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Author Talks

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作家のインタビュー、対談、書店トークイベントなどをお届けします。著者の新刊の話を中心に、テーマやゲストは多岐にわたります。
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#オーサートーク

斎藤文彦×プチ鹿島×堀江ガンツ「ブロディを考えることは、プロレスを考えることである」前編

斎藤文彦×プチ鹿島『プロレス社会学のススメ』刊行記念トーク 「プロレスを語ることは今の時代を語ることである」というキャッチコピーで『プロレス社会学のススメ コロナ時代を読み解くヒント』が、昨年末に刊行されました。本書の発売を記念し、共著者であるプロレスライターの斎藤文彦さん、時事芸人のプチ鹿島さん、そして本書の司会・構成者である堀江ガンツさんによるトークイベントが、年明けに開催されました。 社会の様々な事象を絡めてプロレスを語ってきた3人が、本書の内容を切り口にして改めて

斧屋×水野仁輔「いちご信仰、スパイス主役問題…終らない僕らの探究」-『パフェが一番エラい。』刊行記念対談【後編】

パフェ評論家・斧屋(おのや)さんとカレー研究家・水野仁輔さんの対談、最終回です。斧屋さんによるパフェ愛あふれる新刊『パフェが一番エラい。』を、水野さんはどう読んだのでしょうか。そして、それぞれが惚れ込むパフェとカレーの魅力を、時間の許すかぎりどこまでもディープに語り尽くします。 構成=編集部/撮影=山口真由子 『カレーが一番エラい。』でもいける!――パフェを堪能していただいたところで、水野さん、本書のゲラを読んだ感想はいかがですか? 水野 第一に、すごく僕の好みの本だなと

斧屋×水野仁輔「どう食べる? カレーとパフェ」-『パフェが一番エラい。』刊行記念対談【中編】

単行本『パフェが一番エラい。』刊行を記念してお届けする、パフェ評論家・斧屋(おのや)さんとカレー研究家・水野仁輔さんとの「異種格闘技」対談。前編から引き続き、東京・目白のCAFE CUPOLA mejiroからお送りします。今回はいよいよ、斧屋さんが監修した期間限定パフェが降臨! 構成=編集部/撮影=山口真由子 カレーの料理人として、僕がどうしてもきけないこと――前編で、パフェは完成品ではなく食べ手が「どう食べるか」が重要という話が出ましたが、水野さんはご自分でカレーを料理

斧屋×水野仁輔「“美味しい”はゴールじゃない」-『パフェが一番エラい。』刊行記念対談【前編】

パフェ評論家・斧屋さんの最新刊『パフェが一番エラい。』刊行を記念して、カレー研究家・水野仁輔さんと初の対談をおこないました。パフェv.s.カレー、食の「異種格闘技」対談のゆくえは……!? 独創的なパフェが人気のお店CAFE CUPOLA mejiroより、全3回にわたってお届けします。 構成=編集部/撮影=山口真由子 僕はこうして「パフェ評論家」「カレー研究家」になった――まずはHB読者へ自己紹介ということで、それぞれどんな活動をされているか教えてください。 斧屋 僕は基

『ぼくとねこのすれちがい日記』ができるまでの話【後編】/北澤平祐インタビュー

 数々の書籍装画や絵本、洋菓子「フランセ」のパッケージ、「アフタヌーンティー」の雑貨シリーズなど、多方面でいま引っ張りだこのイラストレーター・北澤平祐さん。『ぼくとねこのすれちがい日記』刊行を記念して、前回に引き続き、作品の誕生秘話をうかがいました。  ブックデザインを手がけた名久井直子さんのコメント、カバーデザイン完成のプロセス、貴重なラフ画、本に仕込んだたくさんの「仕掛け」など、作品をより楽しめる裏話満載でお届けします。 ブックデザイナー・名久井直子さんが加わり、いよ

『ぼくとねこのすれちがい日記』ができるまでの話【前編】/北澤平祐インタビュー

 数々の書籍装画や絵本、洋菓子「フランセ」のパッケージ、「アフタヌーンティー」の雑貨シリーズなど、多方面でいま引っ張りだこのイラストレーター・北澤平祐さん。文芸サイトHBでの連載を経て2021年6月に発売となる『ぼくとねこのすれちがい日記』通称「ぼくねこ」は、自身初となる長編。駆け出しイラストレーターと保護猫の少し不思議な絵物語は、実話がベースになっています。この作品に、北澤さんは特別な思い入れがあるとか。  企画誕生のきっかけ、イラストと文章の創作プロセス、本に仕込んだた

吉田豪×玉袋筋太郎「“あの頃”を語ろう」──『書評の星座 紙プロ編 吉田豪のプロレス&格闘技本メッタ斬り1995-2004』刊行記念対談

美人カメラマンと吉田豪の意外な接点玉袋 今日は『書評の星座 紙プロ編』はもちろん、いろんな話をしていこうと思うんだけど。豪ちゃん、最近どう? 吉田 ボクの周りが、皆さん燃えたりとか大変なんですよ。 玉袋 みんな燃えてるんだよなー。ネットで炎上しちゃってね。 吉田 玉さんも相方(水道橋博士)が炎上してましたもんね。 玉袋 また、あの人もよく炎上するんだよ(笑)。豪ちゃんはこの本では燃えなかったの? 吉田 燃えかねない内容ではあるんですけど、立ち読みとかで簡単には読めな

岡田育×千早茜『しつこく わるい食べもの』刊行記念対談 第5回「共感とは真逆の、ポジティブななにか」(全5回)

千早茜さんの食エッセイ第2弾『しつこく わるい食べもの』刊行を記念して、ニューヨークと日本で活躍する文筆家・岡田育さんとの初対談が実現しました。5回にわたりお送りしてきた対談連載、最終回は神保町の老舗甘味処「大丸やき茶房」さんからお届けします。 構成=編集部/撮影=山口真由子 ※対談はマスク着用の上で実施し、終了後にお菓子をいただきながらソーシャルディスタンスを確保して撮影しました。 SNS時代のエッセイとは?千早 エッセイを出すと、SNSやイベントで、感想ではなく「自分

岡田育×千早茜『しつこく わるい食べもの』刊行記念対談 第4回「結婚と料理と自由と」(全5回)

コロナ禍にエッセイをどう書くのか問題──岡田さんの近著『女の節目は両A面』も、節目や変化がテーマです。千早さんの『しつこく わるい食べもの』も、中盤からはコロナ禍という変化に向き合っていくエッセイですね。 岡田 『しつこく わるい食べもの』の中でも、コロナ禍の、タイムスタンプつきの箇所はとくに面白く読みました。 千早 感染が拡大して緊急事態宣言が出たりするなか、連載を続けられないかもと騒いで、またT嬢に説得されまして……。日付を入れるということで、やっと書けるようになりま

岡田育×千早茜『しつこく わるい食べもの』刊行記念対談 第3回「大人げない方向で生きていこうぜ」(全5回)

大人げない方向で生きていこうぜ千早 岡田さんは『ハジの多い人生』に、「自分を制御できているなんて考えていた自分は本当に愚かで幼かった」みたいに書いていますよね。読むたびに、自分の幼さや愚かさを突き付けられているみたいで「ひーっ!」となっています。岡田さんはちゃんと大人でちゃんと分析的だけど、私の「わるたべ」はなんていうか……大人げない。大人げない方向で生きていこうぜ、って言ってしまっている。 岡田 いいんですよ。千早さん、大人げない内容でも、大人っぽい語彙と文体でズバッと書

岡田育×千早茜『しつこく わるい食べもの』刊行記念対談 第2回「コロナで生じた言葉の変化」(全5回)

登場人物に作者の食生活は透けてみえるのか問題岡田 解像度の高いチハヤ・アイは、もともと小説を書く武器の一つとしてお持ちなんじゃないかと思いますね。私は短絡的な読者の一人なので、例えば何かが好物だというキャラクターが出てきたら、そうかきっと作者の人もこれが好物なんだろうなと思ってしまいます。でもエッセイを読むと、千早さんご本人にはまた全然違うところにこだわりがあって。小説を創作するというのは本当にすごいことなんだなと、逆にエッセイを読んで思ったりもしました。 千早 そういう作

岡田育×千早茜『しつこく わるい食べもの』刊行記念対談 第1回「食への情熱と解像度」(全5回)

ツイッターと餃子でつながった仲──おふたりの出会いは? 千早 この本の「金針菜、こわい」に書いたんですが、代々木上原の按田餃子(あんだぎょうざ)で金針菜を食べたんですよ。それが美味しかったとツイートしたら、初めて岡田さんが反応してくれて。相互フォローはしていたものの、それまで話しかけられずにいたんですが、そこからは積極的に話しかけるようになりました。 岡田 ラゲーライスですよね。私あの辺に住んでいたことがあって、トレンドに疎いものですから「おらが村のおいしい餃子屋さんだぜ

三人称(ドンピシャ×賽助×ぺちゃんこ)雑談・特別回(4)─賽助『今日もぼっちです。』刊行記念

「ぼっち」にぴったり! 絶妙なイラストと帯文──みなさんへ。『今日もぼっちです。』の装画・挿画は、WEB連載時にもイラストを描いていただいた漫画家の山本さほさんです。ご感想を伺えますでしょうか。 D 山本さんに描いてもらえて、本当によかったね、鉄塔さん。 賽 よかったよね。そもそも自分が山本さんの大ファンで、WEB連載のときにダメ元でお願いしてみたら、快くお引き受けいただいて、さらに単行本のカバーからスゴロクまで描いてくださった。本当にありがたい限りです。 D 今回、〈

三人称(ドンピシャ×賽助×ぺちゃんこ)雑談・特別回(3)─賽助『今日もぼっちです。』刊行記念

初のエッセイ連載を振り返る──賽助さんへ。単行本に収録されたエッセイの中で思い入れのあるものを教えてください。 賽 二人が挙げてくれた話は思い入れあるな。 P あ、そう。 賽 やっぱり子供のころに結構強烈に残ってるんだよね。特に野球部の経験とかは、今思っても、別に何の足しにもならなかったなっていうふうに思ってて。 P 部活の経験って、大体プラスになってることが多いはずだと思うんだけどね。 賽 何だったんだろう、あの野球部の一年間って。何にも自分の中に残ってないんだも