東山彰良×金原ひとみ「越境する身体、越境する言葉」──東山彰良『越境〈ユエジン〉』刊行記念対談
1 境界の消えていく世界で東山 実は自分が越境している感覚って、あまりなかったんですよね。小さいときのことだったので。
日本と台湾は、人々の見た目もそんなに違わないし、子供だったので、すぐに日本語ができるようになりました。自分から名前や出自を言わなければ台湾人だとはわからない。
細かい手続上の問題はいろいろあるんですが、今でも僕は台湾に国籍を残したままなので、在留カードの携行を義務づけられていたり、永住者といえども何年かに一回、切りかえに行かなければいけなかったりとか、制