第1回 ごあいさつ 賽助「続々 ところにより、ぼっち。」
大人気連載、3期目に突入!
ゲーム実況グループ・三人称の「鉄塔」こと作家の賽助が、ぼっちな日々を綴ります。
※全24回予定。第2回以降、最新話のみ1週間無料配信。
[毎月第4火曜日更新]
illustration 山本さほ
皆さんこんにちは。ゲーム実況グループ「三人称」の鉄塔こと賽助です。
2019年に第1回、2021年には第2回と「HB」にてエッセイを連載させていただき、それらをまとめたエッセイ本である『今日もぼっちです。』と『今日もぼっちです。2』の2冊を出版することができました。
そして本日から第3回となる連載が始まることになります。
今までに50弱ほどのエピソードを書かせてもらったことになるようなのですが、よくもまあ、こんなにも「ぼっち話」があったものだと我ながら驚いていると同時に、そんなにあっていいものなのか、とちょっと心配もしています。
前回の連載終了時から今までの間、色々な出来事がありましたのでご報告させてください。
まず、河出書房新社から『手持ちのカードで、(なんとか)生きてます。』という本が出版されました。河出書房新社には「14歳の世渡り術」というシリーズがありまして、例えば大学教授や精神科医、元宝塚トップスターや人気声優など各界の著名人が、自身の生き方や考え方などを分かりやすく解説していくというものなのですが、こちらの執筆者として僕に白羽の矢が立ったのです。
依頼された当初は「ガラじゃないから断ろうかな……」と思いながらも返事を先延ばしにしていたのですが、それから1年もの間、担当の方がめげずにお声かけくださり、「こんな機会は一生ないかもしれぬ」と考えを改め、お引き受けすることにしました。
普段、小説やエッセイ、コラムなどは一人で書いているのですが、この処世術の本はいわゆる「書き起こし」というもので、僕が話した言葉をインタビュアーの方が文字にしてくれたものになっています。
基本的にはインタビュアーさんからの質問に答える形で進んでいくのですが、一冊の本にするにあたって、「語ったこと」と「語ったこと」の間を埋める必要があったり、あるいはなんとなくのニュアンスで喋った言葉をしっかりと文字にする必要が出てきます。そこもインタビュアーさんが、おそらくは僕を想像しながら文字にしてくださったのですが、当然ながら自分の言葉ではないものが出てくることになり、違和感を覚えることもしばしば。
「中学のころ、僕はスクールカーストの最底辺にいました」
いやそこまで酷く思ってないよ! 下のほうだとは思うけど!
これは完全にインタビュアーさんからの悪口なのではないか……という気持ちをグッと抑えながら訂正してもらいました。
上記は最たる例なのですが、それ以外にも「僕はどこにでもいる普通の中学生でした」という小見出しがあり、確かに分かりやすい表現ではあるのですが、そもそも僕自身「普通の中学生」がどういうものか分からないのでこの表現は避けたい、とか、「これは〇〇です」と断定しているところは、確実に言い切ることを避けるために「だと思います」に変更してもらったりと、かなり細かく訂正したり、また自分で文章を考えて、かなりの箇所を修正させていただいた気がします。
基本的には自分の言葉が文章になっているはずなのに、他者のフィルターを通すとこんなにも違和感があるのだというのは発見でした。
ともあれ、結果としてとてもよい本になったなぁと思っていますので、気になった方はご一読いただければ。
また、『今日もぼっちです。2』の発売にともない、大阪でお渡し会を開催することができました。
お渡し会というのは著者が読者に本を直接「お渡し」するというもので、もともとは『今日もぼっちです。』の時にやりたかったことなのですが、コロナ禍でイベントの開催ができない状態であり、断念せざるを得なかったのです。
約2年越しということになりますが、紀伊國屋書店グランフロント大阪店にて、1000人近い読者の方に実際にお会いして本を手渡すことができたのはとても嬉しかったです。
そしてなんと、そのイベントに、『今日もぼっちです。』シリーズの表紙絵と挿絵を担当してくださっている漫画家の山本さほさんが見学にいらしてくださいました。
どういう理由なのかは不明なのですが、山本さんが見学されることは当日のサプライズとして伏せられており、握手会の会場から待機所に戻った時に急に山本さんがいるというビックリ演出? がありました。
もちろん、山本さんがいらしてくださったことはとても嬉しかったのですが、サプライズにする必要が果たしてあったのかどうかは今でも不明です。
その後、皆で談笑している最中、ホーム社の担当が「ご結婚おめでとうございます!」と山本さんにお祝いの品を渡すくだりがあり、サプライズで伏せられていた自分はお祝いの品を用意していなかったので、その時間はただただモゴモゴするしかありませんでした。
後日、改めてお祝いの品をお送りさせていただきましたが、あれが僕に仕掛けた罠ではないのだとしたら、やっぱりサプライズじゃなくてよかったんじゃないかと思います。
山本さほさんは今回も挿絵を担当していただけるということで、自分のエピソードにどんな絵が描かれることになるのか、今からとても楽しみです。
また、先ほどの『手持ちのカードで、(なんとか)生きてます。』も先に続けとばかりにお渡し会を開催。こちらも多くの読者の方とお会いすることができました。
他には、NHKラジオ第2にて「三人称」の冠ラジオ番組を2回放送、そして、僕個人としては文化放送で週に一度、『ひとりのよる。』というラジオ番組のパーソナリティーの大役を務めさせていただくことになりました。
昔から僕の支えであったラジオ番組を任されることになるとは、人生本当になにがあるか分からないものです。
毎回、収録終わりに自己反省会をしつつも楽しくお喋りをさせていただいていますが、ただ、ラジオ番組の場合、3か月1クールという区切りで動いているので、文化放送の意向によっては、どこかのタイミングで終わりは来てしまうのかもしれない……とクール終わりのタイミングは競競と過ごしています。
ともあれ、これまでは考えもつかなかったような様々なことを経験させていただき、感謝感謝の毎日です。
「ぼっち話」以外にも、このような体験の中で感じたことなどを書き連ねていければと思っておりますので、皆様お付き合いよろしくお願いいたします。
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【続々 ところにより、ぼっち。】
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賽助(さいすけ)
作家。埼玉県さいたま市育ち。大学にて演劇を専攻。ゲーム実況グループ「三人称」のひとり、「鉄塔」名義でも活動中。毎週木曜深夜1:30からラジオ「三人称・鉄塔 ひとりのよる」(文化放送)が放送中。著書に『はるなつふゆと七福神』(第1回本のサナギ賞優秀賞)『君と夏が、鉄塔の上』『今日もぼっちです。』『今日もぼっちです。2』『手持ちのカードで、(なんとか)生きてます。』がある。
X:@Tettou_
「三人称」YouTubeチャンネル
山本さほ(やまもと・さほ)
漫画家。1985年岩手県生まれ。2014年、幼馴染みとの思い出を綴った漫画『岡崎に捧ぐ』(note掲載)が評判となり、会社を退職し漫画家に。同作は『ビッグコミックスペリオール』で連載後、2018年に全5巻で完結。現在『無慈悲な8bit』(週刊ファミ通)『きょうも厄日です』(文春オンライン)連載中。その他の著書に『山本さんちのねこの話』『てつおとよしえ』等。
X:@sahoobb
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