No.10『凶手』アンドリュー・ヴァクス 石田衣良「小説家・石田衣良を育てた50冊」
子供の頃から無類の本好きだった小説家・石田衣良。小説家になり、ついには直木賞作家へと駆け上がった彼がこれまで読んできた中で特に影響を受けた作品50冊を、人生の思い出とともに紹介する書評エッセイ。
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photo:大塚佳男
30代に入ると、ぼくは広告会社を辞め、フリーランスで働くようになった。コピーライターの仕事は好きではなかったけれど、他にできることもないし、そこそこの稼ぎにはなる。世間は不景気でも個人のような零細レベルなら、いくらでも賃仕事は降ってきた