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バッグも足元もライトに! ~ちゃんとしなくても、立派な大人スタイル~|地曳いく子 第7話

※本連載が書籍化します。地曳いく子『日々是混乱 これが私のニューノーマル』11月26日発売予定

たくさん入る、どんな服にも合うーートートバッグは最強

思えば、若い頃はあんなにブランドバッグを買い漁(あさ)っていたのに……、気がついたら最近、かごバッグと、トートバッグばかりを愛用している私。そういう年齢や時代になったんだなあと、我ながらしみじみします。何がいいって、たくさん入る。そして、意外と、どんな服にも合うんですね。

このDrower(ドゥロワー)の展示会でいただいたトートバッグ、実は私の周りでも使っている人が多くて、撮影の時など、同じバッグが3つ並んで混乱してしまうほど。他にも布やGOYARD(ゴヤール)のトートなど、軽いバッグの愛好者が増えています。

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手前が愛用しているDrowerのバッグ。奥が使いこみすぎてヘナヘナになったゴヤール。

そして最近は、まだ6月だというのに、もう夏が来たの? と思うほど暑い日もありますね。この季節、そろそろ持ちたくなるのが、かごバッグです。かごバッグを持つと、それだけで、ちょっと涼しい気分になれるんです。

バッグの使い方も変わってきました。1~2週間、気が付いたらほぼ毎日、同じバッグを持ち歩いています。バッグを変えようとすると、中身を入れ替えなくちゃいけなくて、ICカードとか、スマホとか、必ず、一つや二つ、何かを入れ忘れちゃう(笑)。BBAだから仕方ありませんね。でも、毎日同じものを使っていると、どんどん愛着が湧いてくるという良さもあります。バッグだけではなく、洋服や靴など、モノはある程度続けて持つことによって馴染んできて、やっと自分のものになるのだと思います。

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軽くて小ぶりなカゴバッグにすると、バッグの中身も厳選するようになりました。仕事で荷物が増えたとき用に折りたたみエコバッグも忍ばせて。

もちろん、お金をかけたバッグを持ちたい日や場面もあります。そういうときのバッグ、私は予算20万円前後を目安にしています。一見高いけれど、長く使えば元がとれるから大丈夫。もう、量をたくさん必要としていないBBAだからこそ、凄(すご)く気に入ったものにはお金をかけられます。

バッグで思い出しましたが、最近疲れると、手にガングリオンという小さなコブが出現するようになってきました……。見つけたときは、これも年齢のせいかとちょっと悲しくなりましたが、幸い痛いわけではないし、場所柄、生活に何か支障があるわけでもありません。

それで最近、私はコブを、ブレスレットで隠しています。この写真のブレスレット、実は、家でアクセサリーの断捨離をしたときに出てきました。持っていたことをすっかり忘れていたので、タダで新しいものが手に入った気分! または、自宅で宝物を発掘した感じ?(笑)。ちょっと気分が上がったので、コブができたときの凹(へこ)みが解消されました。

それに、トークショーでこのブレスレットを褒められた時に、「実は手首にガングリオンができてしまって、コブ隠しなんですよ」とカミングアウトすると、お客様から「あら、私もたまにできるから、皮膚科で、コブの中身を注射で吸い出してもらっているんですよ」と、有力な治療法の情報をいただきました。それから、周囲の同年代に聞きまくると(何しろ私は好奇心の強い性格)ガングリオンができたことのある人が何人かいることが判明。最初に発見した時はギョッ! としてかなり焦りましたが、私だけではなかった。まあ長く生きているといろいろありますよねって思いました。

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ガングリオンという小さなコブを隠すために、こんなふうにブレスレットを。

足元を若くして、いまどきのBBA(ビューティフル ブリリアント エイジ byみきーるさん)に!

その昔、フィリピンのイメルダ大統領夫人が住んでいたマラカニアン宮殿が公開されたとき、物好きな私は、ダイビングのためにフィリピンに来ていたのも忘れて見に行きました。そこには数千を超えるブランド物の靴が、デパートの靴売り場を超えるほどの勢いで並んでいました。これには国家財産を私物化して贅(ぜい)を尽くした夫人に多くの非難が集りました。それはまったくその通りなのです。がっ! 私は正直言って、うらやましかった……。めくるめく美しいブランドの靴、それは若かった私にとっては夢の光景でした。

あるいは、ニューヨークを舞台にした人気ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』で、靴好きの主人公・キャリーの豪華なシューズクローゼットを見て、心からうらやましいとも思った……そのくらい、靴が好きだったわけです。

しかし、還暦を迎えるBBAに、高いヒールはもはやムリ。ムリしてはいて歩いてもカッコよくないし、下手したらコケて足首を捻挫です。50歳を過ぎて、実際に私も友人たちも、一度や二度はヒールで転んで捻挫や骨折、松葉杖のお世話になった経験ありです。正直、私たち世代は、革靴やヒールは飽きるくらいはいてきましたしね。←完全な負け惜しみですね、私(笑)。

そう思っていたら、ちょうど都合よく(?)スニーカーブームがやってきました!

BBAこそ積極的にスニーカーをはくことを私はオススメしています。街で見かける白髪の先輩たちも、足元がナイキやニューバランスのスニーカーだと、すごくカッコよく見える。足元を若くすると、いまどきのBBAになれるのです。

よく、「スニーカーをどんな服に合わせればいいかわからない」という質問を受けます。でも、今の時代、最新のスニーカーであれば、どんな服に合わせても大丈夫です。

ロングスカートやコンサバなワンピースだって、ピッタリと合ってしまいます。最新型のスニーカーをはいているだけで、服が普通でも、トレンドを着こなしている人と認定されます。

※BBA=ビューティフル ブリリアント エイジ(Beautiful Brilliant Age)という素晴らしい言葉を教えてくれたのは、みきーるさん! ご本人に許可をとって、使わせていただきました。

スニーカーでも、ヒールパンプスと同じくらいのバランスに

昔はいていたニューバランスやアディダスだってすごく進化しています。一見すると昔のものと同じ形でも、今のものはインソール(中敷)やソール(靴底)がちょっと違って、はいてみるとその快適さに驚きます。またインソールが2センチほどと厚く、ソールと合わせると、4センチくらいのヒールパンプスをはいた時と同じくらいのバランスになるものもあります。私はスニーカーを選ぶ時、必ず靴の中に指を入れて、インソールの厚さを確かめるようにしています。

スタンスミスは定番ものの白を2年に一回くらい買い直していますが、昨年はステラ・マッカートニーとのコラボものを買いました。パッと見は、定番ものとほとんど同じですが、サイドの三本線の小さなパンチングが星の形になっていたり、ベロ(紐の下の部分)の片方にはステラ・マッカートニーの顔のイラストがあしらわれていたりと、まあ自己満足おしゃれ心を満たすにはぴったりの一足です。これをはき倒したら、また定番ものを買おうと思っています。

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ステラ・マッカートニーとスタンスミスのコラボ。自己満足おしゃれ心をたっぷり満たしてくれる一足です。

ヒールからスニーカーに変わっても、靴を買うとテンションが上がる! そこはまったく変わりません。ただ、昔だったら、気に入ったら色違いなどを2足も3足も買っていたのですが……、ひとまずピンときた1足にしました。そこは、前回(第6回/「ライブ3割・食と温泉7割」のBBA旅 ~いいことと悪いことはセット〜」)に書いたように、BBAなりに進化しているのかなと、感じるところですね。

さらにもう一足、Y-3 Yoji Yamamoto(アディダスとヨウジヤマモトとのコラボレーション)の黒いスニーカーを。インソールとソールを合わせると4センチくらいでちょっとだけ脚長効果(?)。この夏はこの2足のスニーカーで最新型のBBAになれそうです。

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Y-3 Yoji Yamamotoのスニーカーは脚長効果も期待できそう!

スニーカーは、はくときの気持ちも大事です。革靴がつらいから、ではなく、大好きだからスタンスミスをはく。そうやってウキウキしていると、はいてる自分も楽しくなるし、歩き方や姿勢もキレイになり、自然と「おしゃれなBBAオーラ」がでてきます。

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友人の足元をパチリ。周りにもスニーカー好きが増えています。これだけはきこめば、スタンスミスも喜んでいますよね。

そして、急に暖かくなってきた最近、サンダル気分もやってきました! スニーカーもいいけれど、ちょっと違ったおしゃれを楽しみたい時もありますものね。この年にもなってサンダルをはける幸せ!

今年新しく仲間入りしたのは、Teva(テバ)の公式サイトで買った白の厚底がついた黒のサンダル(7,800円)と、Zara(ザラ)で買った5,990円の爬虫類(はちゅうるい)調の先の尖ったペタンコミュールです。左のTevaに合わせた黒パンツは、シルバーのスナップボタンによってワイドパンツにもサルエル風にもなります。大好きなブランドCINOH(チノ)のもので、eclat(エクラ)プレミアム通販で買いました。36,000円も投資したので、この夏ボロボロになるまで、はき倒す予定です。右のZaraに合わせたパンツもエクラプレミアム通販で購入。デザインに特徴のあるこの黒パンツも、週1~2回のペースでヘビロテ中です。

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黒のサンダルと、爬虫類調のペタンコミュール。かわいくてラクで、この夏、大活躍してくれそうです。

私たちの母の世代、“アラ還”といえば「ちゃんとした格好でなければ人前に出ては失礼」という考えがありました。でも今は新しい時代「令和」です。ヒールパンプスや革のハンドバッグでなくとも「立派な大人スタイル」は確立できます。すてきな時代にBBAになれて幸せですよね。

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地曳いく子(じびき・いくこ)
1959年生まれ。『non・no』をはじめ、『MORE』『SPUR』『Marisol』『eclat』『Oggi』『FRaU』『クロワッサン』などのファッション誌で30年以上のキャリアを誇るスタイリスト。著書に『50歳、おしゃれ元年』『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』『ババア上等! 余計なルールの捨て方 大人のおしゃれDo&Don't』『ババアはつらいよ アラカン・サバイバルBOOK』『おしゃれも人生も映画から』『おしゃれ自由宣言!』など著書多数。槇村さとるさんとの動画連載「BBA(ババア)チャンネル byさとる×いく子」も好評配信中。http://gakugei.shueisha.co.jp/yomimono/bbach/01.html
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※この記事は、2019年6月5日にホーム社の読み物サイトHBで公開したものです。


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