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村山由佳 もみじの言いぶん 第5話「わからせる」

大反響のうちに連載を終了した「ねこいき」こと「猫がいなけりゃ息もできない」。中でも特に多くの読者から愛され、惜しまれつつ世を去った〈もみじ〉の視点で贈るフォトエッセイ。もみちゃん——あの時、そして今この時、あなたは何を思っていたの?
※本連載は2019年3月に『もみじの言いぶん』として書籍化されました。

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 腹立った時はな。無理に我慢したらあかん。
 遠慮して、言いたいこと飲みこんで、おなかに溜めといたところで、あとから大爆発すんねやったらおんなじこっちゃろ? それやったら、ふだんから小爆発でガス抜きしといたほうがなんぼかマシや。
 大事なことはな、「今うちは怒ってんねんで!」いう事実と、「こっから先は絶対譲ったげへんで!」いう境界線を、いやっちゅうほど相手に思い知らせたるこっちゃ。
 言うてもわからんようなら、わかるまで断固として口きいたれへん。背中向けて、呼ばれても無視し続けるんや。ほんで、さんざ反省さして、土下座で涙ながらに謝らしといてから、しゃあなしで許したんねん。お詫びのしるしに一晩じゅう腕枕さしてな。
 ま、そんくらいお灸すえたったら、相手も懲(こ)りて、おんなじ間違いを二度とは繰り返さんようになるやろ。
 何ごとも最初が肝腎や。〈猫と下僕〉も、〈女と男〉も。
 ちょお、かーちゃん、聞いとる? あんたに言うてんねん。

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※本連載は2019年3月に『もみじの言いぶん』として書籍化されました。

村山由佳(むらやま・ゆか)
1964年東京都生まれ、軽井沢在住。立教大学卒業。1993年『天使の卵―エンジェルス・エッグ―』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。2009年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞。エッセイに『晴れ ときどき猫背』など、近著に『嘘 Love Lies』『風は西から』『ミルク・アンド・ハニー』『燃える波』などがある。

※この記事は、2018年9月4日にホーム社の読み物サイトHBで公開したものです。

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