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第14話 ゾンビが消えた街のガウディとマルゲリータ|金原ひとみ「デクリネゾン 」

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「何時に着くの?」「あごめんちょっと友達と遊んでて遅くなった」「今どこ?」「しんじゅくくらい?」「遅れるなら連絡してよ」「ごめん」「先食べてるよ」「おけー」。理子とのやり取りを終えると、ちょうどテーブルに置かれたビールに手を伸ばし吾郎と乾杯する。誕生日のお祝いはイタリアンに行きたいと言うから、わざわざいくつか候補を挙げてやり、理子が選んだ窯焼きピザの店を予約したというのに、予約時間を十分過ぎて連絡したらこれだった。
「理子は本当に、適当な素質がある子だね」
「まあ、俺も志絵も絶対に待ち合わせに遅れないタイプじゃないしね」
「九時には閉店しちゃうのに」
「話し足りなかったら家に寄れば?」
 別に理子はそんなに話したいわけじゃないだろうしなとか、蒼葉が嫌がるんじゃないかとか保守的なことを考え、うーんと口をへの字にしながらメニューに目を通す。ピザ二枚とパスタ二つとかでいいんじゃないと食べ物をガソリンとしか思っていない吾郎は、内容はどうでもいいから早く胃に何かを入れたいという欲望を隠さない。じゃあカンパチのカルパッチョ、温野菜サラダ、ロースト肉三種盛り、水牛モッツァレラのマルゲリータとワタリガニのトマトクリームパスタとかでどう? 自分の言葉を無視した私の提案に吾郎はいいよと窓枠に飾られたサグラダ・ファミリアのペーパークラフトをじっと見つめたまま言う。ここに座った瞬間、イタリアンなのにと私も思っていた。いま何を提案したか繰り返せと言ったら、吾郎はマルゲリータくらいしか反復できないだろうと思いながら、私は店員に手を挙げる。
「ねえ、理子何か言ってた? 私の結婚のこと」
「ママ結婚するらしいよって報告してきたけど、特に何も言ってなかったと思うよ。何で?」
「何か、よく分からなかったんだよね。何考えてるのか。嬉しそうってわけでも、悲しそうってわけでもなくて、ふうんって感じで、その後もLINEとかでも普通に普通で」
「嬉しくも悲しくもないんじゃないの? 志絵には志絵の幸せがあるって分かってるだろうし、でもかと言って積極的に喜ぶような出来事でもないって感じなんじゃない?」
 そんなもんかと呟くと、そんなもんだよ、と吾郎は眉を上げる。理子が出て行って、一年が経つ。少しずつ、私は理子の実態というか、彼女がどんな存在だったか、私にとってではなく客観的にもどういう存在なのか分からなくなっていた。私の結婚の話を聞いても友達の親が再婚したと聞いているかのような態度でへえと軽く驚いた風な態度をとりつつロクに感想や疑問すら洩らさない理子が、どう捉えるべき存在なのか判然としないのだ。
「結婚生活はどうなの?」
「まあ、もう一年一緒に暮らしてるからね。そんなに変わらないよ」
「まあそうか。何でこのタイミングだったの? 一緒に暮らし始めてすぐするのかと思ってたらしなかったから、しばらくしないのかと思ってたらしたって言うから、何かきっかけがあったのかなって思ってたんだよ」
「よく分からないけど、何か今かなってなって。結婚したいってなって、婚姻届書いて、書いた翌日にちょうど旺志社の打ち合わせがあったから、編集長と担当に証人欄書いてもらって。二人とも印鑑持ってないって言うから、持って帰ってもらって送り返してもらったんだけど、そしたらそれが届いた日、私ちょうどマツエクの予約入れてて、そのマツエクサロンが区役所の斜向かいにあるサロンで。だから、マツエク後に出しに行った」
「なんかアメリカ人がドライブスルー結婚式挙げるみたいなノリだな」
 そんなんじゃないよと私は顔を顰める。でも、結婚しようかなと思ってから一度も邪魔が入らず、階段にトランポリンが設置されているかのように軽い力を加えただけでグイングインとステージが上がっていくことに快感を抱いていたことも確かだ。その快感は蒼葉も同じだったのか、普段は買い食い的なことをしない蒼葉が、帰り道珍しく「ミスド買ってかない?」と指差して提案したのだ。ミスドよりもいいもの買おうと彼の手を引き、デパ地下でスルメキムチとヤンニョムチキン、牡蠣の佃煮とうなぎの白焼きとう巻き、パクチーサラダとナシゴレンとトムヤムクン、普段だったら絶対に並ばないけど今日並ばなかったら一生並ばないよと蒼葉をけしかけて、バレンタインデーの頃Twitterで流れてきてずっともやっと気になっていたジャン=ポール・エヴァンのボンボンショコラ詰め合わせを、そしてネットで買えばもっと安いのになと思いつつシャンパンを一本買って帰った。二度目の緊急事態宣言下で結婚初日を迎えた私たちは、そんなデパ地下の食料でお祝いをして、酔っぱらった私は結婚したら安心できるって言ってたけど、結婚したところで安心なんてできないんだよと蒼葉にくだを巻き、そうだね、明日から安心できる気は全然しないねと彼も同意した。それでも一緒にお風呂に入って歯磨きをしてベッドに入ってセックスをして腕枕をされたまま彼に抱きついていると、どうして自分はこんなに不安なんだろうと不思議になった。そして終いにはこれまで二度の離婚を経ていることすら不思議になった。

「理子は、感情表現があっさりしてるけど、志絵のことが好きだと思うよ。別に、彼氏、じゃないや旦那のことも嫌いじゃないと思う」
「それならいいんだけど」
 そこに続く懸念を口にしようとした瞬間、店の入り口に理子の姿が見えて私は手を上げる。ごめーんと満面の笑みで言う理子に隣の席を叩いて座らせると、良かったまだカルパッチョと温野菜しかきてないよと肩を抱く。
「誕生日おめでとう」
「もう過ぎてるし!」
 こんなだったのにねと両手でボンレスハムを両端から掴むような仕草をすると理子はママいつもそれ言うーと嫌そうな顔をする。大きめのボンレスハムが私とそんなに変わらない大きさになったのだから、すごい話だし、この世に生きる全ての人がボンレスハムだったのだと思うとそれもまたすごい話だと思う。
「あ、この間身体測定だったんだけど、百五十八センチだったよ。去年から五センチ伸びてた」
「じゃあ来年には私と同じくらいかな」
「どうかなーそこまでいけるかな」
 ただただ、私は理子が大好きだった。蒼葉とも元夫や元彼とも違う、より直球な好きだ。腹の中で育てたとか、自分の股から出てきたというだけでは説明がつかない好きがそこにあって、未だ私はその好きな気持ちをどうカテゴライズして、どんな名前を付けたらいいのか分からない。彼女を見ているだけで胸が躍る。幸せな気持ちになる。未来について考えてもいいという気持ちになる。そういう存在だ。そしてそんな存在が近くにいることで、私は少なからず苦しんでもきた。胸を躍らせたくない時、幸せな気持ちになりたくない時、未来を考えたくない時、彼女の存在が辛かった。物心がつき、その軽やかな性質を露わにし始めた頃から、彼女はポジティブの象徴として私の中に君臨し続けていたのだ。そして同時に、彼女が関与できない、私に残された分野が、仕事と恋愛だったとも言える。行哉と付き合いながらこの人と理子を同居させるわけにはいかないと考えていたように、完全に理子を抜きに考えていたわけではなかったけれど、それでも恋愛感情は我が子とは全く別次元で動き続けた。私にとって恋愛が重要なファクターだったのは、そういう意味もあったのかもしれない。
 うわーこれもこれもめっちゃ美味しい、ねえ私オイル系のパスタも食べたいんだけど注文してもいい? ねえママこの中で私が好きなのどれだと思う? ていうかこの温野菜のソースヤバい何これ止まらないんだけど、はしゃいでいる理子は、私がこれまで見てきた食事の中で一番食べたんじゃないかと思うほどよく食べた。理子は散々野菜や肉やピザを食べたあと私が勧めた生ハムとそら豆のアーリオオーリオをほとんど一人で食べきり、最後にバニラのジェラートを食べた。いつもアイスを選ぶ時バニラを選ぶ理子が、今日も変わらずバニラを頼んだことにどこかホッとしている自分がいて、そんな自分に嫌気がさす。私は娘の変化を恐れ過ぎている。変わらない訳がないし、この子はまだまだ変わらなければならないのだ。それでも私は、彼女が私のそばではなく、もう一人の親のそばで変化を遂げていくことに戸惑っていた。
「ママ家寄るよね?」
 そろそろお会計をと店員が伝票を持ってくると、理子が振り返って聞いた。寄って行ってもいいよと言いながら、理子の髪を撫でる。プレゼントもあるしねと微笑むと、理子は唇の両端を上げて「何だろう!」と目を輝かせた。彼女のこういう、乖離のないところが好きだ。絶対に演技ではないと信じられる喜び方をするところが好きだ。まるで私は、娘の誕生日に自分が彼女を好きなことを再確認しているようで、そんな再確認をして胸を熱くしている私は、彼女とは正反対で、極端に嘘っぽい存在だと思う。
 吾郎の家というよりも、もはや吾郎と理子の家となったマンションに寄ると、私は理子にレモパワの新作グッズのパジャマとパーカーをプレゼントして喜ばれる。注文したあと、最近理子からレモパワの話を聞いていないことを思い出して、もしかしたらもうそんなに好きじゃないのかもしれないと心配していたから、ホッとしていた。強烈な充足感の中、理子が早くこのパジャマ着たいからシャワー浴びるねと言うからそろそろ帰ろうかと思うけれど、出るまでママいるよねと確認され、ついいるよと答える。吾郎と日本酒を飲みながら、誰々がコロナにかかったとか、私もこの間なんか体調悪くて抗原検査受けてみたよとか、麦田さんが発熱黙って会社に出続けて部署が総コロナ状態になったらしいよ、などのコロナ話をしながら、豆に粉っぽいチェダーチーズがコーティングしてある不思議な味わいのつまみを齧る。
「ねえママドライヤーしてくれない?」
 こんな状況でありながら、こんなにもナチュラルに甘えられる理子に感動して、私はタオルドライをして、トリートメントオイルを塗り込み、ドライヤーを当ててやる。「人に乾かしてもらうのって気持ちいいよね」「ママって根本から風当てるんだね」「美容室みたい」。彼女の言葉を聞き逃したくなくて、私は彼女が話すたび少し顔を寄せる。私も乾かしてもらうの好き、一番乾きにくいのが根本だからね、最近美容室行ってないんじゃない? 彼女が聞き取りやすいように、少し大きな声で答える。予想外な、こんな幸せな時間をもらえたことが、私へのプレゼントだった。そんな感傷に浸っている自分が嫌になる。
「ねえ理子、まだ私と一緒に住む気はない?」
 ドライヤーを止めて、何と答えがきても動揺しないようコードを綺麗に結ぶことに集中しながらそう言うと、「うーん」と理子が唸り、「まだここがいいかな」と続けた。
「毎日は無理かもしれないけど、できる日はドライヤーしてあげるよ」
「大丈夫。私シャンプーもドライヤーも上手くなったんだよ」
「そっか。でも、いつでも帰ってきてね。私はずっと理子のそばにいたいことを忘れないで」
「ありがとうだけどちょっと怖い」
 理子は顔を歪めて笑い、私も力なく笑った。じゃあねと二人に手を振って玄関のドアをくぐって、エレベーターに乗って、エントランスのドアの外に出ると、切り離された、という思いに支配されて涙が出た。仕事とか蒼葉とか、生活とかお金とか、ご飯とか化粧とか小説とか映画とか、そういう私を取り巻く全てのものものがどこか遠いところにすっ飛んで、理子と切り離されたという事実だけが私の中の百パーセントを占めて、私を圧倒していた。

 新宿三丁目の交差点で、立ち止まる。伊勢丹に寄りかかり、スマホのロックを解くとHippopotamiのアルバムを停止させ、ドロップスの新譜の一曲目をタップする。先週配信開始されたばかりのアルバムはいつもよりスローテンポな曲が多く、あんまり気分じゃないなと一周して以降聴いていなかったけれど、ふと今のこの街にぴったりな気がしたのだ。第三波だか四波だかがきている東京の街にはそれでも人が溢れ、一年前の緊急事態宣言の頃を思うと、人々がまるで危機感を喪失していることがよく分かる。あの頃、ほとんど人のいない新宿の街を見て、ゾンビ映画のゾンビ集団に見つかる直前のがらんとした街みたいだと思ったのを覚えている。人々はもはや、あんな世界には生きていない。結局のところ、人は恒常的に強い緊張や危機感を抱き続けると、その緊張や危機感をも日常として処理していくようになるのだ。それは人類の絶望でもあり、希望でもある。
 この曲をライブで聞いてみたい。ドロップスの新譜三曲目を聴きながら思って、スマホを持ち上げてタイトルを確認する。去年の秋、十一月頃だっただろうか。新規感染者数が落ち着いていた頃に、一年ぶりにライブハウスで観たドロップスの姿が蘇る。十ヶ月ぶりのライブだと、彼らも話していた。彼らが出る予定だった年末のフェスのチケットも取っていたけれど、感染者増加のため三日開催の予定だったそのフェスは中止になった。アルバムツアーはやらないのだろうかと、Twitterでドロップスの公式アカウントを見てみるけれど、アルバム情報やインタビュー記事しか出てこなかった。TLに戻ると、先月六本木に観に行った、東名阪を三バンドで回っていたHippopotami主催のツアーのファイナルが、大阪の感染者増大のため中止になったというツイートが流れていた。来月に控えた音楽フェスが開催されるのかどうか、まん延防止等重点措置が関東にも適用されようとしている今、また払い戻しになるのではないかと不安が尽きない。
「志絵」
 イヤホンの向こうから聞こえた声に振り返ると、蒼葉がスーツ姿で立っている。リモート面接でも着ているから見慣れたけれど、外で見る蒼葉のスーツ姿は、何だかいつもよりも大人っぽく見えた。一緒に住み始める前は、よくここで待ち合わせをした。それこそ、付き合い始める前なんかは新宿以外の街にはなかなか繰り出さなかった。まだよく知らない男と待ち合わせる時の、足元がそわそわする感覚を思い出す。
「どうだった?」
「うーん、分かんないな」
 彼はいつも分からないと言う。分からないわけないじゃんと思うけれど、私も大抵人と会う仕事の時、特に対談やトークショーの時などは、うまくいったのかどうかさっぱり分からない。そして大抵文字起こしや原稿を見て落胆するのだ。そっかと、イヤホンの電源を切って手を繋ぎ、信号を待つ。
「お昼早かったし、お腹空いたでしょ。ご飯何がいい?」
「何でもいいよ。あ、あの串カツ屋行かない?」
「いいね。あそこずっと行きたいと思ってたの」
 五時半には面接が終わる予定だと聞いていたため、六時頃にはお店に入れるかなと久しぶりの外食に行こうと盛り上がっていた。まだ時短要請が出ている東京では、ほとんどのお店が九時に閉まる。新宿三丁目をうろつく私たちも含めた人々は、残された三時間という僅かな時間を余すことなく楽しむために、エンターテイメントを求めてうじゃうじゃと彷徨うゾンビのようだ。予約のできない串カツ屋には、今も普通に待っている人がいて、それでも五組程度だったからウェイティングリストに名前を書き込むことにした。
「俺はもう、天野なんだよな」
 ボールペンを置いた蒼葉がしみじみと言って、思わず笑う。
「寂しい?」
「寂しくはないけど、不思議な気分だよね。名前が変わるって。面接でもさ、天野さんって呼ばれるじゃん。当たり前だけど。そうするとなんか、俺の好きな人の名前が呼ばれたなって思うんだよ。俺の好きな人と同じ名前が呼ばれたって。でも今は好きな人と同じ名前が、俺の名前なんだよ。不思議じゃない?」
 結婚前から仕事をしていた人は、結婚しても旧姓で仕事をし続ける人が多い。作家も編集者も基本結婚しても仕事上で名字を変えることはないから、大抵何という名字に変わったのか分からないし、何になったのか聞いてもその後聞くことがないから大抵忘れてしまう。でも蒼葉は、就職時に名前が変わっているから、これから社会生活を天野姓で過ごすのだ。それは、私が経てきた名字の変化とは、少し違うような気もする。でも、どんなに保守派が反対してもグローバル社会の抗えない流れとして遅かれ早かれ夫婦別姓が導入されるはずで、そうなったら昔はどちらかの名字に統一しなければならなかったんだよと子供や孫に語る時代になるのだろう。
 大きなコの字カウンターが二つあるその店は、お客さん六人くらいにつき一人料理人がついて目の前で揚げてくれるスタイルで、アラカルトで頼まなければお任せで一本ずつ串揚げが提供される。ヤングコーン、白子、うずらの卵、牛肉、しそ巻きエビ、ニンニク、アスパラガスの肉巻き、カマンベールチーズ、レンコン、子持ち昆布、フグと葱。それぞれ、出汁醤油で、ソースで、塩で、レモンで、カレー塩で、山椒塩で、何も付けずに、とおすすめの食べ方を教えてくれる。ものによってはマヨネーズ系やおろし系の特製ソースをかけた状態で提供される。私は十本ちょっとで一旦ストップしてくださいとお願いし、飲みに徹しようと思ったものの蒼葉が食べ続けるメニューが気になって、「鴨とフォアグラ? それは一口欲しい」「あ、銀杏? 一つ食べたいな」「豚ヒレはさすがに一口食べないと」と次々手を伸ばし一口ずつもらっていく。
「それで、今日の松葉商事の結果はいつ出るの?」
「明日中に連絡しますって」
「ふうん。まだ四月なのに決まっちゃうのかな」
「決まるといいけど」
「決まっても、他の面接は受けるの?」
「まあ、滑り止め感覚のところは捨てるかな」
「そりゃそうか。松葉商事が第三志望くらいって感じ? だったら四以下は捨てるってこと?」
「いや、第六か七くらいまでは全部受けて、内定のカードが出そろった後にどれにするか決めるよ。まあ、内定が出なけりゃ全部受けるつもりだけどね」
「全部って、どれくらい?」
「松葉が早かったから、まだまだあるよ。今のところ十三くらいに絞ったけど、内定がなかなか出なかったらもっと増やすし」
「でももうテクニカに内定もらってるようなもんだよね?」
「もらってるようなもんだけど、あそこは俺の中では十番目くらいかな」
「年収的にってこと?」
「いや、あそこは就職したら最初の二年は販売員やらないといけないんだよ」
「そんなの、メーカーなら普通にあることなんじゃないの? まず末端、ていうか、一番現場が見える仕事をさせるっていうのが目的なんだろうし」
「でも、接客は自分には向いてないし。そこで実績出せなかったら使えない奴扱いされそうだし」
「出版社でも、新卒の編集者は雑誌、あるところは週刊誌とか過酷な部署に回されることが多かったみたいだし、新聞社でも最初は地方のサツ回りっていう最も泥臭い仕事に回されるのが今も普通だっていうよ」
「すごく嫌な話だな」
「嫌な話だけど、そういう殺伐とした世界を経験してる人を無条件に少し尊敬しちゃうところもあるんだよね。兵役を終えてるみたいなニュアンスで。もちろん、そこで身につけたがさつさ野蛮さを自分を強く見せる仮面として手放せなくなって、人に敬意を持てなくなるような人もいるけど、その世界を経験することである種の謙虚さを身につける人も多いから。もちろん編集者なんて特に、それぞれの適性を見て配属した方が会社にとっても社員にとってもプラスだろうし、新人しごきみたいで馬鹿げてるとは思うけどね」
「もちろんそれがいい経験になる人もいるんだろうけど、こっちはやりたいことやりたくて志望してるのに」
「まあ実際、現場を知るとかって偽善的だよね。ちらっと現場を見ただけで現場を知った気になってるようなやつほど害悪だったりもするし」
「そうだよ。二年販売員やったところで、マーケティングとか開発に活かせるとは思わないし。そんなの早く終わんないかなってやり過ごすだけの二年になるに決まってる」
「まあでも、二年なんてあっという間だよ。これから四十年くらい続いていく長い社会人生活の中の二年を販売員として過ごしてもいいような気もするけどね」
 二年は長いよ、あっという間なんてことない。いつも控えめに話す蒼葉が珍しく欧米人的なジェスチャーをして言った。時間の流れ方は人それぞれで、蒼葉が長いと言うなら、二年は蒼葉にとって長いのだろう。それは私にとって十年は長い、と思うのとほぼ同等の長さかもしれない。それは年齢的な意味でも違うし、時代的にも違うのだろう。無料コンテンツに溢れている今、人類はかつてなく自分の時間を搾取されることを警戒し、非効率を憎んですらいる。実際、私も印鑑文化や、人が何をしているかなどお構いなしに電話を掛けてくる人に苛立ちを抱えつつこの過渡期を生きている。
「まあ、とりあえず今はできることをやり切って、内定が出そろったところでどの部署に配属予定かとか、初任給とか、色んな条件照らし合わせて考えたらいいよ」
「そうだね。今はそれしかできないからね」
 就職活動をしながら、自分が品定めされているような不快感はないのだろうか、それとも、彼は品定めされても全くプライドが傷つかない人間なんだろうか。私は人生ゲームをするかのように淡々と就活を進めている蒼葉に、どことなく違和感を抱いていた。それでも、彼には絶対にやりたくないことがあって、そこは譲れないのだ。それはもしかしたら、最も守ってやらなければならない彼のナイーブさなのかもしれない。
「第一志望に就職できるけど、二年は販売員、しかも地方で、とか言われたらどうする?」
「それは、考えるな。もし第二志望に受かってて、そっちで普通に希望の部署にいけるなら、第二志望に行くかな」
「そっか。二年は長いか」
「二年は、ほとんど永遠だよ」
 永遠……。呟きながら、私も若い頃ほどしたくない仕事を引き受けられなかったのを思い出す。今でこそ割り切って報酬と仕事内容を足したものと、自分のプライドと苦手意識を足したものを天秤にかけて受ける受けないを決めているけれど、若い頃は依頼書や企画書を読んで一瞬でも「うざ」とか「は?」と思うところがあったら受けられなかった。それこそ、宛名を別の作家の名前にしたままの企画書をもらったりしたら、あっちに断られたからって安易に流用しやがってと、彼氏や友達にまじ無能かつ無礼な奴から企画書来たわとひけらかしこき下ろした挙句塩対応で断っていた。でも今は、前の人に断られて、期日が迫ってる中慌てて依頼してきたんだろうなくらいにしか思わない。どちらの方が健全かの判断は、その人の仕事経験、築いてきた人間関係、自分がどれくらいの精度を仕事に求めて来たかによって変わってくるだろう。人の直感を司っているのは大凡それまでの経験で、経験が浅ければ浅いほど分からないことが多いため、警戒心や疑心が募るのは当然のことなのだ。若い頃、間違った宛名で送られてきた依頼書を見ると、私は禍々しい物に触れたような気分になり、自分を貶め搾取しようとする悪魔に直面しているかのようなおぞましさを感じ、そのおぞましさを払拭するべく多くの人に送り主の無能さを触れ回りバカにすることで自分を保っていたけれど、名前の間違いなんて基本ただの怠慢、あるいは過労による「やらかし」なのだ。私だって、メールの宛名を間違えたり、別の人にメールを送信してしまったり、下書きを送ってしまったり、CCで来たメールで送信者だけに返そうと書いた返信を全員に送ってしまったり、色々やらかしてきたし、それは人間である以上ほぼ避けられないと言い切っても過言ではないミスなのだ。正確さというのは、現代に於いてはもはやコンピューターに担ってもらうべき分野で、人間が追求するべきはコンピューターに担えない、正確さなどとはかけ離れた分野なのではないかとも思う。むしろ最近はそういう人間らしいミスに触れると、「いとおかし」的な気分になる。
 私の作品やスタンスについて嘲笑する文章を書き最後に(笑)までつけた、他部署の関係者に送ろうとしたメールを間違えて私に送ってきた挙句平謝りしてきた編集者とだって、それ以来心から仲良くはできていないし心の奥底では軽蔑しているけれど、仕事上の付き合いは保っている。実際傷ついたし、当時結婚していた直人にメールを見せ、その編集者が如何に人生の目的も小説に対する理念も理想もなく変態性や欲望すらも枯れ果てたインポテンツとして無難な仕事をしながらリタイアに向かっていくだけの無能で凡庸な編集者であり、無根拠なプライドにしがみついているため最もタチの悪い老害予備軍でもあるかを説いたし、彼のようなクソプライドにしがみついた老害予備軍の中肉中背中年男性編集者を面白おかしく露悪的に描いた短編すら発表したけれど、作家仲間や編集者に彼の悪口を言ったことはない。彼のしでかしたことは同業者の中では語り継がれるくらいの失態で、暴露すれば彼の悪口で二時間くらい盛り上がることは間違いないものの、それはそれであのメールの、彼はほぼ無思考につけたのであろう(笑)に象徴される気色悪い中傷欲に迎合する行為に思えるのだ。彼へのディスは同業者から何度か聞いたことがあるけれど、そのたび「あのメールの話をしたい! 絶対盛り上がる!」という欲望を押しとどめてきたのは、私をいたく傷つけ脳裏に焼き付いている(笑)の存在だったとも言える。
「なんか、変なこと思い出しちゃった」
 笑いながら言うと、何なにと蒼葉は聞いたけれど、いやほんとどうでもいいこと、と私は日本酒を飲み干した。メールの内容を話したら、二年が永遠に感じられる蒼葉は、やっぱり気分を害すかもしれなかった。それはそれで尊い感覚だし、できるだけ長く失わないでもらいたいものでもあった。
「今日ホテル行かない?」
「え、これから?」
「最終面接から結果が出るまでの緊張する時間て、家で過ごすよりホテルで過ごした方が楽しく過ごせるんじゃないかな」
 じゃあ行こうか。蒼葉はカウンターの上で私の手を握り頷く。九時過ぎの街は、まさに今時短営業の店から追い出された客たちが帰路につき始めていて、三時間前よりも多く見えるほどだった。深夜まで飲んで、もうやってるお店ないねなんて言い合いながらラブホに雪崩るカップルはこの一年、前年比何パーセント減しただろう。既婚者になって初めてのラブホだなと独り言ちる蒼葉にウケながら、まだ全く既婚者には見えない彼を見上げる。蒼葉が就職したら、平日にラブホに泊まるなんて機会はほとんどなくなるのかもしれない。これまでが、モラトリアム過ぎたのだ。思えば私が付き合った学生は蒼葉と、中学の先輩だった初めての彼氏だけだった。初めての彼と別れてからずっと、フリーターや売れないアーティストなんかもいたけれど、一応自分で生計をたてている人と付き合ってきた。彼がこれから自分で生計を立てていくこと、どこかの企業の会社員となり、事業やイベントや契約の成功を志したり、自社の製品を売ったり宣伝したりすることをライフワークにしていくのだという事実に、私はそれなりにナーバスになりつつ、楽しみにもしていることに気がついた。
「今日はちょっといい部屋に泊まろう」
「いいよ普通の部屋で」
「内定前夜だよ?」
「内定するかもしれない前夜だよ」
「本当に手応え全然分からないの?」
「うーん、どうだろ。悪くはなかったと思うよ。まあ来週はユニティの最終もあるし、一喜一憂せずに頑張るよ」
 とことん調子に乗らない奴だ。私は感心しながらコンビニに寄ってつまみとグミとお酒を買い、ホテル街に向かった。看板を眺めながら滞在時間を長めに設定しているホテルが多いことに気づく。この状況では何か色をつけないと、お客さんが入らないのかもしれない。それでも昔よく通っていたホテルに入るとまだ時間も早いのに空室は五室だけで、蒼葉はこの部屋行ったことあるよねとボタンを押す。冒険をしたくない彼の性格に笑いながら、マジックミラーの受け付けに向かう。チェックアウトは十三時ですという言葉に驚いて「十三時って言いました?」と聞くと「十三時です」と繰り返された。
「すごいね。滞在時間十六時間とかになるよね?」
 言いながら、エレベーター前に並べられたシャンプーリンスの中からマシそうなものを選び取る。時間持て余しちゃうかもねと蒼葉は笑って、エレベーターのボタンを押す。
「ラブホのVODには志絵ちゃんの見たいもの入ってないだろうしな」
「まあ明日の朝外に朝ごはんとか食べに行ってもいいよね。スマホでネトフリ見てもいいし。ほら、この間見始めた裁判もののドラマの続きとか」
「ここから二十分の家に帰れば大きな画面でネトフリが見れるのに」
 そういうこと言わないでよ蒼葉はどうしていつもそんなに後ろ向きなの? ここはエンターテイメントパークだよ? と蒼葉を小突きながら部屋に入る。ベッドの周辺だけ十五センチほど床が高くなっていて、丸いお風呂場の壁がガラスモザイクでできていて部屋からも透けて見える、特徴的な部屋だった。この部屋前に入ったのって、付き合い始めの頃かもねと言うと、この部屋に泊まったのはマスタングスのライブ後に歌舞伎町の居酒屋に寄った後だから、一昨年の六月くらいかなと蒼葉は当然のような顔で記憶力をひけらかして、気持ちわるっ、と私は笑った。
 やっぱりVODのラインナップを見てロクな映画がないことを確認すると、YouTubeでHippopotamiのプレイリストを流すけれど、何曲か流れると何故か途中で止まってしまうYouTubeに嫌気が差して、結局スマホでSpotifyを流す。この部屋が懐かしいという話から、最初に行ったラブホってどこだった? という話になったけれど、二人してスマホの地図を見ながらここだよ、いや違うもっとホテル街の始めの方だった、いや違うこの二軒並びのホテルのどっちかに入ったのは覚えてる、そんな変な名前のラブホだったかな? と互いの記憶が食い違って結局答えは出なかった。
「あの時、蒼葉は本当に何にもする気なかったの?」
「なかったよ。二人でいられるだけで嬉しかったし」
 なんか、新人類って感じがするねと私は蒼葉の胸の上に頭を載せたまま、横をむいて彼と目を合わせる。彼が笑って、私の頭が少し揺れる。いつも寝ているベッドはセミダブルで、特に狭いと思ったことはないけれど、キングサイズのベッドは二人でT字になって寝てもどこもはみ出さない。
「ホテルに入ってもセックスをしようと思わない男がこの世に本当に存在するとは思わなかった」
「いやもう、恐れ多くて」
「何それ」
「志絵ちゃんと一緒にいるだけで、精一杯だったから」
「そう考えたら今は随分余裕綽綽になったね」
「まあ、一応これでも夫ですから」
 夫でも、余裕綽綽にはならないでと言うと、余裕綽綽なんてことはないよと彼は私の頭を撫でる。初めてホテルに入った時、私たちは初めてキスをして、彼はブラのホックを外して胸を触ったけれどそれ以上のことはしなかった。しないのと聞くと、今はこれで精一杯、と蒼葉は余裕のなさを吐露した。あれから、それなりに長い時が過ぎた。あの時はいくら飲んで騒いで、朝までうろついてもいくらでもお店がやっていた。深夜三時まで飲んで、あまりの寝不足にカラオケ入って少し寝ない? と誘うと、蒼葉はホテルの方がよく眠れるんじゃない? と提案したのだ。あの時のあの二人の軽薄さも、今ではあの時代の象徴のように感じられる。同棲して、毎日一緒にご飯を食べ、結婚もしたから、なんとなく紛れていた「あの頃」への喪失感が今湧き上がっていく。私たちが出会ったのがあと一年か二年遅かったら、私たちはラブホに行ったりせずご飯を食べて早めに帰るという健全な関係を続け、そのうちどちらかが別の人とストンとセックスして付き合うことになったりして、結局この関係は発展しなかった可能性もある。そう思うと、一度目の離婚や二度目の離婚、行哉との付き合いや別れ、蒼葉との出会い、コロナ禍での同棲、結婚も、ゆらゆらするタワーに人を乗せていき倒した人が負けというバランスゲームのように、一つ一つの小さな決定によって倒れたり、ぎりぎり倒れなかったり、こっちに倒れるかと思ったら逆側に倒れたりする、力加減一つで大きな変換を迎えてきたのだと感じる。
「お風呂入る?」
「入る。泡風呂にしよう」
「泡風呂にしても志絵ちゃんがお風呂めんどくさいなあって後回しにするからいつも泡消えちゃうんだよ。お湯が張れたらすぐに入る?」
「それは分からない」
「じゃあ、ちょっとドラマとか見てから入る?」
「そしたら眠くなっちゃうかも」
「じゃあお湯張っておこう。泡が消えてもいい?」
「泡が消えたらもう一袋入れてジャグジーで泡立たせよう」
 それでもなんだかんだで、私たちはいずれ寝て、こうなっていたような気もする。私たちはそれからネトフリとアマプラでドラマを三話分と映画一本を見てからお風呂に入って、セックスをした後またドラマを二話分見て眠りについた。

 はい……来週ですね、分かりました。ありがとうございます。失礼します。
 目を覚ましてすぐ、煙草臭いことに気が付いて、次にシーツがいつもより硬いことに気付いて、ようやくホテルにいるのだと気付いた。うーんと顔を顰めると、裸のまま上体を起こしていた蒼葉が私の髪を撫でる。
「内定出たよ」
 内定? うっすらとしか開かない目を向けると、蒼葉はスマホを指して「内定」と繰り返した。まじか。そうか内定か。内定……。何だかよく分からない初めてのタイプの喜びが胸に広がって、隣に横になった蒼葉にかけ布団をかけてやるとぎゅっと抱きつく。
「おめでとう」
「ありがとう。入るかは分かんないけど、ひとまずヒモは回避した」
「素晴らしいな。ほんと、素晴らしい子だな君は」
 私はなんだか、蒼葉が世界に祝福されているような気がして、胸の中に巨大な迷路のようなイギリス風庭園が出来上がり、一面太陽光でキラキラと照らされているような満足感を抱いていた。世界の全てを祝福したかった。
「今日は内定祝いパーティしよう」
「内定のたびにお祝いしてたらしょっちゅうパーティになっちゃうかもよ」
「強気だな」
 吹き出して言うと、多分俺内定もっと出るよと最初の内定で自信をつけたのか本当に強気なことを言う。
「いっぱい内定もらっていっぱいパーティしよ」
 就職したら、嫌な上司に当たることもあるだろうし、望んでいない異動なんかもあるだろうし、有休取れないとか残業多いとか理不尽なこともあるだろうし、無駄な飲み会とか接待に付き合わされることもあるだろうし、就職なんてむしろ悲劇的なイベントなのかもしれないけれど、それでも今は全てに陽が差していた。ホッとしてもいた。蒼葉を世界中に自慢したい気分だった。おめでとう。言いながら蒼葉の腕枕の中で目を閉じると、まぶたの隙間から涙が流れた。まだ酔っているのかもしれなかった。腕に涙を感じたのか、指先で私の目元を拭うとどうしたのと蒼葉は覗き込む。
「分かんない。なんか嬉しくて」
 そっかと言いながら、蒼葉は腕の力を強める。そうして私たちは二度寝をして、時間を持て余すかもと話していたのに、チェックアウト時間を一時間延長してホテルを出ることになった。家に帰ると蒼葉はやっぱり家はいいなとソファに飛び込み、その日の夜はウーバーイーツでケンタッキーをとってフライドチキンパーティをした。ちょっと締め切りがやばいからと私は明け方まで仕事をしたけれど、セミダブルのベッドに潜り込んだら蒼葉は無意識のまま食虫植物のようにしっかりと私を抱きしめた。昼前目を覚ますともう蒼葉がいなかった代わりに、ツルが当たって痛いなと思いながらもう力がなく外せなかった眼鏡がベッド脇のチェストに置いてあった。どこか現実が信じられない思いのまま寝室を出ると、お昼何食べる? とソファに横になってスマホでサッカーを見ていた蒼葉が上体を起こして聞いた。幸福感にひざまずいてしまいそうになるのを、テーブルに手をついて辛うじて堪えながら、昨日の残りのフライドチキン挟んでサンドイッチにでもする? と提案すると、いいねレタスと玉ねぎ挟もう、トマトもあったっけ? と蒼葉はニコニコしながら言う。まるで、自分に起こり得た別世界の夢を見ているような、別世界の自分が今の自分をどこかから見つめているような気がして、私は天を仰いだ。

illustration maegamimami

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金原ひとみ(かねはら・ひとみ)
1983年、東京都出身。2003年『蛇にピアス』ですばる文学賞。翌年、同作で芥川賞を受賞。2010年『トリップ・トラップ』で織田作之助賞受賞。2012年『マザーズ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。著書に『アッシュベイビー』『AMEBIC』『オートフィクション』『アタラクシア』『パリの砂漠、東京の蜃気楼』『fishy』 等がある。『SPUR』にて「ミーツ・ザ・ワールド」連載中。

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