かれた後、エミールとナディーヌに、そしてシャルロットの心にも、波風が立ち始める。
そこへ、パリ社交界の中心に座す、エナメルで固めたような美貌で名高いヴェルチュルーズ侯爵夫人より仮装舞踏会の招待状が届く。
ロダン、ジャン・コクトー、ニジンスキーなども登場して、館の大広間で繰り広げられる仮装舞踏会。扇情的な異国の音楽が奏でられ、エミールとナディーヌに、そしてシャルロットと侯爵夫人、ショーマレー中尉にも官能の波が押し寄せる。
アールデコ様式全盛の時代、煌めきに満ちた女性たちの甘酸っぱく、香気に満ちた物語。
本書目次
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橋本治『マルメロ草紙 -édition courante-』
2021年11月26日(金)発売
体裁:四六判ソフトカバー
頁数:224ページ+口絵三葉入
定価:1,870円(税込)
発行:ホーム社/発売:集英社
ISBN:978-4-8342-5351-1
絵:岡田嘉夫
装幀:中島かほる
著者プロフィール
文/橋本治(はしもと・おさむ)
1948年東京都生まれ。東京大学文学部国文学科卒業。大学在学中よりイラストレーターとして活躍。77年「桃尻娘」が小説現代新人賞佳作入選。以後、小説、評論、戯曲、古典の現代語訳等幅広く活動する。96年『宗教なんかこわくない!』で新潮学芸賞、2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞、05年『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞、08年『双調 平家物語』で毎日出版文化賞、18年『草薙の剣』で野間文芸賞受賞。2019年1月29日逝去。享年70。
絵/岡田嘉夫(おかだ・よしお)
1934年兵庫県生まれ。岩田専太郎に師事。 グラフィックデザイナーとして活躍後、画家としての活動を本格的 に始める。1973年講談社出版文化賞受賞。田辺聖子との共著『絵草紙 源氏物語』や橋本治との共著「歌舞伎 絵巻シリーズ」等古典から現代文学まで数多くの挿絵、装画を手掛けた。2021年1月31日逝去。享年86。
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