第15話 あずきのない白くま|金原ひとみ「デクリネゾン 」
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第15話 あずきのない白くま|金原ひとみ「デクリネゾン 」

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 いっそのこと、もう全て禁止、ロックダウン! にしてくれたらいいのに。自分の小説を原作とした映画の公開がもろに三回目の緊急事態宣言に被ってしまった和香はそう嘆いた。おかしいよ、ここは良しここは駄目って、基準は? 線引きに関して科学的なエビデンスがないし、こういう状況になったら解除しますっていう基準すら明示しない。映画館なんて滞在時間の95パーセント誰も口を開けもしない場所なのに。憤りというよりは呆れに近い態度で愚痴る和香に、私はライブハウスの話をした。検温手指消毒時間差入場接触確認アプリダウンロードの義務化、混雑を避けるためドリンク引き換えは開演前のみ、椅子か足跡マークから離れずディスタンスを保つ、歓声ダイブモッシュタオル回し禁止。コロナ前のライブハウスらしさ、怪我がなければ大体OKという暗黙の了解をかなぐり捨てて、ライブハウスは生き残りのためガイドラインを徹底してきた。コロナが広まり始めた頃クラスターが発生したため叩かれてきたライブハウスは、あの頃とはほぼ別物だ。時に歓声が聞こえることはあるし、ライブハウスによっては大してディスタンスでないところもあるけれど、ライブハウスでクラスターが発生したという話はもうずっと聞いていない。それでも、ライブや音楽にあまり関心のない和香は「へえ」と「そうなんだ」を繰り返し、自分の知り合いのやっている飲食店がコロナの影響で潰れそうだという話題に切り替えた。
 珍しく和香がLINE通話を掛けてきたと思ったら、今回の映画化にかけてきた思い、舞台挨拶やプロモーションのためにつけてきた息子のシッティングなどの段取り、自分が忙しくなることで旦那の負担が増えることへのフォロー、自分と過ごす時間が減ってしまう息子が孤立感を抱かないためのあらゆる心遣い、ありとあらゆる役割をこなしてきたことが無に帰そうとしていることへの愚痴がほとんどで、そこにかける私の言葉も、自分が今コロナに対して憤っていること、大凡ライブが中止になることと外食の際にお酒が飲めないことであると気づいてからなんとなく興ざめしてしまい、三十分も経たない内に私たちはガソリンだくだくで火をつけた放火犯が瞬時に雨で火を消し止められたかのように、「じゃあまた」とお行儀の良い犬のように合言葉を口にして通話を切った。

「結局、自分の住んでるところとか、置かれた階級、所属してるクラスタ、人間はほとんど自分の基準でしか考えられないものなんだと思うんですよ」
「確かに、うちの会社めちゃくちゃ厳しくて、出社率下げろ、会食禁止、予防を徹底しろってうるさいんですよ。だから僕も週二くらいしか会社行ってなくて、会食も全然してないんですけど、旺志社とか、補文堂とかは全然普通に会食してるらしくて。作家から聞く話によると、会社の方針としてもうコロナは気にしない、出たら粛々と対応する、ってスタンスらしいんですよ。だから、うちの編集者と旺志社編集者にとってコロナって全く別物ですよね」
「言われてみれば、出版社はかなり極端ですね。旺志社は社長がブラジル大統領みたいな考え方らしいですよ。もちろん、リモート希望者はリモートでもOKみたいですけど」
「あそこの編集者たちは、何だかのんびりしてますよね」
「あののほほん具合に慣れちゃうと、逆にどうして他の出版社の文芸編集者はあんなに忙しそうで、余裕がなさそうなんだろうって思います」
「なんだかんだ、割と一人一人の刊行ペースはそんなに緩いわけじゃないと思うんですけどね」
「中津川さんは、旺志社の方が合ってそうですよね」
「僕は旺志社落ちたんです」
「そうだったんですか」
「大体文芸志望の編集者は旺志社と有文館を受けてるものですよ。最初は週刊誌に配属になるけどいいかって言われて、断腸の思いでいいですって譲歩したのに落とされたんです」
 まあ、あそこはそんなに人数取らないでしょうからね、と苦笑いしながら、ノンアルコールビールを飲む。太田さんから緊急事態宣言いつ明けるか分からないのでもう会食しましょうと投げやりな感じのメールをもらい、中津川も連れて行きますと言われていた会食は、すみません夫が感染して濃厚接触者になってしまったので一週間の外出自粛を宣告されてしまいましたという連絡により、二人での会食になった。本当に夫が憎い、サーロインユッケ楽しみにしてたのに、殺してやりたい! という彼女の大袈裟な嘆きは、コミカルにも、感染者を叩く俗世を風刺しているようにも感じられた。
 サーロインユッケはとてつもなく美味しく、それでもその味の濃さ故にやっぱり本物のアルコールが恋しくなった。酒類提供禁止の報を受け、あまりの憤りと怒りで「いっそのこと全て禁止! にしてくれたらいいのに……」という和香の言葉を思い出し、あんなことを言う人間がいるからアルコール禁止令が出たのではと他罰的になり、本当にどこも提供していないと知ってオロオロし、去年の三月頃にオセロがひっくり返るように常識が覆されてしまった時を思い起こさせるライブやフェスの中止発表、開催はするが酒類は提供しませんという宣言を読みながら、私はコロナによって初めて傷つけられたことを知った。外出自粛も打ち合わせや取材がリモートになるのも新刊の発売日に書店が休業していたことも、マスクも頻回な手指消毒も大人数の会食自粛も甘んじて受け入れてきた。しかしそれらはきっと本質的に自分を蝕むものではなかったのだ。外食の際にお酒を飲む自由を奪われたことは、親だったり国家だったり何らかの巨大な権力によって永遠に一緒にいると誓い合った彼氏と別れさせられる理不尽とほとんど遜色なく、こんな自由の剥奪があっていいのか、これは個人の権利の侵害に他ならない、と息が止まりそうなほど憤慨した。私はコロナ禍で初めて、お酒を飲む自由という身ぐるみを剥がされ身震いする経験をしたと言える。そしてその時ようやく初めて、休業要請などで直接的な煽りを受けてきた人々の気持ちに近づくことができたとも言える。
 人間とは愚かなもので、自分が大切にしているものを奪われないと、大切にしているものを奪われた人の気持ちが分からないのだ。自分以外の全ての人の子供が殺されたとしても、我が子が殺されなければ我が子を殺される苦しみは分からない。もちろん想像もできるし、物語を通じて追体験することもできる。それでも実体験そのものとはかけ離れている。我が子の死を経験しその後何年にもわたりことあるごとに慟哭する人はいても、物語の登場人物の死に何年にもわたり繰り返し慟哭する人はほとんどいない。物語が目指すところは、体験としてのリアルさではなく、物語でしか体験できない俯瞰的、乖離的な視点により描写され得る機微の追求であって、それこそが人間を知る近道になるはずだ。ここに到着してから一滴もお酒を飲んでいないというのに、思考がどんどん脇道に逸れていくことに気づいて、私は大きなお皿に載せられたエッグカップのような小さなガラスの器に盛られたウニのフランにスプーンを伸ばす。
「こんなものをアルコール抜きで食べる日が来ようとは思いもしませんでしたね」
 ウニの濃厚さに唸りつつ「ですね」と頷く。
「外食時にお酒を飲めない辛さ、彼はお酒を飲まないから分からないんです。料理とお酒のマリアージュとか、まじでポカーンって感じで」
「へえ。飲まない若者、増えてますよね。社内でも飲まない若手編集者が結構出てきました。飲まない奴に文学なんて分からないだろうと思うんですけどね」
「それは偏見だし、ややもすればパワハラですよ。お酒なしで狂ってる奴の方が希少だし、本物感ありますよ」
「それはそれで、文学は狂ってないと分からないっていうマウンティングになりませんか?」
 サブカルマウンティングですねと笑いながら言うと、中津川さんも皮肉っぽく笑った。太田さんが取ってくれた38階の個室には男性か女性か判然としない胸部の写真が大きく飾ってあり、窓からはスカイツリーが見える。きっと太田さんは自粛生活に疲れていて、ちょっとバブリーな外食を楽しみたかったんだろうという切実さを感じるお店のセレクトだった。私と中津川さんの間にはまあまあ分厚いアクリル板が立てられていて、何だか情報量の多い空間だなとその滑稽さにも笑えてくる。
「酒類提供禁止のせいで、この間久しぶりに彼と険悪な雰囲気になったんですよ」
「どういうシチュエーションですかそれ?」
「私はショックを受けたんです。酒類提供禁止なんてあまりにもだって。お店によってはお酒ありきで成り立っているお店もあるわけですよね。経営的に、というところもありますけど、哲学として料理とお酒のマリアージュを大切にしているお店もある。例えばですけど、作家が本を刊行する時、今回は紙の本は出さないで電子だけで出版しますって言われるようなものです。もちろん私は電子書籍も買うし、自分の本も電子で出してます。でも、完全に紙の本はなしで、って言われたら、すごくショックだし、これまでのような形態で続けられなくなったことを、読者に対して申し訳なく思うはずなんです。もちろん酒類提供禁止は東京の全ての店舗が対象なので申し訳なさは軽減されるかもしれませんけど。それでもこの暴力的な酒類提供禁止令は、お酒と料理のマリアージュを奪うと同時に、それを提供しされることで築かれてきたお客さんとお店とのマリアージュもまた、奪ってしまうということですよね。もちろんコロナという暴力的なウイルスには、ある程度の暴力的な対策を取らなければ太刀打ちできないということも理解できます。でも実際問題、お酒を飲むことでどれだけ人の声が大きくなり、どれだけ感染率が高くなるのか、そういうエビデンスもなしに一方的に押し付けるなんて、やってる感を出そうとしているとしか思えないじゃないですか」
「うるさい人はお酒を飲んでても飲んでなくてもうるさいですからね」
「そもそもこれだけ時短をしている以上、泥酔する人なんてほとんどいないはずなんですよ。当初から、ライブハウス、風俗、ホストクラブやキャバクラ、深夜営業で成り立っているバーとかスナック、そういう利権がなくて、スケープゴートになりやすいところに国民の怒りの矛先が向くように仕向けてきたわけです。でも彼は、音楽好きだからライブハウスの擁護はするけど、お酒を提供するお店やお酒を命の水と思っているような人に対しては無関心なんです。大切なものを奪われ傷ついている人たちに感情移入もしなければ、むしろ酒なんてなくなればいいのにくらいに思っている。何を言っても、自分は飲まないから、の一点張りです。空爆から逃げ惑う人たちに対して、自分のいる場所に爆弾は落ちないから、って言い放つ人がいますか? もちろん人は共感できない存在に無関心なものです。でも彼は共感の範囲があまりに狭いと思うんです。それで、そんな自分基準でしか物事を考えられないような人とは一緒にいられない、ってキレたんです」
「コロナはあらゆる意味で自他の境界線を浮き彫りにしましたよね。自分がどこまで人に共感できて、我がこととして捉えられて、怒りを感じることができて、声を上げることができるのか。状況が移り変わっていく中で、常に試されているような気もします。でも、彼はお酒が強くないんですよね。もともと、お酒を飲むのが当然だという社会の風潮に苦しめられてきたり、抑圧、疎外されてきた向きもあったのかもしれませんよね。だからこそ、自分は別に、という態度を逆張りとして取ったんじゃないですか?」
「だとしても、愛する人が悲しみ、怒りを抱いている時に、俺は別にっていう態度を取るものですか? 私の親が死んで私が悲しんでいる時に、俺にとっては大切な人じゃないから別に、なんて言いますか? もしも、たとえ私の親が彼を気に入っていなくて意地悪な態度を取っていたとしても! 私が親を失って泣いている時に、俺には関係ない、むしろ死んでくれて良かった、なんて言いますか?」
「まあ、それは重度のソシオパスですね」
「酒類提供禁止も親の死も、当人が大切にしているものを喪失したという意味では一緒です」
「その話、彼にはしたんですか?」
「泣きながらしました。そしたら、外食時のお酒が私にとってそこまで重要なものだとは思わなかったって謝ってました。彼はこれまで私と外食をしながら一体私の何を見てきたんだろう、って愕然としました」
 個室のドアが開き、熟成タンのグリルが出された。こうして料理が出てくるたび、私は傷ついている。この料理をお酒と共に食せないことに対して、美味しければ美味しいほど、傷ついている。一皿ごとに行き場のない怒りの叫びと嘆きが腹の奥からこみ上げてくる。
「もちろん僕は分かりますよ。お酒好きですし、大体起きてる間は飲んでますし、太田もそうです。お酒飲めないことをぐちぐち文句言ってたし、上に会食の許可もらわなきゃいけないことにも文句言ってたし、そういえば個室ならリュックの中にワイン突っ込んで行ってもバレないかななんて言ってました。お酒好きな人なら皆そうです。でも例えば、天野さんの娘さんだって、お店でお酒が飲めない苦しさには共感できないでしょうし、天野さんの苦しみとか悲しみも理解できないですよね」
「人が大人になっていく過程で身につけるべき能力第一位は想像力です。理解できないのは仕方なくても、圧倒的な力によって傷つけられた人間を見て、自分には関係ないと切り捨てるような人間にはなって欲しくないですし、そうならないよう教育してきたつもりです。健康志向で、私の喫煙や飲酒を快く思っていなかった彼は、もしかしたらどこかで酒類提供禁止を喜んでいたのかもしれません。むしろ、酒に依存してた奴らざまあみろくらいに思ってたのかもしれないです。それくらい、彼の態度には狭量さを感じました。でもそれは、スケープゴートとして吊るし上げられたライブハウスや、夜の街を叩いていた人たちと同じ心理ですよね。そんな低俗なものに依存しやがってって小馬鹿にして、鬱憤をはらす行為に等しいですよね」
 二切れのタンを食べ切ると、太田さんも考えていたなら、私も酒類を持ち込めば良かったと、出かける前にじっと見つめていたボンベイ・サファイアのボトルを頭に浮かべながらオールフリーを飲み込む。オールフリーって何なんだろう。全然フリーじゃないし、全てがフリーならフリーという概念自体が無効化されてしまうため、それは全くフリーじゃない。一滴もお酒を飲んでいないのに、怒りと悲しみに酔っているのか思考が奇妙に蠢いていた。そして私たちの前には、ヒレとイチボのステーキが二切れずつ出された。少量でお上品な肉たちは、アルコールと混じり合うことなく胃に落ちていく。家を出る前にがぶ飲みしてきたワインは、もう一切私の身体には残っていないような気がする。シメはレンゲに二盛りほどのトリュフリゾットだった。最後の最後までお上品だった。太田さんの欲望を映し出したかのような食事に、何となく太田さんの好きなAVを見たような気恥ずかしさと申し訳なさを感じた。
 帰り道少し飲みましょうか。地上階まで降り駅に向かおうとしている時、中津川さんがコンビニを指差しそう言った。いいですねと声を上げると、私たちはコンビニに入ってスパークリング日本酒の小瓶、ストロングゼロ、白ワインハーフボトルをそれぞれ二本ずつ買い、駅までの道のりでストロングゼロを、ロータリーに座り込んで日本酒を飲み始めた。
「すっかり忘れてたんですけど、そういえば太田が新連載のことについて聞いておいてくれって言ってました」
「あ、例えば七月か八月締め切りの号、九月号か、十月号とかになるんでしょうか、その辺りのスタートを想定してるんですけど」
「分かりました。伝えておきます。外出自粛の生活の中で、きっと励みになりますよ。何か取材とか資料とか必要だったらいくらでも言ってください」
「了解です。ちなみに、この間桜木さんとちょっとメールのやりとりをしたんですけど、太田さんがあまりにも忙しそうすぎて、編集部にもあんまりいないし、よっぽどなんじゃないかって心配してました」
「まあ、小さい子供がいる人は皆割とそんな感じですよ」
「中津川さんは、心情的には子供を欲するタイプの人ですか?」
「何ですか心情的に子供を欲するタイプって」
「いや、子供が欲しいかどうかって失礼な話題なので、ちょっとオブラートに包んでみたんですけど」
「なるほど。息苦しい世の中になりましたね。十年くらい前までは、子供まだかとか、二人目まだかとか、おっさんたちは普通に言ってましたよね。僕はあんまりこだわりないんですよ。彼女が欲しい、ならいてもいいなと思うし、彼女が子供はもういらないって言うなら、全然いなくても構わないし。まあひとまず、彼女が離婚しないとちょっと子供とかいう段階には上がれないんですけどね。天野さんは、心情的に今の彼との子供を欲するタイプの人ですか?」
「私もどっちでもって感じで。彼は別にいなくてもいいって感じだし、まだ大学生だし、仕事始めてすぐに子供できたら大変だろうし、私も妊娠出産となったら仕事完全にとはいかなくてもある程度止まってしまうだろうし、また一からあれやるのかと思うとかなりうんざりするところもあるし」
「まあその辺りのこと、蹴散らしてくるのが子供っていうものなんでしょうけどね」
 中津川さんの言葉が意外で、私は日本酒を呷りながら彼を見やる。
「すでに子供のいる自分が、子供を持つことに後ろ向きな彼に対して子供を持つことの素晴らしさを伝えられないって痛感した時に、これが現実なんだなって思ったんです。今の時代、子供を持った方がいいか、持たない方がいいかって、多くの人にとってギリキリどっちに転ぶか分からないって感じだと思うんですよ。もちろん、子供を産んだことを後悔する人は実際にそんなにいないと思います。でも、あらゆる具体的なことをプラスマイナスして考えた時に、なんて言うか、トントンくらいなんですよね。そうなると、彼は割と保守的だから、それなら子供はいらないね、二人で今の楽しい生活の延長を生きていこうね、ってことになる。そもそも子供を作る身体的な機能が互いにあるのかどうかも分からないっていうのに、私たちはすでに意図的に選択をしているかのようで、そこにも違和感を抱きます」
「子供を持つか持たないかって、選んでいるようでいて、選ばされてるんですよね。社会に迫られて仕方なく、子供を作るとか、作らない、とか選択している。選択してしまったら、それはある意味社会に迎合しているとも言える。つまり僕たちは、この選択について無関心であればあるほど、社会から逸脱した存在とも言えるんじゃないでしょうか」
「なるほど。社会との繋がりを絶って、個に還るということですね」
 還りたいですね。という言葉を聞きながら、私はワインを呷る。結局当事者にしか分からない、さっきの自分の思いがブーメランになって私に突き刺さった。当事者にだって、分からないことは普通にある。そして当事者でない人の方が、分かっていることもあるのかもしれない。

 今どこおるー?! 新大久保で韓国料理からの路上飲みしてるんやけどちょっとこーへん? ひかりからのLINEに、電車の中で気づいた。えー路上ってどこ? と返しつつ、私はスマホで時間を確認している。21:15だ。小学生だって半数は寝ていないだろう。意を決して、「ひかりに路上飲み誘われたからちょっと顔だしてから帰るね」と蒼葉に送る。今晩は、昨日のキムチ鍋の残りのつゆで雑炊かうどんを食べると言っていたのを思い出して「キムチ鍋無くなった?」と追送する。すぐに「路上飲みって、駐車場とかで飲むってこと? 変な人とか、飲み過ぎに気をつけてね」「キムチ鍋は肉とキムチ足して食べた後雑炊にして全部食べきったよ!」と返ってきた。一人で湯気をあげる電気鍋からキムチ鍋を食べている蒼葉を想像すると、なんだか幸せな気持ちになった。
 おーい、志絵ー。手を振るひかりに手を振り返して、なんだか呆れて笑ってしまう。神社の参道の縁石に腰掛けたひかりはコンビニで買ったのであろうクラフトビールを飲んでいた。
「なに、一人なの?」
「そやねん。一緒に飲んでた友達明日も仕事やからあんまり遅くなれないって、さっき帰ったんよ」
「そっか、明日も平日だもんね」
 来る途中で買ったストロングレモンを開けると、私たちは手を伸ばして乾杯した。
「なんかあったの? なんか思い詰めてる? ひかりも不倫始めちゃったとか?」
 なんやねんそれ、ちゃうわ。と隣に座り込む私を肘でどつく。食べる? と言いつつ会計の時に目に入ってつい購入した唐揚げを差し出すと、さっきめっちゃフライドチキンとヤンニョムチキン食べてきたんやけどな! と言いながらひかりは爪楊枝を唐揚げに刺し口に運んでいく。
「私今日中津川さんと会食だったんだよ」
「あーあの、なんかよく分からん奴な」
「うん。めっちゃ肉食ってきた。サーロインユッケがまじやばかった」
 サーロインユッケ? どゆこと? どこの店か教えーや。またどつくひかりは、路上でしか飲んでいないはずなのにまあまあ酔っ払っているように見える。ひかりの向こう側にある袋に目をやると、少なくとも三本くらいの空き缶が入っているようだった。食べログのページをLINEで送ると、やばいやんなにこれまじ素敵やん、ここ明日行きたいわと目を輝かせる。上がったテンションは投げっぱなしで、またひかりは心ここに在らず的な遠い目をする。
「実はな、旦那が会社辞めたい言いよるんよ」
「旦那が会社辞めたい……か。それはもう、辞めざるを得ない感じの、辞めたいなの?」
「絶対に辞めざるを得ないわけじゃないけど、まあ何とかしてやらんとなって感じの辞めたいって感じではあるな」
「コロナできつそうだって、前言ってたよね」
「せやね。コロナ前は、ほら何となくアパレルって華やかな仕事やし、疑問抱く間もなく波に乗らんとみたいなところあって回ってたんやろうけど、コロナで経営悪化して、何とか売り上げ伸ばすためにできるイベントないか、できる企画ないかって試行錯誤してる時に、何やってんのやろうってふと考えてしまったんやろな。まあ、もともとあったんやと思うんよ。疑問は。元々自分がやりたいと思って入った会社やなかったやろうし」
「そうなの? 知らなかった」
「元々は、スポーツ系のメーカーにおったんよ。スポーツが好きやってん。でも今の会社に結構条件良く引き抜きされて、もう十数年前の話やけど」
「スポーツ系の企業に戻りたいって?」
「いや、なんか今はなにも分からんみたいやねん。コロナ禍であの歳で、実際転職もキツいやろうしな。でもな、私ずっと売れてへんかったやん? 小説で食えんかった頃はずっと二束三文でライターやったり、バイトもかなりいい歳まで続けてたし。そんな時にな、旦那が生活のことは俺に任せて、ひかりは小説のことだけ考えやって言ってくれてん。もちろんバイトとかも経験になるしええけど、多少の安心感は必要やろって。私はまだ若かったし、はあ別に安心なんて必要ないですけど? みたいな反抗心もあったけど、実際結婚して彼が生活支えてくれて、家にきちんと書く場所設けてくれて、まじ助かったんよ。この人がいてくれたおかげやって、少しずつ小説が軌道にのってく中で実感してん。だから、今回は私が支えたいって思うんよ。まだ子供も小さくて、完全に水商売やし、正直怖いんやけど、あの時コロナで考えるきっかけもらったからこそ今があるって、いつか言えるようになりたいやん。そのためには、多少怖くても、足踏み出さんとって。さっきまで一緒にいた友達もな、旦那さん専業主夫やねん。まあ彼女には安定した収入があるから経済的には全く問題ないんやけど」
「補文堂の松下さんも、旦那さん専業主夫だったらしいよ。プラモデルマニアで、子供が巣立ってからは家事とプラモデル作りだけしてるって」
「松下さんの話は有名よな。若い人も、あんまり言わないだけで意外と専業主夫の家庭あるんかもな。大手の編集者なら一人の給料だけでも普通に暮らすには問題ないやろうし」
「あ、中田さん。リテラズの中田さんも、この間旦那が会社辞めたって言ってた。なんかイベンターみたいなことをフリーでやっていくとか、なんかちょっと胡散臭いこと言ってた。でもさ、ひかりの旦那さんも専業主夫になりたいわけじゃなくて、何かやりたいんだよね? 今とは別の仕事とか」
「今はまだ、何がしたいのか分からんみたいやな。会社設立すんのもええなとか言ってるけど、何の会社って聞いても何やもやっとした答えしか出てこんし、実際経営とかよう知らんやろうし、やるとしたら誰か道連れにせんとあかんやろうな。かと思えば、なんや人と人を繋げる仕事したい、とかも言いよったな。あと、名古屋大に行きたかったんだよなって言い出したりもして」
「え、名古屋大に何があるの?」
「なんや有名な経営の先生がおるとか言ってたな」
「え、そしたら皆で名古屋に引っ越すってこと?」
「まあまだ分からん。まだふわっふわの状態やしな。一旦仕事辞めてまっさらな状態ならんと、何も考えられへんのかもな」
 袋をガサガサしてお酒が尽きたとジェスチャーで伝えるひかりに、ストロングを差し出すとこれしかないん? と不満そうで、「ストロングとストロングハイボールしかないよ」と答えるとひかりは「私ストロング系嫌いやねん。存在自体が雑やない?」と言いながらプルタブを引き上げた。
「いいと思うよ。財力のある男と結婚して成功した女が、今度はその財力で男を救う。超相互サクセスストーリーじゃん。私昔、クラブ通いとかしてた頃、仲の良かったヨーロッパ系の留学生がいたんだけど、その人ずっと色んな国の大学を転々としててさ。日本は抑圧的でちょっとイマイチだったから、次は虚構でも自由を謳うアメリカに行こうかなとか言ってて。あっちでは多いっていうよね。親が金持ちの子供が、あちこち留学しまくって、三十過ぎまで定職につかないみたいなこと。実際余裕がある人はいくらでも遊べばいいし、勉強すればいいし、世界一周でもすればいいんだよ。もちろん、日本じゃ大学出たあと世界一周してたとか言ったら就活に不利になるかもしれないけど、ひかりの旦那さんはこれまでずっと真面目にサラリーマンやってたんだから。心ゆくまで休んだらいいし、次のやりたいこともゆっくり考えたらいいし、見つからなかったら生活とか日常を充実させていく方向にシフトしてもいいし、何より、いいよって、休みなよってひかりが言えるってことが全てじゃない? 損得とかじゃなくて、相手の人生を祝福したいと願ってるひかりの存在が、旦那さんの人生を象徴してるよ」
 は? 何で泣くん? ひかりは笑って、私の腕をさする。
「不安なんよね。ほんまに不安。でもそれ以上に彼は不安なんやろうし、それでも会社辞めたいって言うねん。そしたらさ、支えてやらなって思うやん。ほんまは怖いんよ。一人で家庭支えていかなあかんって、次の小説コケたらどうしよって、人の反応もこれまで以上に気になるやろうし、いらん心配して余計つまらんもん書くようになってしまうかもしれん。そういうこと考え始めると、マジで自分はどれだけ旦那に頼り切って、まあ自分がダメでも生活何とかなるしって、楽観的でいられたのか痛感すんねん。まあ旦那は定額給与やからできたことなんやろうけどな。まじで確定申告書見返したら、自分の年収の落ち着かなさに呆れたわ」
「リテラズウェブで連載したら? 私の担当が、ひかりと仕事したいって言ってたよ。あそこ原稿料高いし。連載したらひとまず一、二年定期収入できるし。今ある連載と並行して書いて、そこに単行本と単発の仕事のギャラが入れば三人家族何とかなるんじゃない?」
 私は涙を拭い、彼女が欲しているのは感傷的な言葉などではなく実用的な言葉に違いないと直感し提案する。
「なるほどな。定期収入作っていく系の方向な。ていうか、自分がこの状況に陥ってから、めっちゃ思うねん。大学生と付き合う志絵って、マジでメンタル強いなって。相手一銭も稼いでへんわけやろ? デート代とか志絵が払うわけやろ?」
「ホテル泊まってた頃はお金かかったね。でも彼は夕飯任せると豚コマと鶏胸肉ばっか買うような人だし、まあ来年の四月には就職だし期間限定って思ってたからできたことだよ。一人出て行ったから、食い扶持は変わらないしね」
「そういや、就職決まったん? 今就活生よな?」
「今のところ三つ内定出てて、あと二つ進行中の会社がある。二つの結果が出揃ったらどこにするか決めるって感じかな」
「イージーモードやな!」
「第一志望は落ちたけどね」
「ふうん。彼は、どこに就職するにしても東京なん?」
「内定出てる一箇所だけ、大阪本社勤務になるかもって」
「そしたらどうするん? 一緒に行くん?」
「まだ分かんないな。行くかもね。そしたら元旦那と理子に今のマンション貸してもいいし。まあどこの企業に就職したとしても、駐在の可能性もゼロじゃないしね」
「そうなん? 私なんか関西出身やっていうのに、名古屋住む想像すらできひんのに」
「どこに住んだって、ひかりは多分大丈夫だよ」
 ありがとう。本当はめっちゃ怖いねん。でも旦那には怖いって言えへんし、これが大人になるってことなんかなって思うんよ。一番近い人にも吐露できない辛さを抱えるってことが。そう思ったら、父親とか、旦那とか、大黒柱的なものとして機能してきた人たちの重圧ってものを改めて痛感するよな。珍しく気弱なひかりの言葉に、私は少し動揺していたけれど、その動揺を表に出してはいけない気がして私も抑え込む。一家を背負う的な責任感など、誰も持たない方がいい。誰だって仕事を辞めたら辞めたで何とかなるくらいの気持ちでいられるような社会であるべきだ。そう思うけれど、自己責任論が横行し、ベーシックインカムなんて怠惰な奴の愚かな戯言と思われてしまう日本という国では、そうして責任に押しつぶされそうな人たちが大量に発生してしまうのは仕方のないことだ。私は昔、直人が仕事を辞めてしまった時のことを思い出す。自分の夢を追いかけ、仕事を辞めたのだ。いいよいいよと当時収入が波に乗っていた私は承諾した。彼にやりたいことをやれる環境を与えられるのは自分だけだと思ったのだ。経済的にも問題ないし、理子のことを見てくれる時間が増えれば私はそのぶん仕事に集中でき、より経済も安定するだろうと思った。でも結局、彼が仕事を辞めて三年も経たない内に、その重圧と先の見えなさに押しつぶされ、ひどい言葉をかけてしまった。仕事の依頼がくるとすぐに原稿料やギャラのことばかり考えてしまい、嫌な仕事も受けるようになっていた。依頼がくるたび葛藤するようになり、常に生活費と原稿料と今年の年収が幾らになるかを考え続けていた。自分のペースでやりたい仕事だけ受けてきた私にその不自由さは耐え難く、稼いでないくせに、私の抱えてる責任の重さなんて分からないくせに。そんな言葉をかけ、彼は唯一の頼りであった私に憎まれ始めていることを悟って恐らく途方に暮れ、道半ばで元の職場に復職した。あの体験は、私たち二人ともに、トラウマのようなものを残した。私は自分一人が家庭の責任を負い続けることに、彼は応援してくれていると思っていた人が経済的な不安により簡単に寝返ったことに傷つき、もう二度とこんな思いはしたくないと思ったはずで、実際直人の復職後、その時期のことについてはお互い触れなかった。
 ひかりなら大丈夫だ。売れているし、今はナーバスになっていても元々は肝っ玉な女だ。私みたいなせせこましい人間じゃない。あの暗黒期のことを思い出しながら、この話はしない方がいいだろうと自分の頭から追い出すように、私はストロングハイボールを開けた。自分の小ささ、弱さ、惨めさを、思い出したくなかった。ありがとな。志絵に話して良かったわ。そう呟くひかりに、「でももしすごく辛いなら、敢えて背負わなくてもいいんだよ」と言いたくなったけれど、私が彼女の立場だったとしたら、背負う他ないと感じるだろうし、背負いもせずに背負わない結論を下した自分が堪え難いだろうとも思ったから、私はひかりの背中を撫で、辛くなったらいつでも話してよと無難な言葉をかけた。

 帰宅すると十二時前で、こんな遅くに帰宅するのは久しぶりだと改めて久しぶりに友達と時間を気にせず飲んだことに気づく。おかえりとリビングからやってきた蒼葉は少し心配そうな顔をしていて、靴を脱いだ私はただいまと言いながら彼の胸に飛び込む。
「大丈夫? 酔ってる?」
「酔ってるけど大丈夫」
「ひかりさん何かあったの? 外飲み、ていうか路上飲みに誘うなんて」
「旦那が会社辞めるんだって。一人で家庭を支えていくのが怖いって、不安がってて」
「それは、怖いだろうし、不安だろうね」
「私たちは水商売だからね。年収倍になったり半減したりがデフォだし」
「え、何で辞めるの?」
「自分の仕事に疑問を抱いたみたいだよ。もともと本意じゃない仕事ではあったみたいで、コロナが改めて考えるきっかけになったんじゃないかな」
「でも、子供も小さいんでしょ? 無責任じゃない?」
「無責任じゃないよ。自分の人生、生き方に疑問を抱いて立ち止まることの何が無責任なの」
「でもそのぶん、責任がひかりさんにのし掛かるわけでしょ。責任放棄とは言わないけど、後のことも決めずに仕事辞めるなんて、大人としてどうなのかな」
「じゃあ、蒼葉は私がしばらく書きたくないとか、スランプになったとかで、お金稼げなくなったら大人としてどうなんだって責めるの?」
「それはちょっと違うくない? 志絵ちゃんの仕事は脳死でできる仕事じゃないじゃん。そりゃ、書けない時とか、乗らない時はあるでしょ。それに、もし志絵ちゃんがそうなった時には支えられるように、自分も稼げるようになろうって思ってるよ」
「じゃあ、蒼葉が仕事に意欲を持てなくなった時は? 無理して脳死で働き続けるの? 死ぬまで?」
「転職とかは考えるかもしれないけど、完全に仕事辞めちゃうってことはないんじゃないかな。負担かけたら志絵ちゃんに申し訳ないし、自分も仕事なかったら不安だし」
「頼っていいんだよ。私はまだ大学生の蒼葉と付き合ってきた。蒼葉が一銭も稼いでない状態でも大丈夫だった。親に対してだって学費払ってもらって申し訳ないなんて思わないでしょ?」
「思うよ。自立してないことも、親の庇護下にあることも辛い。誰かに頼るより、志絵ちゃんの支えになりたい。嫌な仕事とか受けなくていい状態を作りたいし、好きな時に好きなだけ仕事をすればいいって状態にさせてあげたい」
「私も同じ気持ちだよ。蒼葉に無理して欲しくない。嫌な仕事して欲しくない。蒼葉のやりたいことを何でも応援したい」
「まあ、そんなにやりたいことはないんだけどね」
「じゃあやりたくないことの中で一番マシなことを応援したい」
「内定カードが出揃ったら、色んな方向から一番ましなものを選んでいくよ。ねえ志絵ちゃん今日花園神社にいなかった?」
「いたよ。花園神社で落ち合って、ずっと飲んでた。結構路上飲みしてる人たちいたよ」
 何でラブホ街の辺りにいるんだろうって、GPS見て心配してたんだよと蒼葉が眉間に皺を寄せて言うから、何言ってんのと私は彼の腕を叩く。ひかりと浮気よりは和香と浮気の方があり得ると思うよと言うと、いやそうじゃなくて嘘つかれてるのかと思ったってことだよと蒼葉は私を抱きしめた。自分は最低な人間だ。実際のところ、私が今日口にした言葉のほとんどは偽善だ。それでも、嘘はつかなかった。いつもそういうずるいやり方で、私は無理やり自己正当化しているのかもしれない。
 お水飲む? 白くまあるけど食べる? 歯磨きは? メイクは落とさないの? でもこうして蒼葉に気にかけてもらうと、そこには何らかの意味があるような気がして、だから私は彼といるとホッとするのだ。白くま食べたいけどあずきは食べたくないからあずきは蒼葉が食べてと言うと、彼ははいはいと言いながら白くまを持ってきてくれる。シロップのところが食べたいと言うと、シロップが出てくるところまで食べ進めてくれる。でもそんな彼を傷つける存在を許せないというのは事実で、それは理子に対しても思う強烈な気持ちで、でも彼も理子も私の力がなくとも傷つける存在にそれなりに対処できるだろうというのも事実だ。そしていつか頼られた時、結局私は大して彼らの力にはなれないのかもしれない。ぼんやりと白くまをスプーンで削る蒼葉を見ながら、理想ばかりで現実には空回りしてばかりの白くまを想像して、ちょっと笑った。

illustration maegamimami

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金原ひとみ(かねはら・ひとみ)
1983年、東京都出身。2003年『蛇にピアス』ですばる文学賞。翌年、同作で芥川賞を受賞。2010年『トリップ・トラップ』で織田作之助賞受賞。2012年『マザーズ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。著書に『アッシュベイビー』『AMEBIC』『オートフィクション』『アタラクシア』『パリの砂漠、東京の蜃気楼』『fishy』 等がある。『SPUR』にて「ミーツ・ザ・ワールド」連載中。

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