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パーラー系とパティスリー系 |斧屋「パフェが一番エラい。」第7話

 パフェの分類の仕方はいろいろである。
 パフェの中身で分ければ、フルーツパフェ、チョコレートパフェ、抹茶パフェのようになるだろう。
 しかし、パフェビギナーには主たる2つの思想による分類を知っていてほしい。それを「フルーツパーラー系」、「パティスリー系」と私は呼んでいる。

 フルーツパーラー系の考え方は至ってシンプルである。
 フルーツの魅力を最大限に引き出し、フルーツをおいしく食べてもらいたい。これに尽きる。
 したがって、フルーツパーラー系のパフェの特徴は以下のようになる。

 果肉は基本的に生(フレッシュ)の状態で使用し、大きくカットする傾向にある。そして、皮や種など、食べられない部分をパフェとして盛り付けることにあまりためらいがない。
 パフェの構成はシンプルで、果肉以外の素材は多くは入れず、アイスやジュレ(ゼリー)などもその果物を使用したものとなりやすい。歯ごたえのある食感素材はフルーツの風味を消してしまうことがあるため、ほとんど入らない。
 まさに、フルーツのフルーツとしての魅力を味わわせるためだけにパフェが作られている。

 この典型例として、果実園リーベルを挙げておこう。果肉があふれんばかりにグラス上でひしめき合い、おのれの生命力を誇示している(人が盛り付けたのではない。果実自らが舞い踊っているのだ)。ただただ果物の元気感がみなぎるいさぎよいパフェである。

 一方、パティスリー系はそれと対照的な傾向を持つ。
 パティスリー系は、スイーツとしての完成度や調和を重視し、洋菓子の技術を駆使しながら、素材と素材のマリアージュを楽しませることを主眼とするパフェである。焼き菓子やハーブやスパイスなども使用しながら、香りや食感も豊かな、複雑な構成をとる。
 したがって、それぞれの素材は小さく、口の中に一緒に入るように計算されて作られる。フルーツ果肉が入る場合でも一口サイズ以下にカットされることが多い。また、フルーツを生で使用することにこだわらず、おいしく食べるための手段として調理を施す。甘く煮たり、キャラメリゼしたり、ワインでコンポートしたり。おいしい果物を使うというよりも、果物をおいしく使うという発想が強くなる。

 もう一度確認すると、フルーツパーラー系はフルーツを目的としたパフェである。フルーツをおいしく食べてもらうために、パフェという手段をとる。
 パティスリー系においては、フルーツは手段となる。フルーツはおいしいパフェを表現する一つの材料にすぎない。

 これをドラマでたとえてみると、フルーツパーラー系は、主役を演じる役者のキャラクターに合わせて脚本を「あて書き」する作品である(※注1)。一方パティスリー系は、脚本家のシナリオが主となり、それに合わせて役者が演じていく。
 強烈な役者の個性によって物語を駆動させていく前者か、緻密なシナリオによって魅了する後者か。あなたはどっち派だろうか。


※注1:わかる人だけわかってくれればよいが、最も典型的な事例は「アイドル映画」である。『セーラー服と機関銃』を見よ。

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▲フルーツの、好きにさせる。果実園リーベルの「果実園フルーツパルフェ」

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斧屋(おのや)
パフェ評論家、ライター。東京大学文学部卒業。パフェの魅力を多くの人に伝えるために、雑誌やラジオ、トークイベント、時々テレビなどで活動中。著書に『東京パフェ学』(文化出版局)、『パフェ本』(小学館)がある。
Twitter @onoyax

※この記事は、2020年1月23日にホーム社の読み物サイトHBで公開したものです。

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