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村山由佳 もみじの言いぶん 第1話「安眠妨害」

大反響のうちに連載を終了した「ねこいき」こと「猫がいなけりゃ息もできない」。中でも特に多くの読者から愛され、惜しまれつつ世を去った〈もみじ〉の視点で贈るフォトエッセイ。もみちゃん——あの時、そして今この時、あなたは何を思っていたの?
※本連載は2019年3月に『もみじの言いぶん』として書籍化されました。

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 どちらさんも、ご機嫌さん。もみじですー。しばらく留守しとってかんにんやで。
 ここな、最近のうちの居場所。
 かーちゃんととーちゃんが毎日、前を通るたんびに、
「もみちゃん、おはよ」
「今日も可愛(かい)らしねえ」
「行ってくるわな。すぐ帰るから待っときや」
「おやすみ、もみじ。夢に出てきてな」
 て、しょっちゅう話しかけてくるから、ぜんぜん淋しないねん。ちゅうか、むしろ安眠妨害やっちゅうねん。正味の話。
 あとな、二人とも気づいてないみたいやけど……
 ベッドの上、こっからまーる見えやで。まーる見え。
 ええのんかいな。知らんで。


※本連載は2019年3月に『もみじの言いぶん』として書籍化されました。

村山由佳(むらやま・ゆか)
1964年東京都生まれ、軽井沢在住。立教大学卒業。1993年『天使の卵―エンジェルス・エッグ―』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。2009年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞。エッセイに『晴れ ときどき猫背』など、近著に『嘘 Love Lies』『風は西から』『ミルク・アンド・ハニー』『燃える波』などがある。

※この記事は、2018年8月21日にホーム社の読み物サイトHBで公開したものです。

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